第3回:ラグジュアリーか、スポーティーか?
週末ドライブで見えた「ATSセダン」の実力
2016.11.11
キャデラックATSセダン長期試乗リポート<PR>
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早いもので、気がつけば今年ももう11月の半ば。「キャデラックATSセダン」がwebCG編集部にやって来た9月の終わりはまだ夏の余韻が残っていて、炎天の下、エアコンが利いた室内に、半ば逃げ込むかのように乗り込んでいたけれど、今朝はエアコンはエアコンでも暖房がほしいくらい冷え込んだ。そろそろ箱根あたりにも紅葉が降りてきたころだろう。ATSセダンで週末ドライブに出かけて、その魅力について考えてみた。
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ピークパワーより実用トルク
日数にして1カ月半、距離にして2000kmも乗れば、ATSセダンの“クルマとなり”はだいぶわかってきたつもりだ。しかし一方では、乗れば乗るほどATSというのはユニークなクルマだな、という思いも強まってきている。仮にATSセダンというクルマをひとことで表現するとしたら、ラグジュアリーなのか、それともスポーティーなのか? と聞かれても、そう簡単に答えることはできそうにない。
エンジンがいい例だ。搭載する2リッター直4ターボユニットは、276ps(203kW)/5500rpmと400Nm(40.8kgm)/3000-4600rpmと、2リッターにしてはなかなかのハイチューンだが、普段乗っていて感銘を受けるのは、実はピークパワーの大きさばかりではない。むしろ優れたドライバビリティー(運転のしやすさ)の方に感心させられる。
スペックから読み取るのは難しいが、実はこのエンジンは1000rpm台の中盤で、早くも実用に足る力強いトルクを生み出すようにしつけられている。スロットル操作に対するレスポンスも、ターボエンジンにしてはとてもいい。そして、その実用トルクの山を、8段ATがスムーズ、かつテンポよくつないでいくのだが、そのマナーが見事なのだ。
シフトセレクターをDレンジに固定して、スロットルペダルを浅く、かつ穏やかに踏み込むと、1500~2000rpmで自動シフトアップが繰り返される。45km/hプラスで6速へ、さらに50km/hを超えたところで7速にすっと入る。室内は静かで、エンジンは存在感を一向に主張してこない。この粛々とした走りをラグジュアリーと呼ばずして、何と呼ぶべきか! そんな気分である。
スポーツセダンに早変わり
静かで快適なクルージングを経て、箱根の麓に到着する。シフトセレクターの手前に用意されたボタンを押して、ドライバーモードコントロールを「スポーツ」に切り替えると、一転してマグネティックライドコントロール(磁性流体減衰力制御システム)付きのパフォーマンスサスペンションがグッと締め上げられ、ステアリングホイールの操舵力は重くなり、スロットル特性やシフトパターンが“好戦的”になるのがはっきりとわかる。ATSセダンのスポーツセダンに早変わりした瞬間だ。
ATSセダンのステアリングは、握る手に込めた力を見逃さないほど感度が高く、操舵に対してピッと鋭くゲインが立ち上がるようになっている。加えて、リアアクスルにはメカニカルなLSDが装着されるから、トルクのツキのいいターボエンジンを駆使して走るワインディングロードは一体感に満ちていて痛快だ。
街中を粛々と流すこともできれば、山道に果敢に切り込んでいくこともできるATSセダン。その魅力は、ラグジュアリーかスポーティーかのどちらかではなく、実はそれらの間を自在に行き来できるところにあると捉えると、理解しやすくなるように思う。
ドイツのブランドがけん引する既存のプレミアムから自由になりたいドライバーにとって、キャデラックは十分検討に値する実力の持ち主である。
(webCG 竹下)

webCG 編集部
1962年創刊の自動車専門誌『CAR GRAPHIC』のインターネットサイトとして、1998年6月にオープンした『webCG』。ニューモデル情報はもちろん、プロフェッショナルによる試乗記やクルマにまつわる読み物など、クルマ好きに向けて日々情報を発信中です。
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