第520回:大矢アキオのフランクフルトショー2017(前編)
自動車が『文春』にコネクトされる日がやってくる!?
2017.09.22
マッキナ あらモーダ!
本当に“ぶっちぎった”日産
毎度のことながら、フランクフルトショーに赴くときの心境は複雑だ。
イタリアではまだ海に遊びに行ける季節なのに、アルプスを越えただけで気温が一気に10度近く下がる。おかげで夏休みモードが吹っ飛び、仕事モードへのギアチェンジを迫られる。
しかし世界の自動車ショーの中でも、フランクフルトはトレンドを占う格好のショーだけに、期待が高まるのも毎回同じだ。特に近年は毎日のように「自動運転車が登場したら1日でも早く欲しい」と思っているがゆえに、ドイツ主要ブランドのコンセプトカーから目が離せない。
第67回となる今回のテーマは「Future Now」だ。日本語にすれば「未来なう」といったところである。
ドイツ自動車工業会のマティアス・ヴィースマン会長によると、今回はワールドプレミアが228(前回は219)、欧州プレミアが64、そしてドイツ国内プレミアが32という。
ただし今回はFCA、プジョー、三菱、そしてインフィニティを含む日産などが参加しなかった。「いよッ、これが本当の『ぶっちぎれ 技術の日産』か」と、くだらないことを思いついたのはともかく、2014年12月にモーターショー出展削減を発表したボルボにならう動きは、今も続いている。
それはともかく、奇抜な手法をみせてくれたのは三菱だ。メインゲートのすぐ脇のレストランの軒先に車両を展示したのだ。晴海時代の東京モーターショーを知る筆者としては、会場のすぐそばで、会期中独自に展示会を催していた日産プリンスの販売店を思い出した(日産そのものは会場内にも出展していたが)。今回の三菱はメーカーがある程度関与しているのか、それとも現地販社の独断かは不明だが、こうした“ゲリラ戦法”は今後、模倣組が出てくるかもしれない。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。20年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
-
NEW
トヨタ・ミライZ(RWD)【試乗記】
2021.3.5試乗記フルモデルチェンジでがらりと見た目の変わったトヨタの燃料電池車「ミライ」。大型FR車用のプラットフォームを用いたパッケージングや走り、そして一新された内外装デザインなど、純粋に“魅力あるクルマ”を目指したというが、果たしてその進化やいかに。 -
NEW
「自動運転のクルマ」がナウ・オン・セール! それでわれわれは救われるのか?
2021.3.5デイリーコラム出るぞ出るぞと言われてきた「自動運転レベル3」に対応するクルマが、ついにデビューを果たした。この調子で時代は「運転支援」から「自動運転」へと移行していくのだろうか? 清水草一は、そこに根本的な問題があるというのだが……! -
第696回:イタリアにEV専用フィアット系ディーラーが誕生 大矢アキオが電撃訪問!
2021.3.4マッキナ あらモーダ!イタリア・トリノに新たなフィアット系自動車ディーラー「eビレッジ」がオープンした。その特徴は電気自動車を中心とした電動モデルのみを取り扱っていることだ。「e-Village」のサインが輝く店舗に、大矢アキオが早速出向いてみた。 -
ポルシェ・パナメーラ ターボS(前編)
2021.3.4谷口信輝の新車試乗ポルシェが開発したパワフルな4ドアサルーン「パナメーラ ターボS」の走りやいかに? ワインディングロードでステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝に、その第一印象を語ってもらった。 -
ボルボC40リチャージ(デザインプロトタイプ)
2021.3.3画像・写真ボルボがクロスオーバーSUVタイプの新型電気自動車「C40リチャージ」のデザインプロトタイプを発表。「2030年までの完全電動化」をうたうボルボ初のEV専用は、どのようなクルマに仕上がっているのか? 2021年秋導入予定というニューモデルの姿を、写真で紹介する。 -
ホンダN-ONE RS(FF/6MT)【試乗記】
2021.3.3試乗記ボディーパネルの大半をキャリーオーバーという前代未聞のフルモデルチェンジを果たした「ホンダN-ONE」。となると、中身のブラッシュアップに相当な熱意が込められていると考えるのが自然だろう。新規設定されたターボエンジン×6段MT仕様に試乗した。