第3回:本当のお金の話をしよう
2016.11.20 バイパーほったの ヘビの毒にやられまして 拡大 |
読者諸兄姉の声援と記者の貯金残高を糧に、絶賛自転車操業中の本エッセイ。周囲に「3回目あたりで崖から落っこちて完結したら、流れとしては完璧なんだけどね」などと言われつつも、どっこい今後も続く予定なのでご安心を。“購入編”の最後となる今回は、「ダッジ・バイパー」納車いたるまでの、手間とお金の話をさせていただく。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
「お支払いは?」「一括で」(キリッ)
本エッセイの初回において、記者はバイパーを「398万円で購入した。諸費用込みだと429万6810円」と記した。いまさらだが、その内訳をウェブ上にさらすと以下の通りである。
車両本体価格:398万円
車検整備・納車点検費用:15万1200円
自動車税未経過額5カ月:4万6200円
自賠責未経過額15カ月:2万0800円
登録届出費用:3万7800円
書類製作費:1万6200円
JU名義変更:2万1600円
登録届出費:500円
新ナンバー代:1440円
リサイクル預託金相当額:2万1070円
自動車売買に詳しい方におかれては、「ここはこうじゃないの?」「ここはこうでしょう」とつつきたくなる箇所があるかもしれないが、記者は別に気にしていない。私見を言わせていただくと、どの項目を車両本体価格に含むとか含まないとか、諸経費をどう設定するとかは、お店次第でしょうよと。某横浜家系のラーメン屋で「なんで半ライスの無料サービスは14時で終了なの?」と文句を言ったり、あるいは某二郎インスパイア系のラーメン屋で「なんで野菜増しは無料なのに、肉増しは有料なんだよ?」とクレームをつけたりするのはお門違いだろう。そんなの店の勝手である。
いわゆる“二重取り”のようなダマしがあれば話は別だが、そうでなければ「その条件に買い手が納得するならそれでよい」というのが記者の見解。不満があるなら買わなければいいだけの話だ。
そんなわけで、上述の明細に納得した記者は、この429万6810円を一括で支払った。自分で言っちゃうけど、なんと一括払いである!
「男前!」「太っ腹!」という称賛に浴すのはやぶさかでないが、本当のところは「利子を払うのがいやでローンを組みたくなかった」という、貧乏くさい理由からの一括払いである。無理をしたおかげで、このひと月はずいぶんエンゲル係数が抑えられた。体重には一切影響しなかったが。
浮世は矛盾だらけでございます
ちなみに、前ページで“一括”と書いてはいるものの、厳密に言うとホントに一括ではない。まずは契約時に10万円、後は残りの419万6810円を半額ずつ、計3回に分けて支払った。長年かけてちまちまちまちま貯金した口座から一気に3ケタ万円の金が消える様には、えもいわれぬ恐怖と快感がある。うーん、アンビバレンツ。
こうして要求された額をきれいさっぱり払い切った私であるが、それでめでたくバイパーが手に入るかといえば、そうは問屋が卸さない。問屋というか、国家権力が許してくれない。名義変更に強制保険への加入に車庫証明と、必要な手続きがわんさか残っているのだ。webCGでもおなじみのライターにして、希代のコミュニタリアンである鈴木真人氏は、かつて連載エッセイ『読んでますカー、観てますカー』で、「クルマがわれわれを魅了するのは、自由を手にするためのツールだからだ」と述べていた。しかし実際には上述の通り、ジドーシャというのはあまたの届出やら登録でがんじがらめな代物なのだ。なんという矛盾。なんという皮肉。
しかし、私は鈴木氏ほど真摯(しんし)に世を憂うタイプの人間ではない。愚痴ってもしょーがないので、さっさと手続きを進めることにする。
まずは三鷹駅北口の武蔵野市中央市政センターで印鑑証明をゲット。自動車販売店が名義変更を代行する際に必要となる、委任状に実印を押す。後は車庫証明を用意して、これら3点セットを販売店に送ればいいだけだ。名義変更同様、車庫証明についてもお店に手続きを頼むことは可能だが、まあ経験がないわけでもない。今回も自分で用意しよう。
早速、駐車場を管理する不動産屋さんにピッポッパ。ここで思い出したのが、販売店で店員さんから承った警告だ。いわく「バイパーは“輸入車”だし、全幅が1.9mを超えるクルマだから、大家さんが古い人だったり神経質な人だったりすると、契約を渋られるかもしれないですよ」とのこと。しかし、電話に出た不動産屋さんの受付嬢は、クルマのことなど何も聞かず、大家に確認をとるとも言わず、軽いノリで「書類制作費で2000円いただきますゥ」(アニメ声)とおっしゃるだけだった。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
車庫証明の罠
本当に大丈夫か? と不安になりつつインターネットバンキングで2000円をお振り込み。数日後に届いた書類一式を手に武蔵野警察署に赴いたら、窓口で「保管場所の所在図がありません」と突っ返された。心配していたのとは違うところが大丈夫じゃなかった。
頭の中でアニメ嬢に怒涛のクレームを入れつつ(あくまで頭の中で)、定規を借りてその場で所在図を製作。ものの5分で終わる作業とはいえ、後ろで待っているおっさん方の目が痛かった。後は「あっちの窓口で手数料を払ったら、またこっちへ戻ってきて」という毎度おなじみの“お役所行事”を済ませ、申し込み終了。翌週再び警察署に出頭し、無事に車庫証明を手に入れた。
いやあ、長かった。トラブルそのものはささやかだったが、なんだか妙に気疲れした。しかし、これで晴れて名義変更の準備は整ったはずだ。後は、私の名が書かれた車検証を保険屋さんにFAXして、任意保険に加入して……。
なんだか、『ドルアーガの塔』やってるみたいだな。
宝箱から車検証をゲットし、いよいよ次の階(保険探し)へ。とはいえ、これについては親の代からお付き合いしている代理店にお任せしてしまったので、もろもろすんなり済んでしまった。しかし、それじゃちっとも面白くないので、次ページでは少し、任意保険とバイパーにまつわる小話をさせていただこうと思う。
お金より、時間が大事な35歳
いきなり結論だが、わがバイパーにかかる保険料は車両保険なし、11等級47%割引で7万0820円である。「ローバー・ミニ」は3万4550円だったので、およそ2倍。泣ける。泣けてくる。しかし、世の「バイパーが欲しい」とお考えの同志諸君(居るのか?)、ここでどうにか安い保険会社を探して経費を節約しようとか、がんばらない方がいい。それは時間の無駄だから。
例えば、パソコンで「自動車保険」「見積もり」と打って真っ先に出てくる一括見積もりのウェブサイトだと、車種検索でダッジ・バイパーは出てこない。検索窓に型式を打ち込んで車種を探す方法もあるが、わがバイパーの型式は不明である。車検証に、本当に「不明」って書いてある。
それでもなお「1円でも安く!」と歯を食いしばれる人なら、ダイレクト系の各保険会社に個々に問い合わせをするという手段もある。が、冷静に考えてみてくださいよ。日本に何台生息しているかもわからないようなアメ車の、それも中古並行の改造歴有りの個体なぞ門前払いに決まってんでしょう。というか、門前払いにされました。
ダイレクト系保険会社の皆さま、俺の名前を覚えておけよ。
……以上が、ダッジ・バイパー購入にまつわる手続きのあれやこれやである。
本当は元中古車物件情報誌の編集者らしく、「ここをこう節約してやったぜ!」的なエピソードを披露したかったのだが、こうして見ると節約できたのは車庫証明の手続き費用と納車代(店頭に引き取りに行ったので)だけ。至って普通である。普通すぎる。まあ購入時はこんなエッセイを始めるつもりはなかったので、許してください。
というか、好き放題に自分の時間を用意できたかつての自分ならまだしも、一応にもまっとうなサラリーマンにステップアップした今となっては、マイカー購入に関わる諸費用よりも、節約のために費やされる時間の方が惜しい。某中古車物件情報誌にて、安易に「中古車購入節約術」などを開陳していた過去の自分を恥じるばかりである。
後もうひとつ。明細の「自動車税未経過額」からバイパーの自動車税を計算しようとしたアナタ、待ちたまへ。それは来年5月、わが家に税金の納付書が届くまでのお楽しみだ!(涙)
いやね、私も二度見しましたよ。5カ月で4万6200円ってさ……。
(webCGほった)

堀田 剛資
猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。
-
【番外編】バイパー、磐越を駆ける 2026.1.27 webCG編集部員が、排気量8リッターの怪物「ダッジ・バイパー」で福島・新潟を縦走! 雄大な吾妻連峰や朋友との酒席で思った、自動車&自動車評論へのふとしたギモンとは。下手の考え休むに似たり? 自動車メディアの悩める子羊が、深秋の磐越を駆ける。
-
【番外編】バイパー、事故に遭う ―東京の片隅で垣間見た現代ニッポンの縮図― 2025.8.26 インバウンドでにぎわう令和の日本で、webCG編集部員と「ダッジ・バイパー」を襲ったささやかな悲劇とは? 「まさか自分が(笑)」なんて油断しているところに襲ってくるのが事故というもの。読者諸氏の皆さんも、運転には気をつけましょうね。
-
【番外編】バイパー、能登へ行く 2025.1.9 排気量8リッターのアメリカンマッスルカー「ダッジ・バイパー」で目指すは深秋の日本海。その旅程で記者が覚えた、AIやデンキに対する考えとは? 最後の目的地である能登半島の突端で思ったこととは? webCG編集部員が、時代遅れの怪物と中部・北陸を駆ける。
-
第47回:114万9019円の愉悦 2022.12.21 限りある石油資源をむさぼり、今日も生ガスをばらまいて走るwebCG編集部員の「ダッジ・バイパー」。今年に入り、ずっと不調だった毒ヘビが、このほど整備から帰ってきた。どこを直し、どう変わったのか? どれくらい諭吉が飛んだのか!? 赤裸々にリポートする。
-
第46回:クルマを買い替えようとして、結局やめた話 2022.10.3 アメリカの暴れん坊「ダッジ・バイパー」に振り回されてはや6年。webCGほったの心に、ついに魔が差す? 読者諸兄姉の皆さまは、どんなタイミングでクルマの買い替えを考えますか。お金ですか? トラブルですか? 記者の場合はこうでした。
-
NEW
レクサスES350h(FF/CVT)/ES350e(FWD)/ES500e(4WD)【海外試乗記】
2026.6.3試乗記「レクサスES」がフルモデルチェンジ。シャシーがFFベースというのは歴代モデルと同じだが、新型ではボディーサイズがググッと拡大。「LS」の6輪ミニバンコンセプトが登場したこともあり、今後のレクサスセダンの総代を担うことになる。北米で乗った印象をリポートする。 -
NEW
ミドシップ化で運動性能はどう変わる? 「GRヤリスMコンセプト」の現時点での完成度を体感
2026.6.3デイリーコラム「GRヤリス」をベースとしたミドシップ4WDとして市販化を目指す「GRヤリスMコンセプト」。現在もスーパー耐久に投入されるなどして鍛えられているが、その開発車両をドライブできた。普通のGRヤリスとの運動性能の違いや、新開発エンジンの印象などをリポートする。 -
NEW
第115回:メイク・アメリカ・グレート・アゲイン!(後編) ―デザインもサイズも規格外! 魅惑のアメリカ車はなぜ“主役”になれないのか?―
2026.6.3カーデザイン曼荼羅トヨタ&ホンダが発表した、米国生産車の日本導入計画。しかしアメリカには、規格外に面白いクルマがまだたくさんあるのだ! カーデザインの識者とともに魅惑の日本“未”導入車を探すとともに、魅力的なアメリカ車が、それでも主役になれない理由を考えた。 -
どうしてピアノブラックの内装材は多用されるのか?
2026.6.2あの多田哲哉のクルマQ&Aよく目にするピアノブラックの内装材は、「キズや脂汚れが目立つ」などネガティブな評価もしばしば。それでも多用されているのはなぜか? 車両開発者の多田哲哉さんに聞いてみた。 -
BSAゴールドスター650(5MT)【レビュー】
2026.6.2試乗記かつて一世を風靡(ふうび)した英国の名門、BSAが復活! 新生第1号モデルである「ゴールドスター650」は、クラシックで優雅なお散歩バイク……と思いきや、ツインカムの大排気量シングルで、ライディングも前のめりに楽しめるマシンに仕上がっていた。 -
レストモッドがイメージ 特別なオニツカタイガーの魅力に迫る
2026.6.1オニツカタイガーの新作ドライビングシューズを知る<AD>オニツカタイガーが、“レストモッド”と呼ばれるクルマのレストア&カスタム手法に着想を得たドライビングシューズを発表。4タイプ製作された、「MEXICO 66 DRIVING」のスペシャルバージョンの魅力に迫る。













































