フォルクスワーゲン・アルテオンRライン4MOTIONアドバンス(4WD/7AT)/ゴルフRパフォーマンス(4WD/7AT)/ゴルフGTIパフォーマンス(FF/7AT)
次代のイメージリーダー 2017.12.20 試乗記 フォルクスワーゲンが最新モデル24台を集めたオールラインナップ試乗会を開催。新たなフラッグシップの「アルテオン」と、「ゴルフ」のホットバージョン2台を連れ出し、その出来栄えを確かめた。お目当てはニューフェイスのアルテオン
年末恒例、フォルクスワーゲンのオールラインナップ試乗会が横浜で開催された。会場には20台以上の試乗車が用意され、東京モーターショー直前に次々と発表されたニューモデルや限定車も待ち構えていた。そんな中で、私が一番乗りたかったのが、フォルクスワーゲンの新しいフラッグシップモデルになった4ドアクーペのアルテオン。もちろんこれまでにも実車を見る機会はあったが、動かしたことは一度もなかったからだ。
用意されたアルテオンをあらためて眺めてみると、どのフォルクスワーゲンにも似ていない新しいフロントマスクや、4ドアクーペと呼ぶにふさわしいスタイリッシュなフォルムが心をくすぐる。ここからフォルクスワーゲンのデザインが大きく変わるかもしれないという予感を覚えるほどだ。
早速、運転席に座ると、「アドバンス」と呼ばれる上級グレードにおごられる液晶メーターの「アクティブインフォディスプレイ」が視界に入る。ダッシュボードのデザインは「パサート」に準じているが、「Rライン」特有のブラックのルーフライニングやアルミのデコラティブパネルなどにより、スポーティーな雰囲気に仕上げられているのもいい。
驚いたのは、後席の広さ。パサートよりも45mm長い、2835mmのホイールベースのおかげで、身長167cmの私が運転席のポジションを合わせた状態で、後席のニールームは30cmにも及ぶ。それはラクに足が組める広さで、ひとクラス上の「メルセデス・ベンツEクラス」や「BMW 5シリーズ」をしのぐほどだ。
上質な乗り心地も魅力
再び運転席に戻り、早速スタート。アルテオンのエンジンルームには、「ゴルフR」用をデチューンした2リッター直列4気筒ターボが搭載される。最高出力は30ps控えめな280psで、これにデュアルクラッチトランスミッションの7段DSGと4WDの4MOTIONが組み合わされるから、ゴルフRのパワートレインをほぼそのまま移植したといってもあながち間違いではない。
4気筒とはいえ、これだけハイパフォーマンスのエンジンを搭載するアルテオンだけに思いのほか動きは軽快で、2リッターエンジンもとても力強い。常用する2500rpm以下の領域でもストレスを感じさせないが、3500rpmを超えたあたりからの加速はさらに強力である。
乗り心地は、車両の走行モードをノーマルにセットした状態では実にマイルドで快適なものだ。これは街中から高速まで変わらぬ印象である。ただ、アドバンスグレードには245/35R20サイズのタイヤが装着されることもあって、目地段差などを越える場面では多少ショックを伝えることもあるが、決して不快というほどではない。
このエンジンとこのシャシーなら長距離移動もラクだろう。さらに、大型のテールゲートを開けると、ステーションワゴンに迫る広大なラゲッジスペースが現れるから、荷物をたくさん積んで出掛けるのも苦にならない。見た目がスタイリッシュで、走りも上質。後席や荷室も広いアルテオンは、今後じわじわと人気を高めていくのではないかと、個人的には期待している。
限定版Rはバーゲンプライス
この日は貴重な限定車にも試乗することができた。まずは「ゴルフRパフォーマンス」。パフォーマンスといっても、搭載する2リッター直列4気筒ターボエンジンはノーマルと同じ310ps。では何が特別かというと、人気のアクラポヴィッチとフォルクスワーゲンRとが共同開発したチタンエキゾーストシステムが装着されているのだ。
ノーマルモードではおとなしい印象だが、レースモードに切り替えた途端、一気に太い音質になり、ただ者ではない雰囲気を漂わせる。そして、アクセルペダルを踏み込んで加速を試みると、ちょうど2900rpmを境にエンジンがふっと軽くなり、明らかに音色を変えた排気音とともに加速が勢いづいていく。
ただ、レースモードを選ぶと、エンジンの回転に合わせて“サウンドジェネレーター”と呼ばれるスピーカーからの合成音がキャビンに響き、やや演出過剰気味。そんなときは、カスタム機能で「ドライブ」を“レース”に、「エンジン音」を“エコ”または“コンフォート”に設定することで、より気持ちの良いエキゾーストサウンドを楽しむことができる。
さらにゴルフRパフォーマンスには、ノーマルから1インチアップしたアルミホイールと235/35R19サイズのスポーツタイヤが装着される。そして、フロントブレーキがドリルドベンチレーテッドディスクに代わるなど、魅力的なアップグレードがたくさんある。そのおかげで、コーナリング時のグリップが増し、また、ブレーキング時の制動力も明らかに向上している。
他にもさまざまな装備が付くにもかかわらず、ベースモデルに対して40万円高というのはまさにバーゲンプライス! それだけにわずか100台の限定車は、すでに完売という話である。
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パフォーマンスに目を見張る
そしてもう1台の限定車が「ゴルフGTIパフォーマンス」。以前にも限定車として販売されたこのクルマが、ゴルフのマイナーチェンジによりバージョンアップされて、日本に再上陸したのだ。
ベースとなるゴルフGTIと同じ2リッター直列4気筒ターボを搭載するのだが、チューンが異なるため、最高出力は15ps増の245ps、最大トルクは20Nm増の370Nmへ。さらにデュアルクラッチトランスミッションのDSGが、同じ湿式多板クラッチタイプの6段から7段にグレードアップされた。
加えて、前後ブレーキの大型化が図られ、ブレーキキャリパーには「GTI」の文字が記される。アルミホイールも1インチアップされ、235/35R19タイヤが組み合わされる。
そして、一番のハイライトは、標準のゴルフGTIには用意されない電子制御油圧多板クラッチ式のフロントデファレンシャルロックが採用されることだ。これにより、コーナリング時のトラクション性能が高まるのだ。街中を走るような場面ではあまり恩恵はないが、サーキットでコーナーを駆け抜けるようなときには、アンダーステアを抑えることができ、ゴルフGTIの優れたハンドリング性能をさらに高めてくれるというわけだ。
さらに、パワーアップした2リッターエンジンがもたらす優れたアクセルレスポンスや、よりスムーズになった7段DSG、しなやかな動きを見せるサスペンションなど、その仕上がりは目を見張るほど。こちらは500台の限定販売だが、個人的にはゴルフRパフォーマンス以上に気に入ってしまった一台である。
(文=生方 聡/写真=小河原認/編集=藤沢 勝)
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テスト車のデータ
フォルクスワーゲン・アルテオンRライン4MOTIONアドバンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4865×1875×1435mm
ホイールベース:2835mm
車重:1720kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:280ps(206kW)/5600-6500rpm
最大トルク:350Nm(35.7kgm)/1700-5600rpm
タイヤ:(前)245/35ZR20 95Y/(後)(前)245/35ZR20 95Y(ピレリPゼロ)
燃費:13.3km/リッター(JC08モード)
価格:599万円/テスト車=618万4400円
オプション装備:有償オプションカラー<ターメリックイエローメタリック>(6万4800円)/電動パノラマスライディングルーフ(12万9600円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:1652km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
フォルクスワーゲン・ゴルフRパフォーマンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4275×1800×1465mm
ホイールベース:2635mm
車重:1510kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:310ps(228kW)/5500-6500rpm
最大トルク:400Nm(40.8kgm)/2000-5400rpm
タイヤ:(前)235/35R19 91Y/(後)235/35R19 91Y(コンチネンタル・スポーツコンタクト5P)
燃費:13.0km/リッター(JC08モード)
価格:599万円/テスト車=603万3200円
オプション装備:フロアマット<プレミアムクリーン>(4万3200円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:1840km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
フォルクスワーゲン・ゴルフGTIパフォーマンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4275×1800×1470mm
ホイールベース:2635mm
車重:1430kg
駆動方式:FF
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:7段AT
最高出力:245ps(180kW)/5000-6700rpm
最大トルク:370Nm(37.7kgm)/1600-4300rpm
タイヤ:(前)225/35R19 88Y/(後)225/35R19 88Y(ピレリPゼロ)
燃費:14.0km/リッター(JC08モード)
価格:456万円/テスト車=460万8600円
オプション装備:フロアマット<GTI>(4万8600円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:2629km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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