「アルファ・ロメオ・ザウバーF1チーム」誕生
老舗ブランド復活の背景とは?
2017.12.08
デイリーコラム
モータースポーツのレジェンド再び
2017年11月29日、スイスに本拠地を置くF1チームのザウバーと、イタリアの自動車ブランドであるアルファ・ロメオのパートナーシップが発表された。両社は2018年から「アルファ・ロメオ・ザウバーF1チーム」としてエントリー。今後複数年にわたり技術面、コマーシャル面で協業することとなった。
「アルファ・ロメオが“再び”F1へ」との報は世界を瞬く間に駆け巡ったが、このイタリアのブランドがカーレースにおいて獅子奮迅の勢いで大活躍したのは、実はF1以前のことである。
20世紀初頭のミラノで創業したアルファは、1920~30年代のモータースポーツ黎明(れいめい)期の強豪として名をはせた。タツィオ・ヌヴォラーリ、アキーレ・ヴァルツィといった伝説的ドライバーたちを擁し、タルガ・フローリオ、ミッレ・ミリアといったビッグレースやグランプリで数々の勝利をおさめていた。この「アルファ黄金期」に、アルファのチーム内外で頭角をあらわし、後に自らの名前を冠した“スクーデリア”を立ち上げるのが、ご存じ、エンツォ・フェラーリである。
第2次世界大戦後の1950年、世界選手権としてF1がスタートすると、アルファ・ロメオは、“ニーノ”ことジュゼッペ・ファリーナやファン・マヌエル・ファンジオらとともに参戦。名車「158」は出場した6戦で全勝(インディアナポリスでのアメリカGPは不参加)、ファリーナは初代チャンピオンに輝いた。翌年も改良型「159」を駆りファンジオがタイトルを獲得したのだが、資金難に陥ったチームはわずか2年でF1から撤退せざるを得なかった。新時代の担い手として台頭しつつあったフェラーリは、同年第5戦イギリスGPでF1初優勝。古巣アルファを破ったエンツォの「母親を殺してしまった」という発言はあまりにも有名である。
その後、1960年代には散発的にF1に出場することもあったアルファ・ロメオは、1970年代に入ってから復帰に向けて徐々に足固めを行い、1978年にはアルファ製水平対向12気筒エンジンを搭載したブラバムが2勝(そのうちスウェーデンGPでの1勝は、ダウンフォースを発生させるため、マシン後端に巨大なファンを装着し物議を醸した通称「ファン・カー」によるものだった)。そして1979年からはいよいよフルワークスとして復帰を果たすことになった。
しかし、戦績は芳しくなかった。1981年にはF1王者マリオ・アンドレッティをチームに招くなどし上位を狙ったが、再び表彰台の頂点に立つことはなく、結局1985年をもってファクトリーチームとしての活動を終了。112戦に出場し10勝(すべて1950年代)、ポールポジション12回(うち1980年代に2回)というのが、今日までのF1におけるアルファ・ロメオの記録である(エンジンサプライヤーとしては1987年まで参戦、212戦出場12勝)。
1990年代になるとDTMなどのツーリングカーシリーズに参戦することはあったが、アルファ・ロメオとF1は、それから30年以上疎遠な状態が続くことになった。
![]() |
-
NEW
ヤマハ・トリシティ300(CVT)【レビュー】
2021.1.26試乗記フロントに2つのタイヤが付いた、ちょっと変わったオートバイ。ヤマハが提案する新型三輪モデル「トリシティ300」に乗ったなら、普通の二輪車とはかなり違ったバイクライフが送れるに違いない。 -
トライアンフ・トライデント660
2021.1.25画像・写真トライアンフの新型モーターサイクル「トライデント660」が、東京・渋谷の「代官山 蔦屋書店」に展示された。新開発の水冷3気筒エンジンを搭載した、軽快なミドルクラス・ネイキッドモデルの詳細な姿を、写真で紹介する。 -
月に1度の特別なメールマガジン『月刊webCG通信』 EVは選べる時代! あなたのチョイスは?
2021.1.25From Our StaffwebCG執筆陣によるコラムや月間アクセスランキング、読者アンケートなど、さまざまなコンテンツを通して自動車業界の1カ月を振り返る『月刊webCG通信』。2月号では、ついに“選べる時代”を迎えた電気自動車について、読者の皆さまのご意見を大募集いたします! -
コロナ禍が売れるクルマを変えた? 自動車市場の2020年を販売データから振り返る
2021.1.25デイリーコラム日本全国が新型コロナウイルス感染症の猛威にさらされた2020年。この年は、自動車市場にとってどのような一年となったのか? 各団体が発表した統計データから振り返るとともに、コロナ禍がもたらした自動車ユーザーの嗜好の変化を考察した。 -
スバルXVアドバンス(4WD/CVT)【試乗記】
2021.1.25試乗記フルモデルチェンジから3年を経て、再びの改良を受けた「スバルXV」。国内外の有力モデルがひしめくコンパクトSUV市場において、XVだけが持つライバルにはない魅力とは? わが道を行くスバル製クロスオーバーの、唯一無二の個性に触れた。 -
ロータス・エキシージ スポーツ410(前編)
2021.1.24池沢早人師の恋するニューモデル漫画『サーキットの狼』の作者、池沢早人師が今回ステアリングを握るのは「ロータス・エキシージ スポーツ410」。劇中で主人公・風吹裕矢の愛車として活躍した「ロータス・ヨーロッパ」のDNAを受け継ぐ、軽量ミドシップスポーツの走りとは?