第928回:「IAAモビリティー2025」見聞録 ―新デザイン言語、現実派、そしてチャイナパワー―
2025.09.18 マッキナ あらモーダ!「アグレッシブ」からの脱却
欧州を代表する自動車展示会のひとつ「IAAモビリティー」が、2025年9月8日から14日まで、ドイツ・ミュンヘンで開催された。同地におけるIAAモビリティーの開催は今回で3回目。過去2回と同様に、メッセ会場と市内会場の2カ所を舞台に行われた。期間中に発表・公開された新型車については各記事に詳しいので、本稿では両会場で見聞した事象と新しい潮流をお伝えしたい。
ヨーロッパの自動車産業が置かれた状況を集約してくれたのは、フォルクスワーゲン・グループのオリバー・ブルーメCEOのスピーチだ。同氏は直面している問題として、欧州の需要減少、イノベーションの加速化、中国での価格競争、緊張する貿易問題、レギュレーションの厳格化、期待ほど進まない欧州と米国における電気自動車(BEV)普及を挙げた。さらに、その解決策は、コスト低減、生産性向上、煩雑な要素の低減、そして相乗効果の効率的実現であると語った。
今回、ドイツ系プレミアムブランドのスターといえば、「BMW iX3」と「メルセデス・ベンツGLC」で、いずれもBEVオンリーである。iX3は、2023年のIAAでコンセプトカーを展示した「ノイエクラッセ」シリーズの第1弾である。BMWグループのデザインを統括するエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏は、良好な空力形状をともなったクリーンなシェイプであることを強調する。
いっぽう、メルセデス・ベンツGLCのフロントには、伝統的なフロントグリルを再解釈した新デザインが採用されている。合計942ドットのバックライトを用いた照明付きバージョンも用意される。メルセデス・ベンツ・グループのチーフデザインオフィサー、ゴードン・ワグナー氏は「私たちのブランドの顔を再定義します」とコメントするとともに、今後他のモデルにも適用することを示唆している。
いっぽう、アウディは先にミラノで世界初公開した「コンセプトC」を市内会場で公開した。こちらも同ブランドの新デザイン言語を示すとともに、今後のアウディ市販車のフロントフェイスを暗示している。2024年からチーフクリエイティブオフィサーを務めているマッシモ・フラシェッラ氏は、ベルトーネを振り出しにフォード/リンカーンに移籍。次に在籍したジャガー・ランドローバーでは「タイプ00コンセプト」を発表してファンに衝撃を巻き起こした人物である。今回のコンセプトCは、ミニマリズムの追求という点で、同車と共通するものがある。
iX3とコンセプトCから明らかなのは、従来の典型的中国ユーザーを意識したアグレッシブなデザインが一段落したことだ。新しい世代を意識したクリーンなデザインへと、ドイツのプレミアムブランドが舵を切り始めた。
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