【パリモーターショー2016】ドイツブランドからはEVコンセプトが続々!
2016.10.03 自動車ニュース![]() |
2016年のパリモーターショーに参加したドイツブランドからは、数多くの電気自動車(EV)コンセプトが発表された。しかも、ただのショーカーではなく、近い未来において、本気の販売を予感させるモデルが多いのも驚くべき点だ。後に振り返ってみれば、「ドイツ勢がEVにかじを切ったのは2016年のパリモーターショーだった」と呼ばれることになるかもしれない。
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■VWはEVのコンセプトカー「I.D.」を発表
朝8時30分、ドイツブランドのトップバッターとしてプレスカンファレンスを行ったフォルクスワーゲン(VW)。そこで発表されたのがEVのコンセプトカーである「I.D.」だ。
プレスカンファレンスでは「われわれは2025年にはEVのリーダーとなり、100万台のEVを販売したい」という大きな目標が掲げられた。その達成のために2020年ごろに発売されるのが、このI.D.になるという。
ボディーは「ゴルフ」と同程度の寸法ながら、室内は「パサート」並みの広さ。航続距離は最大600kmで、ゴルフと同等の価格での販売を考えているという。具体的な数字に、VWの並々ならぬEVへの強い思いをうかがうことができる。
■3台の量産モデルを持ち込んだアウディ
一方、アウディは3台の市販モデルを持ち込んだ。「S5スポーツバック」と「Q5」、そして「RS 3セダン」だ。EV系のコンセプトがなかったのが特徴だ。
9月に新型となったばかりのS5スポーツバックは、ここパリがショーデビューとなる。エレガントな5ドアクーペに強力な354psの6気筒ターボエンジンが搭載される。また、S5の標準モデルである「A5スポーツバック」には天然ガスでも走行できる仕様「g-tron」が用意されるという。
それに対して、Q5は今回のパリがワールドプレミア(世界初公開)。大成功をおさめたプレミアムSUVは第2世代となり、2017年に発売されるという。生産はメキシコに建設された新工場で行われる。
3台目のRS 3セダンもここがワールドプレミアである。アウディスポーツの手によるハイパフォーマンスカーで、最高出力400psの2.5リッター5気筒エンジンを搭載する、「A3」シリーズの最強モデルとなる。もちろん駆動は4WDのクワトロ。プレスカンファレンスでは、レーシングカーの「RS 3 LMS」も登場してイベントを盛り上げた。
コンセプトカーはなくても、3台もの新しい量産モデルが公開され、アウディは大いに注目を集めた。
■2台のEVを発表したダイムラー
ダイムラーからは2台のEVが発表された。メルセデスブランドのコンセプトカー「ジェネレーションEQ」と、新型「スマート・エレクトリックドライブ」だ。
EQとは「エレクトリック・インテリジェント」を意味する新しいブランドであり、その概念は電動車両本体に限らず、サービスや技術、システムまでを幅広く含むという。その新ブランドの最初のモデルが、スマートなSUVクーペのルックスを持つジェネレーションEQというわけだ。
ジェネレーションEQは、フロントとリアにそれぞれモーターを備え、最大300kWの出力を誇り、航続距離は最長500kmまでを可能とする。実際の販売は、今後10年以内とアナウンスされた。コンセプトに終わらず、現実味を感じさせる年数ではなかろうか。
もうひとつのEVは、第2世代となったスマートのEVバージョンだ。最新のスマートをベースに、航続距離を最長160kmまでに延長された。ブースでは、「スマート・フォーツー」だけでなく、「スマート・フォーツーカブリオ」「スマート・フォーフォー」の3台のモデルが展示されていた。
■BMWは新シリーズとなる「コンセプトX2」を発表
BMWが発表したのはEVではなく、まったく新しいモデルとなる「コンセプトX2」であった。BMWのXシリーズで欠番となっていた「2」の場所に、クーペルックのSUVが加わることとなり、その姿が公開されたのだ。Cセグメントというほどよいサイズ感は日本でも使いやすいはず。日本の路上を「X2」が駆けぬける日を楽しみに待とうではないか。
BMWグループからの、もうひとつのワールドプレミアは、「MINIジョンクーパーワークス クラブマン」だ。最高出力231psの2リッター4気筒ターボエンジンを搭載。6段MTに四輪駆動の組みあわせで、0-100km/h加速は6.3秒の実力を持つ。実用性と速さの両方を持つ、快速クラブマンだ。
BMWのワールドプレミアはEVではなかった。しかしブースでは、「i3」や「i8」、電動スクーターの「Cエボリューション」が目立つ場所に展示されていた。BMWがEVに積極的であるのは、いまさら言うまでもないことだ。
結局、これまでEVに積極的だったBMWに加え、フォルクスワーゲンとメルセデス・ベンツもEVへ力を入れることになった。今回のパリモーターショーは、ドイツ勢がEVに傾倒する潮目の年に開催されたショーと言えるだろう。
(文と写真=鈴木ケンイチ)
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