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第390回:24年ぶりのフルモデルチェンジ!
新型「コースター」のデビューに見るトヨタ変革の今

2016.12.29 エディターから一言
24年ぶりのフルモデルチェンジで登場した4代目「トヨタ・コースター」。2017年1月23日に発売される。
24年ぶりのフルモデルチェンジで登場した4代目「トヨタ・コースター」。2017年1月23日に発売される。拡大

「TNGA」に見られる“ものづくり改革”に加え、社内体制の刷新など、矢継ぎ早に変革を推し進めるトヨタ。実に24年ぶりというマイクロバス「コースター」のフルモデルチェンジから、同社の変革の現状を読み解いた。

メガウェブで開催された発表会の様子。新型「コースター」の商品説明に加え、CVカンパニーの紹介も行われた。
メガウェブで開催された発表会の様子。新型「コースター」の商品説明に加え、CVカンパニーの紹介も行われた。拡大
記者の取材に対応する、CVカンパニー CV製品企画の梁井康平氏。
記者の取材に対応する、CVカンパニー CV製品企画の梁井康平氏。拡大
メディア向けの発表会の後には、顧客向けの商品説明会も行われた。
メディア向けの発表会の後には、顧客向けの商品説明会も行われた。拡大

販売台数262万台の“一大勢力”

2016年12月22日、トヨタは小型バス、コースターの新型モデルを発表した。1963年に誕生したコースターのフルモデルチェンジは、なんと24年ぶり! 従来モデルは長年にわたり販売されながら、いまだに根強い人気を維持しており、販売も悪くなかったという。それでも新デザインの要望や、今後の観光ビジネスの活性化を見据えてフルモデルチェンジに踏み切ったのだとか。

東京・台場のメガウェブで開催された発表会では、クルマだけではなく「CVカンパニー」の説明も行われた。CVカンパニーのCVは、コマーシャル・ビークルを意味する。つまり商用車だ。トヨタは2016年4月に、社内を製品軸で細かく区分するカンパニー制度を導入した。7つあるカンパニーのうち、商用車を扱うのがCVカンパニーだ。

手がける車種としては、小型バスのコースターや商用バンの「ハイエース/レジアスエース」「プロボックス/サクシード」、トラックの「ダイナ/トヨエース」などだけでなく、「ランドクルーザー」や「ランドクルーザー プラド」といったSUV、それに「アルファード/ヴェルファイア」「エスティマ」「ヴォクシー/ノア/エスクァイア」といったミニバンも含まれる。また海外生産される「タンドラ」「タコマ」「ハイラックス/フォーチュナー/イノーバ」などもそのラインナップとなる。2015年は262万台を販売しており、トヨタ全体の3分の1近くを占める一大勢力だ。

スピード感をもってより魅力的なクルマを

「タイムリーな商品強化に取り組みます。そして、中長期の目線ではラインナップの拡充と新技術けん引の未来対応に取り組みます」とCVカンパニーのプレジデントであり、トヨタの専務役員である増井敬二氏は説明する。

これまで、商用車は、トヨタ全体の中で開発や生産などを考えるときに、どうしても優先順位が下になりがちであった。しかし、これからは商用車部門が率先して計画を立てて進めることができるのだ。実際に、この夏にはメキシコ工場でのタコマの生産能力アップを数カ月の検討で決定。カンパニー制導入ならではの、これまでにないスピード感であったという。また、中長期のラインナップ拡充に関しては、乗用車でいうTNGAのようにプラットフォーム共有などの一括開発を導入するという。ハイラックス/フォーチュナー/イノーバの3モデルを一括開発したIMVシリーズのような手法が、他車種でも採用されるのだ。ロングライフのエスティマや人気のハイエースなどの次世代モデルがどうなるか、非常に気になるところだ。また、運転支援技術や電動化技術などの先進技術導入も、これまでは乗用車が優先されてきたが、CVカンパニーとしては、商用車にも積極的に採用していきたいという。

そうしたCVカンパニーが最初に送り出すモデルがコースターである。ある意味、CVカンパニーになったからこそ、今回のような大々的な発表ができたのではないか。商用車部門の独立により、自主性を獲得して、「これから存分にやるぞ!」という意気込みと喜びが感じ取れる発表であったのだ。

CVカンパニーについて説明する同カンパニー プレジデントの増井敬二氏。
CVカンパニーについて説明する同カンパニー プレジデントの増井敬二氏。拡大
新興国向けのSUVである「フォーチュナー」。ピックアップトラックの「ハイラックス」やミニバンの「イノーバ」と設計を共有している。
新興国向けのSUVである「フォーチュナー」。ピックアップトラックの「ハイラックス」やミニバンの「イノーバ」と設計を共有している。拡大
こちらは従来モデルの「コースター」。耐久性の高さから、モデルライフの末期になっても高い人気を保ち続けていた。
こちらは従来モデルの「コースター」。耐久性の高さから、モデルライフの末期になっても高い人気を保ち続けていた。拡大

“壊れない”という信頼感に安全性をプラス

50年以上の歴史を誇るコースター。1993年にデビューした従来モデルは、24年間のモデルライフ中、販売台数を右肩上がりに伸ばしてきた。直近の数年も伸びていたのだ。しかも、日本だけでなく、今では世界110カ国以上で販売されている。その人気の理由はただひとつ、トヨタならではの優れた品質/耐久性だという。海外の恐るべき悪路で運用しても壊れないという信頼感が、高い人気の理由だったのだ。そのため、新車価格がライバルより高くても売れたという。なぜなら、人気のぶん、リセールバリューも高いからだ。

モデルチェンジするにあたっても、守るべきは優れた品質/耐久性だ。そのため、新型でありながらフレームとパワートレインは従来のものをキャリーオーバー。その上で、上屋となるボディーを刷新。頑丈な環状骨格を採用して、ロールオーバー(転倒)しても乗員の生存空間を確保できる安全性を手に入れたのだ。ボディー剛性が高まっているため、当然のように乗り心地も向上している。また、ボディーをスクエアな形状にすることで、室内空間も拡大。短い時間ではあったが、発表会の後に旧型と新型の乗り比べ(乗員として)を体験できた。すると、新型は明らかに騒音と振動が減っており、さらに頭上空間も広くなって、快適性がアップしていたのだ。また、クラス初の車両安定制御システム(VSC)とトラクションコントロールを採用。壊れないという信頼感に、安全性という安心感もプラスされた。

新型「コースター」のリアビュー。フレームは従来モデルと共通だが、ボディーの設計は一新されており、4カ所に組み込まれた環状骨格により、高いボディー剛性と衝突安全性を実現している。
新型「コースター」のリアビュー。フレームは従来モデルと共通だが、ボディーの設計は一新されており、4カ所に組み込まれた環状骨格により、高いボディー剛性と衝突安全性を実現している。拡大
60mm高くなった室内高をはじめ、車内空間は従来モデルから大幅にゆとりを増した。
60mm高くなった室内高をはじめ、車内空間は従来モデルから大幅にゆとりを増した。拡大
メガウェブの構内コースを使った試乗の様子。窓側の席に座ったところ、窓のふちにヒジを置ける空間ができたことや、従来モデルから高められた静粛性などが印象的だった。
メガウェブの構内コースを使った試乗の様子。窓側の席に座ったところ、窓のふちにヒジを置ける空間ができたことや、従来モデルから高められた静粛性などが印象的だった。拡大

これからのCVカンパニーの成果に期待

ただし課題点もある。先進技術を積極的に採用するといいながら、衝突被害軽減自動ブレーキ(AEB)は採用されていない。また、従来モデルで設定のあったエアサスもラインナップから落ちていた。開発陣に話を聞くと、AEBは「この先に採用を考えている」とのことであり、「エアサスもやらないわけではない」と言う。ロングライフが予想されるモデルだけに、徐々に完成度を高めていくという姿勢のようだ。

春のCVカンパニーの誕生から、わずかに半年強。コースターの開発は、もっとずっと前から始まっており、実質、CVカンパニーの仕事の結果とはいいがたい。時間がないといえばそれまでだが、新体制ならではの成果として、衝突被害軽減自動ブレーキを採用するとか、なにかしら見えるモノが欲しかったというのが正直なところ。数年後に登場するであろう、CVカンパニー体制が生み出す真の意味の新型車に期待したい。

(文=鈴木ケンイチ/写真=webCG)

新型「コースター」の運転席まわり。操作しやすいようスイッチ類の配置を見直したり、ドリンクホルダーやUSBソケットを設けたりといった改良がなされている。
新型「コースター」の運転席まわり。操作しやすいようスイッチ類の配置を見直したり、ドリンクホルダーやUSBソケットを設けたりといった改良がなされている。拡大
新型「コースター」の開発において、主査を務めた山川雅弘氏(左)と、笑顔で質疑に答える梁井康平氏(右)。エアサスペンションについては電圧の12Vへの一本化に伴い、ひとまず非設定とされたとのこと。
新型「コースター」の開発において、主査を務めた山川雅弘氏(左)と、笑顔で質疑に答える梁井康平氏(右)。エアサスペンションについては電圧の12Vへの一本化に伴い、ひとまず非設定とされたとのこと。拡大
新型「コースター」と主査の山川雅弘氏。
新型「コースター」と主査の山川雅弘氏。拡大
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