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第409回:「アウディQ2」のデザイナー
若者が求める“クルマ像”を語る

2017.05.08 エディターから一言
「アウディQ2」の発表会において、同車の特徴を説明するマティアス・フィンク氏。
「アウディQ2」の発表会において、同車の特徴を説明するマティアス・フィンク氏。拡大

アウディのコンパクトSUV「Q2」の発売に伴い、同車のデザイナーを務めたマティアス・フィンク氏が来日。同車がターゲットとしている、若者が求める“クルマ像”とはどのようなものなのか、自身も30代という若手デザイナーが語った。

アウディの新型SUV「Q2」。“ドイツ御三家”の中では比較的ユーザー層が若いとされているアウディの中でも、さらに若い層をターゲットとして開発されたモデルだ。
アウディの新型SUV「Q2」。“ドイツ御三家”の中では比較的ユーザー層が若いとされているアウディの中でも、さらに若い層をターゲットとして開発されたモデルだ。拡大
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4200×1795×1530mm。ワンサイズ上の「Q3」と比べると、200mmも短い全長が特に際立つ。
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4200×1795×1530mm。ワンサイズ上の「Q3」と比べると、200mmも短い全長が特に際立つ。拡大
<プロフィール>
1981年生まれ。ドイツ・バイエルン州シュタルンベルク出身。幼少の頃の自動車とスケッチに対する興味から、カーデザイナーを志すようになり、プフォルツハイム大学において輸送機器デザインを専攻。2012年に独アウディに入社し、今日に至るまでエクステリアデザイナーとして活躍している。
<プロフィール>
	1981年生まれ。ドイツ・バイエルン州シュタルンベルク出身。幼少の頃の自動車とスケッチに対する興味から、カーデザイナーを志すようになり、プフォルツハイム大学において輸送機器デザインを専攻。2012年に独アウディに入社し、今日に至るまでエクステリアデザイナーとして活躍している。拡大

仕事も趣味も1台のクルマでこなしたい

――若いユーザーをターゲットとしてデザインしたといいますが、具体的にはどんなライフスタイル層をイメージしましたか?

マティアス・フィンク氏(以下、フィンク):若い世代のポジティブでエネルギッシュな人たちを想定しました。何か制約されることなく、自由に生きたいという人たちです。そこでQ2は、とても敏しょうでスポーティー、それでいて使いやすくてスタイリッシュなデザインを目指しました。

――若者はクルマに何を求めていると考えましたか?

フィンク:若者は2台目、3台目のクルマを持たず、仕事も趣味もすべて1台のクルマでまかないたいと考えています。上の世代のようにスポーツカーやオープンカー、SUVを目的によって乗り分けるのではなく、すべてを1台で済ませたいのです。だから、街乗りするんだったら駐車スペースのことを考えて全長は短くしたいし、スポーティーできびきび乗りたいから車幅はある程度ワイドにしたい。山にハイキングに行くなら、室内のスペースも確保したい……ということで、とにかく全部をまかなえるようなクルマをデザインしました。

実際、このQ2は「Q3」に比べて全長は短いのですが、それでも地上高はちゃんと確保していますし、室内のスペースも十分です。いってみれば、いろんなクルマのいいとこ取りをしたクルマがQ2であり、そういった意味では若い人にはぴったりの、完璧なクルマだと思います。

イメージは“上流の尖った石”

――フィンクさん自身も、このクルマのターゲットですよね?

フィンク:プロジェクトが始まったときには30歳で、いま35歳。まさにターゲット世代のド真ん中の年齢です。私は釣りが好きで、休日には釣りに行くことが多いので、ある程度大きいラゲッジスペースが必要ですし、ある程度の地上高もほしい。一方、普段は街中で過ごすことが多く、仕事が終わってミュンヘンのアパートに帰ると、駐車スペースを探すのに時間がかかります。街中でも駐(と)めやすい、全長の短いクルマにしたかった。また、クルマは自分自身を表現するものだと思うので、ちゃんとしたスタイルにもこだわりました。

――そのために「ポリゴンデザイン」を採用したということですか?

フィンク:ダイヤモンドみたいに角がたくさんあると、面とエッジのコントラストがすごく強く出るので、若い人にはぴったりだなと思ってこのポリゴンデザインを採用しました。「ポリゴン」という言葉は古代ギリシア語に由来するもので、“ポリ”は多い、“ゴン”がエッジ、角があるという意味です。つまり、幾何学的な模様で、たくさん角があるものを指します。

Q2のデザインは上流の河原にある石です。川はよく人生になぞらえられます。最初があって終わりがある。石は人間にあたるもので、流れている時間が長くなればなるほど石も人間も丸くなりますよね。上流にある石はまだ若いので、個性が強くて尖(とが)っています。そんなイメージでQ2をデザインしました。

「一日の仕事が終わって帰ろうとしていたところ、同僚から『コンパクトSUVのスケッチ、持ってない?』と声をかけられた」と、プロジェクトが始まった当初の思い出を語るフィンク氏。
「一日の仕事が終わって帰ろうとしていたところ、同僚から『コンパクトSUVのスケッチ、持ってない?』と声をかけられた」と、プロジェクトが始まった当初の思い出を語るフィンク氏。拡大
エッジの効いた角張った意匠が特徴の「ポリゴンデザイン」。ボディーサイドでは、通常のアウディ車では1本のプレスラインが走るところを、「ヘラで真っすぐに削り取るようなイメージ」(フィンク氏)で、2本に分岐させている。
エッジの効いた角張った意匠が特徴の「ポリゴンデザイン」。ボディーサイドでは、通常のアウディ車では1本のプレスラインが走るところを、「ヘラで真っすぐに削り取るようなイメージ」(フィンク氏)で、2本に分岐させている。拡大
発表会において、アウディ ジャパンの斎藤 徹社長(左)とともに写真撮影に応じるフィンク氏。
発表会において、アウディ ジャパンの斎藤 徹社長(左)とともに写真撮影に応じるフィンク氏。拡大

便利ですぐに使えることが求められる

――Q2にはエクステリアのアクセントとしてブレード(Cピラーを飾る装飾パネル)が加えられましたが、フィンクさんのお気に入りの色の組み合わせは?

フィンク:個性を強調したければCピラーを明るい色で目立たせるというのがいいでしょう。私自身は、モノトーンの洋服を好んで着るくらいなので、濃い色のブレード、黒のクルマにカーボンやダークグレーの組み合わせが好きです。サイドウィンドウが暗いので、この組み合わせだとルーフが浮いて見えるという効果もあります。

――若者のライフスタイルに合わせるために、クルマ以外からヒントを得るものはありましたか?

フィンク:いまの若者はコンピューターを使わずにスマートフォンですべてを済ませるという世代の人たち。便利ですぐに使えるということをクルマにも求めていると思うので、Q2もそれを意識しました。また、Q2にはクールな機能として、「Audi connect」によってクルマに乗りながらチャットをしたり、Facebookをチェックしたり、eメールを送ったりと、インターネットにリアルタイムでつながっていられるコネクテッド機能が備わっています。他にもいろいろな機能があり、4つのホイールが付いているのでクルマではありますが、これまでのクルマ以上のものを提供しています。

――Q2のデザインが他の「Qファミリー」に及ぼす影響は?

フィンク:若い世代に向けたポリゴンデザイン自体はQ2独自のもので、これを他のQファミリーに採用するつもりはありません。しかし、Q2の中にあるデザイン要素で、これから出てくるQファミリーに採用されるものがいくつかあります。例えば、シングルフレームグリル。Q2では一番下の部分に角がついていますし、フレームはクロームではなくアルミを採用しました。それによってより力強く迫力のある雰囲気を出しています。これがこれからのQファミリーに採用されます。また、Cピラーは、わりと幅があり、ホイールのすぐ上に配置することでどっしりとホイールに座っている感じを与えています。このやり方は、多少形は違ってくると思いますが、Q2よりも大きなモデルにも採用していきます。

Cピラーを飾る「ブレード」には、「アイスシルバーメタリック」と「マットチタングレー」の2色を設定。さらに純正アクセサリーとして、黒のカーボン調トリムも用意している。ボディーと同色とするのも可能で、ベースグレードの「1.0 TFSI」ではモノトーンが標準となる。(写真=アウディ ジャパン)
Cピラーを飾る「ブレード」には、「アイスシルバーメタリック」と「マットチタングレー」の2色を設定。さらに純正アクセサリーとして、黒のカーボン調トリムも用意している。ボディーと同色とするのも可能で、ベースグレードの「1.0 TFSI」ではモノトーンが標準となる。(写真=アウディ ジャパン)拡大
今回の発表会において、上下黒といういでたちで登壇したフィンク氏。カラフルなボディーカラーも魅力の「Q2」だが、フィンク氏はシックな色が好みのようだ。
今回の発表会において、上下黒といういでたちで登壇したフィンク氏。カラフルなボディーカラーも魅力の「Q2」だが、フィンク氏はシックな色が好みのようだ。拡大
フロントまわりにおける「Q2」の特徴となっている八角形のグリルは、今後アウディのSUVラインナップに広く採用されていくこととなる。
フロントまわりにおける「Q2」の特徴となっている八角形のグリルは、今後アウディのSUVラインナップに広く採用されていくこととなる。拡大
2017年のジュネーブショーで発表された「Q8スポーツコンセプト」。Cピラーの形状などに、「Q2」との類似点が見て取れる。
2017年のジュネーブショーで発表された「Q8スポーツコンセプト」。Cピラーの形状などに、「Q2」との類似点が見て取れる。拡大

新しいけど、確かにアウディ

――Qファミリー用として登場したQ3や「Q7」のシングルフレームグリルが、このQ2で再び改められた理由は?

フィンク:クルマの開発は必ずしも1本のラインで行くわけではなく、分岐することもあります。変化の過程では2つの違うデザインが存在するのはありえるのです。Q2のシングルフレームグリルは、Q3やQ7とは違うデザインになりましたが、今後のQファミリーはQ2の方向で行く予定です。

――新しいデザインとこれまでのデザインをどのように融合していくのですか?

フィンク:これまでのアウディのデザインはやや控えめな印象がありましたが、今回は新しい、若いお客さま層に訴えたいということから、そのボーダーを越えるのがチャレンジでした。アウディが持っているバリューはすべて入っていますので、ひとめ見てアウディとわかるデザインに仕上がっていると思います。それと同時に、昔のアウディのモデルの特徴も一部取り込んでいます。例えば、初代「TT」のように、キャビンとボディーにソフトコネクションのないCピラーを使ってみたり、Cピラー自体が1980年代の「アウディ・クワトロ」をオマージュするデザインとなっています。

アウディらしいいろいろな要素は入っているのですが、それをフレッシュな新しい形で採り入れています。いままでとは違うデザインには見えますが、100%アウディです。

(文=生方 聡/写真=webCG/編集=堀田剛資)
 

「Q2」に盛り込まれている、歴代のアウディ車に通じるデザインの特徴を語るフィンク氏。
「Q2」に盛り込まれている、歴代のアウディ車に通じるデザインの特徴を語るフィンク氏。拡大
2015年のデトロイトショーで発表され、日本では翌年に発売された「Q7」。「Q2」とは大きく異なる、六角形のグリル形状をしている。
2015年のデトロイトショーで発表され、日本では翌年に発売された「Q7」。「Q2」とは大きく異なる、六角形のグリル形状をしている。拡大
「アウディ・クワトロ」
フルタイム4WDシステムの採用で注目を集めたアウディのスポーツクーペ。世界ラリー選手権において好成績を残し、4WDの優位を決定付けた。
「アウディ・クワトロ」
	フルタイム4WDシステムの採用で注目を集めたアウディのスポーツクーペ。世界ラリー選手権において好成績を残し、4WDの優位を決定付けた。拡大
 
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