第450回:総勢500台のマシンが富士に集結
創業40周年を祝うNICOLE Circuit Dayをリポート
2017.10.12
エディターから一言
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BMWアルピナをはじめとした欧州のプレミアムカーを取り扱うニコル・レーシング・ジャパン。同社が主催するサーキットイベント「NICOLE Circuit Day」が富士スピードウェイで開催された。創業40周年という、記念すべき年に催されたイベントの様子を報告する。
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アルピナはもちろん、ロールスやフェラーリも集合
心地よい秋晴れの一日となった9月30日、ドイツ・アルピナ社のインポーターであるニコル・オートモビルズで知られるニコル・グループ主催のサーキットイベント、NICOLE Circuit Dayが富士スピードウェイで行われた。
5年に1回のペースで実施されている同イベントだが、今回はニコル・グループの主幹会社であるニコル・レーシング・ジャパンの創立40周年を記念したお祝いでもある。参加車両は、BMWアルピナを中心に、ニコルが展開する輸入車ディーラーで取り扱うBMW、MINI、ロールス・ロイス、フェラーリなど総勢500台が集結。参加者は1000人にものぼった。
やはり最も台数が多いのは、日本各地から集結したBMWアルピナたち。パドック前の駐車スペースに新旧さまざまなアルピナが並ぶ姿がまさに圧巻だった。中にはBMWとしても希少な存在であるZ8をベースにした“ロードスターV8”などの珍しいモデルの姿もチラホラ。ボディーカラーにおいても定番のアルピナブルーやアルピナグリーンに限らず、珍しい色も見受けられ、参加者たちの駐車エリアを眺めているだけでも十分ワクワクさせるものがあった。アルピナ以外でも、BMWのMモデルや「フェラーリF40」など、特に走りを意識させるモデルたちが多く顔をそろえていた。
自動車史に名を刻む名車の姿も
展示エリアでは、BMWアルピナのフルラインナップと共に、2台のヒストリー車も展示。特に、日本に正規導入された初のアルピナである「BMWアルピナB7ターボ」は、この展示車両が第1号車そのもの。このB7ターボは、ニコル所有のもので、長く大切に所有していたオーナーが手放す際に譲ってもらったとのこと。もう一台は、希少な「BMW Z1」をベースに開発された、世界66台の限定モデル「BMWアルピナ・ロードスター リミテッドエディション」で、こちらはアルピナ社よりニコルに送られた製造番号1号車だという。Z1の特徴である格納式ドアが開いた状態だったため、来場者たちの“BMWトーク”の種となっていた。
このほかにも、ニコルが取り扱うBMW、MINI、ロールス・ロイス、フェラーリの新車に触れられる展示スペースのほかに、会場ではもうひとつ、ニコルの歴史を物語る貴重なモデルの特別展示があった。それがイタフラの融合が生んだモンスター、「ブガッティEB110」だ。かつてニコル・レーシング・ジャパンは、ブガッティの日本総代理店を務めており、現在もメンテナンスサービスを提供している。会場内には、青い2台の「EB110GT」とシルバーの「EB110スポーツストラダーレ」が並べられ、このうちEB110GTの一台は、その歴史の証人ともいえる正規輸入第1号車であった。
走りを磨いたプレミアムカーの競演
イベントにはスペシャルゲストとして、元F1ドライバーで、現在もインディーカーで活躍するファン・パブロ・モントーヤ選手と、アルピナ社のアンドレアス・ボーフェンジーペン社長も登場。サイン会を行うなどしてファンとの交流を図った。
また、ふたりはBMWアルピナのレーシングカー「BMW ALPINA B6 GT3 Red Bull」によるデモンストレーションランも実施。このマシンは2015年フロリダ州デイトナ・スピードウェイで開催されたHSR Classic 24時間レースに参戦したものだ。富士のホームストレートをとてつもない速さで駆け抜け、集まったファンの目をくぎ付けにしていた。さらには、この日幸運に恵まれた人に対し、ボーフェンジーペン社長がドライブするこのマシンを助手席で体験できる同乗試乗も開催。普段はまずお目にかかれないBMW ALPINA B6 GT3に対する来場者の関心は高く、展示中も常に多くの人だかりができていた。
コースでは、レーシングランをはじめとするサーキット走行も実施。BMWの走りの良さを磨き上げたアルピナを選ぶオーナーたちだけあって、サーキット走行会も大盛況。特に家族や仲間との同乗が可能で、のんびりとサーキットを走るファミリーランやパレードランは、「ほとんどの来場車が参加しているのでは?」と思わせるほどのBMWとアルピナで、サーキットが埋め尽くされた。またコースサイドで見学していると、BMWとは一味違うアルピナサウンドを堪能することができ、これもまた、このイベントならではの体験だと感じられた。
恋人や家族と訪れても一日楽しめるよう、女性や子供向けのホスピタリティーもしっかり完備されていた同イベントだが、やはり一番元気だったのは、少年の心を忘れないオーナーたちだ。同じクルマを愛する者同士だけあって、誰もがフレンドリーでアットホームな印象だった。日本でアルピナがこれほど集まるイベントは他にはないだけに、アルピナファンはぜひ、5年後のイベントに出向いてほしいと思う。
(文=大音安弘/写真=大音安弘、ニコル・レーシング・ジャパン/編集=堀田剛資)

大音 安弘
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