第2回:日本の道との相性は?
「キャデラックATSセダン」街乗りインプレッション
2016.10.26
キャデラックATSセダン長期試乗リポート<PR>
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コンパクトなラグジュアリースポーツをうたう「キャデラックATSセダン」とは、どんなクルマなのだろうか? 今回は、都心の道を中心にドライブ。その印象を報告する。
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なかなかの存在感
「カッコいいっスね……何てクルマっスか?」
ATSセダンを洗車してもらいに、いつものガソリンスタンドに寄ったところ、お店のスタッフはすっかり興味津々の様子。キャデラックであることを告げると、「へぇー!」と目を丸くした。
でも、奥で給油しているお客さんや歩道の通行人がチラチラこちらを見ているのは、彼の大げさなリアクションが理由ではないらしい。
なんたって、エッジのきいたATSセダンは目立つ。「ワイド感」や「押しの強さ」を前面に押し出す多くのクルマと違って、ATSの姿からは彫刻を思わせる凝縮感や、凛(りん)とした気品が伝わってくる。
縦一直線の前後ランプも、その引き締め効果に一役買っているかもしれない。実際のボディーサイズは、全長4680×全幅1805×全高1415mm。試しにDセグメントの代表格「BMW 3シリーズ」と比べてみると、わずかに長くて(+35mm)ちょっとだけ幅がある(+5mm)のだけれど、むしろ小さく、扱いやすそうに見える。
前述のスタッフに言わせれば、「ゴージャスで大きなアメリカ車」というのが、長年抱いてきた“キャデラック像”らしい。ATSはコンパクトであること自体が驚きだそうだが、豪華さにかけては、彼も納得するのではないだろうか。
明るい茶系の革内装は、アイボリーとベージュのツートンカラーにダークなウッドを組み合わせ、ベージュのスエードもあしらうという凝りよう。同系・異素材のコンビネーションが美しい。かなり太めの革巻きステアリングホイールに手を掛ければ、その奥にあるシフトパドルが本物のメタルであること気付いて、ハッとさせられる。さすがキャディ。抜かりないっスね。
意外なほど扱いやすい
「スポーツセダン」と銘打つだけに、ATSセダンは街なかでもキビキビ走る。乗り心地は、基本の走行モード「ツーリング」でも、やや硬め。ピックアップのよさが印象的なエンジンは2リッター直4直噴ターボで、最高出力は276ps/5500rpm。最大トルク40.8kgmは3000rpmから4600rpmにかけて発生する。8段ATのギア比も街乗りに合っていて、車重は1600kgあるものの、ストップ&ゴーが続く道でもまずストレスは感じない。
また、ATSセダンには、左ハンドル車しか用意されない。でも、実際に都会の道を走り回ってみたところ、それが気になることは、思ったほどはなかった。
左ハンドルのイタリア車を所有する筆者の慣れを差し引いても、手ごろなサイズのこのセダンは、取り回しが楽だ。合流や駐車に問題がないのはもちろん、死角の少ないサイドミラーやリムの細いルームミラーを採用しているあたり、「細かいところまで気を使っているなぁ」と感じられた。リアビューカメラやリアクロストラフィックアラート(後退時安全確認警告機能)といった運転支援システムも付いている。路肩寄せを苦手とする筆者のようなドライバーには、縁石までの距離感をつかみやすいという、左ハンドル車ならではのメリットもある。総じて、意外なほど扱いやすいのだ。
……なんて感心していたら、突然シートが「ブーン!」と震えて驚いた。距離センサーのアラートを振動で伝える、ユニークな機能だ。走りだしの際も、シートベルトがギュギュッと体を締め付ける。そんなところにも、ちょっと親しみがわいた。スキンシップの多い、アメリカの友達みたいで(笑)。
(webCG 関)

webCG 編集部
1962年創刊の自動車専門誌『CAR GRAPHIC』のインターネットサイトとして、1998年6月にオープンした『webCG』。ニューモデル情報はもちろん、プロフェッショナルによる試乗記やクルマにまつわる読み物など、クルマ好きに向けて日々情報を発信中です。