フォルクスワーゲン・ゴルフカブリオレ(FF/7AT)【試乗記】
見ても乗ってもスタイリッシュ 2011.10.19 試乗記 フォルクスワーゲン・ゴルフカブリオレ(FF/7AT)……399万9000円
新型「ゴルフカブリオレ」に試乗。4人乗りオープンモデルの使い勝手とソフトトップの仕上がりは?
ゴルフなのにカッコいい
「ゴルフ」がこんなにカッコよくていいのだろうか。ご存じこのビッグネームは走りよし燃費よし使い勝手よしの優等生。おまけに輝かしいヒストリーをもつ傑作なのだが、カッコだけはフツーというのが、「GTI」だろうと「ワゴン」だろうと「カブリオ(レ)」だろうと、派生したミニバン「トゥーラン」だろうと、歴代モデルに共通した特徴ではなかったか。
初代から例外なくそうだから、もはやファンも美しいゴルフなんて期待しておらず、その時代におけるベスト・イン・クラスであってくれればいいと思っていたはずだ。そしてそのことは「俺に似合うかな」を気にせず選べるという、ベストセラーの要件のひとつだったようにも思う。
それが新型「ゴルフカブリオレ」ときたら、閉めても開けてもスタイリッシュ。特にクローズドの姿がキレイ。こんなにカッコいいと、似合う似合わないの問題が出てくるじゃないか! ショルダーラインより下のデザインはハッチバックと同じだが、ソフトトップが描く弧が美しい。全高がハッチバックより5cm低いこともあって、かなり華やかな印象だ。
だいたいゴルフのカブリオレといえば開けたときに常にロールオーバーバーが出ていて、皆そのことを少し残念に思いながらも「安全性とボディ剛性のため」と自らを納得させてきたのに、新型にはロールオーバーバーがない! 今風に車体が傾くとリアシート背後からバーが出てくるのだ。
まじめなオープンカー
さまざまなエンジンラインナップを誇るゴルフだが、日本向けのカブリオレには1.4リッター直4DOHC+ツインチャージャーのエンジンを採用した。同じエンジンを使うハッチバックの「TSIハイライン」よりも130kg重い。最高速や発進加速を計測すれば遅いだろうが、感覚的には力強さはほとんど変わらない。
ツインクラッチ式のトランスミッション実用化の元祖たるフォルクスワーゲン。乾式7段のDSGは熟成の域に達しており、変速スピードを上げればショックも増すというツインクラッチ式の構造的な問題について、スイートスポットを見つけている。発進時にもギクシャクしない。したら運転を見直そう。
高速道路や街中でのハンドリングや乗り心地はハッチバックのゴルフと一緒。なんか仕事っぽいこと言わないといけないと思ったのだろう、主にリアに乗っていた編集長は「ハッチバックより少し硬いかな」と言っていたが、いじわるに乗り比べない限り気づかない程度の差しかないと思う。
世界一まじめなオープンはユーティリティーも確保している。定員は4人。リアシートは背もたれが立ち気味のため、お見合いのときみたいな礼儀正しい座り方になるが、窮屈ではない。
トランクは幌を開けていようが閉めていようが250リッターの容量を確保する。それでいてオープン時に幌はZ型にコンパクトに格納され、収めた幌の部分だけ盛り上がっているような無粋さはない。
さらにリアシートバックを前に倒して大きな荷物(天地にかさばる荷物は無理)を積むこともできるなんて、ああまじめ。この辺りは硬い屋根のオープン連中にはまねできない。
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ソフトトップは進化した
オープンカーを買う場合、オープン時の開放感が気になるかもしれないが、現代のオープンカーは安全性と引き換えにAピラーが太く、角度が寝ているため、開放感はどれも似たり寄ったり。ゴルフカブリオレも昔のオープンカーに比べると開放感はそれなりだ。
それよりも気にしたほうがいいのは、クローズ時の静粛性や開閉のしやすさ。ゴルフカブリオレは開けるとき9.5秒、閉めるとき11秒(メーカー発表)と開閉が速い。開閉の速さは結構重要。遅いと、まぁいいやと思う機会が増え、売るときに「あんまり開けなかったな」となって、オープンカーを買った意味が薄れるからだ。
同じ理由でセンターコンソールにあるスイッチ操作だけで開閉が可能という点も資質が高い。頭上左右のロック及び解除操作のメリットなんて助手席の彼女に近づけることくらい……結構でかいか。
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冗談はさておき、ゴルフカブリオレの完成度は高い。今やオープンカーにはソフトトップとハードトップの2種類あって、それぞれメリット/デメリットがある。ハードトップを格納できるようになったのは間違いなくクルマの進化で、われわれは一時期浮かれたが、同時にソフトトップも進化して、もはや耐候性、静粛性においてハードトップと遜色(そんしょく)ないレベルに到達していた。そうなると、どうしたって華やかさや色っぽさの面で勝るソフトトップを採用しない理由が見つからない。
ハードトップの「イオス」をモデルチェンジさせるのではなく、ゴルフカブリオレの名を10年ぶりに復活させたのは必然だったような気がする。ディーラーで触ってみて、幌。めっちゃ頑丈だから。もっと時間があったら試乗してみて。閉めて乗ったらめっちゃ静かだから。
(文=塩見智/写真=高橋信宏)
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塩見 智
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