フェラーリ488GTB(後編)

2016.09.29 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 SUPER GTや86/BRZ Raceなど、数々のモータースポーツシーンで活躍中のレーシングドライバー谷口信輝が、本音でクルマを語り尽くす! 今回も引き続き「フェラーリ488GTB」に試乗する。670psものハイパワーを誇る488GTBに、意外や、恐る恐る近づいた谷口。スーパーカー世代の彼にとって、フェラーリとはどんな存在なのか。

辛口に批評するなら……

「変な言い方だけど、488GTBはイカしているからこそ、アラを探しちゃいたくなるクルマでもあるんですよ」
おーっと、谷口の辛口コーナーがそろそろ始まりそうな気配である。

「たとえばブレーキは、もうちょっと制動力がしっかり立ち上がってもいいですよね。あと、パドルシフトはもう少しカチッとしたところがあってもいい。いまのままだと、ちょっとストロークが長めだし、感触がソフト。あとは小回りが利かない。なにせステアリングは左右に1回転ずつしか回りませんからね。それとバックモニターとかないし、助手席側にエンターテインメント系がないのもNG。いや、僕がダメっていうんじゃなくて、ウチの嫁さんが認めてくれない。もしも僕がフェラーリの鍵を持って『ねえ、どこかに食事しに行こうよ』って誘っても、『その鍵じゃない』って絶対に言われそう。まあ、ウチの嫁さんはフェラーリがキライっていうわけじゃなくて、スポーツカー全般が苦手なだけなんだけど……」

いっぽうで、現在40代、50代の男性の多くは、フェラーリに自動的に惹(ひ)かれてしまうのではないか?
「それはありますよね」
谷口が同意してくれた。

では、その根源にある思いとは、何なのだろうか?
「やっぱりスーパーカー消しゴムでしょ!」
谷口から意外な答えが返ってきた。
「あの、小さいころに植え付けられた感動は、絶対に消えないでしょうね」

鋭く延びたスラントノーズ、ミドシップゆえの低いボンネット、そして後ろに向かうにつれてなだらかに下降するファストバックの造形……。流麗なスーパーカーの姿に、当時子供だったわれわれは心を奪われたものである。

 
フェラーリ488GTB(後編)の画像 拡大
 
フェラーリ488GTB(後編)の画像 拡大
 
フェラーリ488GTB(後編)の画像 拡大
フェラーリ488GTB
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4568×1952×1213mm/ホイールベース:2650mm/車重:1475kg(空車重量)/駆動方式:MR/エンジン:3.9リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ/トランスミッション:7段AT/最高出力:670ps(492kW)/8000rpm/最大トルク:77.5kgm(760Nm)/3000rpm/タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y (後)305/30ZR20 103Y/価格:3070万円
フェラーリ488GTB
	ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4568×1952×1213mm/ホイールベース:2650mm/車重:1475kg(空車重量)/駆動方式:MR/エンジン:3.9リッターV8 DOHC 32バルブ ツインターボ/トランスミッション:7段AT/最高出力:670ps(492kW)/8000rpm/最大トルク:77.5kgm(760Nm)/3000rpm/タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y (後)305/30ZR20 103Y/価格:3070万円 拡大
関連記事
  • フェラーリSF90ストラダーレ(4WD/8AT)【試乗記】 2021.8.3 試乗記 システム出力1000PSを発生する、フェラーリのプラグインハイブリッドモデル「SF90ストラダーレ」。電動パワートレインを搭載した新時代の“跳ね馬”は、過去のどんなスーパーカーとも趣を異にする、異質な速さとドライブフィールを備えていた。
  • ランボルギーニ・ウルス ペルフォルマンテ(4WD/8AT)【試乗記】 2023.5.19 試乗記 スーパーSUVをうたう「ランボルギーニ・ウルス」が「ペルフォルマンテ」に進化。その名のとおり、よりパフォーマンス志向に進化した最新モデルは、エンジンパワーを強化したばかりか、シャシーも以前とは別物に仕上がっている。箱根のワインディングロードを目指した。
  • フェラーリ・ポルトフィーノM(FR/8AT)【試乗記】 2021.5.21 試乗記 今や少数派となったリトラクタブルハードトップを採用する2+2シーター「フェラーリ・ポルトフィーノM」に試乗。マラネッロの開発陣が磨きをかけたパワートレインやシャシーの仕上がりを中心に、先代「ポルトフィーノ」からの進化を探ってみた。
  • アストンマーティンDBX707(4WD/9AT)【試乗記】 2023.1.11 試乗記 アストンマーティンのハイパフォーマンスSUV「DBX」に、さらにパワフルな「DBX707」が登場。最高出力707PS、最大トルク900N・mの膂力(りょりょく)を備えたニューモデルは、英国が誇る名門のプロダクトにふさわしい、豪快で雄々しい一台に仕上がっていた。
  • フェラーリ初の4ドアスポーツ「プロサングエ」がデビュー 2022.9.14 自動車ニュース 伊フェラーリは2022年9月13日(現地時間)、新型車「プロサングエ」を発表した。同ブランド初となる4ドアの量産モデルで、デリバリーの開始時期は、2023年の第2四半期が予定されている。
ホームへ戻る