第533回:【Movie】4台に1台はトヨタ車だった!
大矢アキオ、捨て身の路上調査員「ハリウッド大通り編」
2017.12.22
マッキナ あらモーダ!
「アメリカ車」が来ないゾ
世界各地でありのままのクルマ生態を観察する『捨て身の路上調査員』シリーズ、今回は米国ロサンゼルスの名所「ハリウッド大通り」に立ってみた。
2017年11月末の平日夕方、5分間に同一方向に向かって走った102台をブランド別に分類した結果は、以下のとおりである。
ダウンタウンをぶらつくだけで、トヨタ車、特に「プリウス」が多いことは肌で感じていたが、それを数字が裏づけてくれた。実に27%。4台に1台以上がトヨタ車だったのだ。レクサスを加えると、トヨタ系の占める割合は31%にまで増加する。
1位 トヨタ:28台
2位 日産:13台
3位 メルセデス・ベンツ/シボレー:各7台
5位 フォード:6台
7位 アウディ/フォルクスワーゲン:各5台
9位 レクサス/ホンダ/キア:各4台
12位 ヒュンダイ/リンカーン:各3台
14位 クライスラー/ジープ/レンジローバー:各2台
16位 アキュラ/スバル/マツダ/テスラ/BMW/MINI/ダッジ:各1台
商用車はカウントから除外したが、フォードの最多販売車種である「Fシリーズ」をはじめ、ピックアップトラックが少なかったのは、やはり都市部の、それも中心という背景があろう。
それにしても、アメリカ系ブランドの少なさよ。すべて合わせても19台。ドイツ系の合計と同数だ。トヨタとは開きがある。調査中、生産終了したポンティアック、オールズモビル、マーキュリーはもとより、今日存在するキャデラックやビュイックさえ現れなかった。
今日、日・独のブランドは米国で数々のモデルを生産し、現地部品調達率を高めて、多くの雇用も創出している。企業市民としての役割を十分に果たしていることは紛れもない事実だから、何も後ろめたいことはない。だが、ロサンゼルスの“自動車風景”において、米国発祥ブランドは日独ブランドに負けたといって過言ではない。
最後にもうひとつ。ボクが住むイタリアをはじめ欧州の路上で、昨今のレクサスにおける“スピンドルグリル”や、日産の“Vモーショングリル”はかなり強烈で、時に過剰な造形にも見える。しかし、ロサンゼルスのダイナミックな風景の中では、それら主張あるディテールが自然に映ることに驚く。
いずれのブランドも最多販売国で、どのように見えるかをデザインの基準としていることを再認識したのであった。
(文と写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/編集=関 顕也)
【Movie】捨て身の路上調査員「ハリウッド大通り編」
(撮影と編集=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>)
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大矢 アキオ
Akio Lorenzo OYA 在イタリアジャーナリスト/コラムニスト。日本の音大でバイオリンを専攻、大学院で芸術学、イタリアの大学院で文化史を修める。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとしてシエナに在住。NHKのイタリア語およびフランス語テキストや、デザイン誌等で執筆活動を展開。NHK『ラジオ深夜便』では、24年間にわたってリポーターを務めている。『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり』(コスミック出版)など著書・訳書多数。近著は『シトロエン2CV、DSを手掛けた自動車デザイナー ベルトーニのデザイン活動の軌跡』(三樹書房)。イタリア自動車歴史協会会員。
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