クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

番外編:男たちは荒野を目指す

2018.03.20 バイパーほったの ヘビの毒にやられまして 堀田 剛資
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!
フォードが誇る高性能オフローダー「F-150ラプター」。荒野をぶっ飛ばすことだけに特化した“走り”のピックアップトラックである。
フォードが誇る高性能オフローダー「F-150ラプター」。荒野をぶっ飛ばすことだけに特化した“走り”のピックアップトラックである。拡大

トーヨータイヤの試走会に、佐野弘宗氏の公道インプレ、そして「谷口信輝の新車試乗」と、2カ月にわたりwebCGを荒らしまわった「フォードF-150ラプター」。この怪物に引導を渡すべく、今回はついにギョーカイ屈指の“オフロード野郎”が登場! webCGほったとともに、オフロード・モンスターの実力を語り尽くす。

webCGメンバーがいつもお世話になっているカメラマンのこうご氏。いわゆる“オフロード野郎”な上にフランス車もたしなむ“乗り心地原理主義者”で、試乗会や取材会では、ジャーナリストそっちのけで開発者と話しこんでしまうこともしばしば。困ったもんである。
webCGメンバーがいつもお世話になっているカメラマンのこうご氏。いわゆる“オフロード野郎”な上にフランス車もたしなむ“乗り心地原理主義者”で、試乗会や取材会では、ジャーナリストそっちのけで開発者と話しこんでしまうこともしばしば。困ったもんである。拡大
こうご氏のマイカーである「ルノー・セニックRX4」。ステキな乗り味と操作感抜群の実用系5MT、非力なことこのうえない2リッター直4エンジンが持ち味で、ロケ場所へのアシとして使われるたびに、あまたのジャーナリストや編集者を骨抜きにしてきた罪深い一台である。
こうご氏のマイカーである「ルノー・セニックRX4」。ステキな乗り味と操作感抜群の実用系5MT、非力なことこのうえない2リッター直4エンジンが持ち味で、ロケ場所へのアシとして使われるたびに、あまたのジャーナリストや編集者を骨抜きにしてきた罪深い一台である。拡大
今回取材した「フォードF-150ラプター」は、トーヨータイヤがデモカーとして所有しているもの。オフロード試乗会の取材担当だったwebCGほったが、広報部に怒涛(どとう)の電話&メール攻勢をかけて借り受けたものだ。そして借り受けてから、そのデカさゆえ編集部駐車場に止められないことが発覚した。
今回取材した「フォードF-150ラプター」は、トーヨータイヤがデモカーとして所有しているもの。オフロード試乗会の取材担当だったwebCGほったが、広報部に怒涛(どとう)の電話&メール攻勢をかけて借り受けたものだ。そして借り受けてから、そのデカさゆえ編集部駐車場に止められないことが発覚した。拡大
今回の、もう1人(?)の主役であるトーヨーのSUV用タイヤ「OPEN COUNTRY R/T」。製品名の「R/T」とはRugged Terrainの略で、キャラクター的には泥濘(でいねい)地用のマッドテレインと、“オン”と“オフ”の双方に配慮したオールテレインの中間に位置している。
今回の、もう1人(?)の主役であるトーヨーのSUV用タイヤ「OPEN COUNTRY R/T」。製品名の「R/T」とはRugged Terrainの略で、キャラクター的には泥濘(でいねい)地用のマッドテレインと、“オン”と“オフ”の双方に配慮したオールテレインの中間に位置している。拡大
その巨体ゆえ、編集部の駐車場でも武蔵野のコインパーキングでも“受け入れ拒否”されてしまった「ラプター」。取材期間中は千葉・市川の堀田家の実家駐車場で預かることとなり、編集部ほったはロケのたびに日の出前の出発を余儀なくされた。
その巨体ゆえ、編集部の駐車場でも武蔵野のコインパーキングでも“受け入れ拒否”されてしまった「ラプター」。取材期間中は千葉・市川の堀田家の実家駐車場で預かることとなり、編集部ほったはロケのたびに日の出前の出発を余儀なくされた。拡大

ボディーサイズがでかすぎる

ほった:どーも。こんにちは。マイホームパパなのに、よりによって3連休の最終日に呼び出してしまいモシワケない。家族サービスとか、大丈夫でした?

こうご:後で補填(ほてん)してね。

ほった:来期のwebCG予算に計上しておきますよ。……それで今日も、足は「セニック(ルノー・セニックRX4)」ですか。

こうご:そうよ。このコ、意外とオフロードでもイイのよ足が。

ほった:いやいや。そんなことより大丈夫なんですか? ドライブトレインのアレやコレやから、豪快にオイル漏れしてたんでしょ? そのうちに苦労話とか取材させてもらいますからね。

こうご:その時は出演料を請求させてもらうから。

ほった:来期のwebCG予算に以下略。

こうご:今の言葉、来期まで覚えておくからね。……で、これが例のクルマかね。

ほった:はい。トーヨーさんがデモカーとしてかの地より取り寄せた、フォードF-150ラプターでございます。

こうご:デカいね!

ほった:フルサイズのピックアップにオバフェン付けて倍率ドン。さらに専用サスでタッパも上げて、上下方向も抜かりなし。車検証読みで全長×全幅×全高=590×224×199cmの、オフロード・モンスターでございます。編集部の“ビル駐”にも武蔵野かいわいのコインパーキングにも止められなくて、この連休は市川の実家、堀田家の平置き駐車場でお世話になっている身。本日も、市川より来たりて市川に帰る予定です。

こうご:日本のインフラだと完全に持て余すクルマだねえ。運転すんの怖いんだけど。

ほった:それじゃあ、途中のPAまで自分が運転しますから、こうごさんは助手席インプレがてら、車幅感覚に目を慣らしといてください。ちなみにタイヤは「OPEN COUNTRY R/T」。マッドテレインとオールテレインの間に位置する、ちょっと珍しい性格のシロモノですね。今日は、フォード・ラプターもトーヨーのオフロードタイヤも、骨の髄までしゃぶりつくす所存ですので、気合い入れていきましょう。

フォード の中古車webCG中古車検索

第一印象はシトロエン?

こうご:それにしても、なんでまた僕がこんなののインプレを語ることになったわけ? どうせ(?)ちゃんとした試乗記も載せるんでしょ?

ほった:それはモチロン。トーヨーのオフロード試乗会は河村さん、公道でのインプレは佐野さんと、webCG執筆陣のなかでも屈指の大御所&ガチ・オブ・ガチ勢に筆を執ってもらいました。しかしですね、これほどのクルマですよ? 取材できる機会なんてめったにないし、これは本気で“オフ”を語れる人からも言葉をもらいたいと思ったわけですよ。

こうごさんは「100系ハイエース」に“オフ車”(オフロードバイク)を積んで富士山を1周したり、「70系ランクル」でせっせと山登りにいそしんでいた御仁。しかも最近まで「いすゞ・ビークロス」なんて珍車、もとい名車を乗り回していましたよね? オフロードを語らせる上でも、リーフリジッドを語らせる上でも、これほどの適役はないと思い、スマホを手に取った次第です。

こうご:ビークロス、いいクルマだったのよ~。

ほった:ラリーカーそのまんまだったアシも含めて、エンジニアとデザイナーのリビドーが噴火しちゃったようなクルマでしたからねえ。それはさておき、今は高速の右車線をいいペースでぶっ飛ばしているわけですが、先生、ファーストインプレッションはいかがでしょ?

こうご:コンソールでけえ!

ほった:いや、そういうこと聞いてるんじゃないんですけど。

こうご:意外に乗り心地いいね。サスペンションのストローク感が好みというか。うねりが入るときに“ふにょ、ふにょ”って動くでしょ。このいなし方というか、ストロークの速さがいい。あと、入力が入った瞬間の初期の動きが、シトロエンっぽい。

ほった:アメ車なのに?

こうご:アメ車なのに。というか、あらためて乗るといいねアメ車。いいね、ピックアップ。でも、“素”のF-150はこんなにストロークしないよね?

ほった:でしょうね。このクルマ、アシが普通のと全然違うから。

国産車ではあまり見られないような厚みのある意匠が目を引くインストゥルメントパネル。よじ登るようにして乗り込んだ車内からの見晴らしは上々で、ベッド(荷台)のある後方を除くと、クルマの“見切り”は非常に良好だった。
国産車ではあまり見られないような厚みのある意匠が目を引くインストゥルメントパネル。よじ登るようにして乗り込んだ車内からの見晴らしは上々で、ベッド(荷台)のある後方を除くと、クルマの“見切り”は非常に良好だった。拡大
運転席はステアリングのチルトとテレスコピック、シートのスライドとリクライニングに加え、ペダルの位置も前後に調整可能。こうご氏もwebCGほったも、無理なくドライビングポジションを合わせることができた。
運転席はステアリングのチルトとテレスコピック、シートのスライドとリクライニングに加え、ペダルの位置も前後に調整可能。こうご氏もwebCGほったも、無理なくドライビングポジションを合わせることができた。拡大
「ビッグホーン」のプラットフォームをベースに開発された高性能クロカン「ビークロス」。ぶっとんだデザインに目が奪われがちだが、競技車両ばりのタンク別体ダンパーなど、中身も相当に気合の入ったクルマだった。(写真=いすゞ)
「ビッグホーン」のプラットフォームをベースに開発された高性能クロカン「ビークロス」。ぶっとんだデザインに目が奪われがちだが、競技車両ばりのタンク別体ダンパーなど、中身も相当に気合の入ったクルマだった。(写真=いすゞ)拡大
こうご氏が心奪われた、超巨大センターコンソール……というかアームレスト。下は、座ったままではしまったものを取り出せないほどの(経験談)、深さのある収納ボックスになっていた。
こうご氏が心奪われた、超巨大センターコンソール……というかアームレスト。下は、座ったままではしまったものを取り出せないほどの(経験談)、深さのある収納ボックスになっていた。拡大
デカいといえば、ドアミラーのデカさも「ラプター」では印象的だった。クルマ側の全幅の大きさもあり、今回ほど電動格納機構をありがたく思ったことはない。
デカいといえば、ドアミラーのデカさも「ラプター」では印象的だった。クルマ側の全幅の大きさもあり、今回ほど電動格納機構をありがたく思ったことはない。拡大

リーフスプリングは奥が深い

ほった:引き続き、今度はこうご氏がハンドルを握って目的地へとキャノンボール中です。どうでしょう、現場の向後さん。実際に運転した感じは。

こうご:やっぱりいいね! 乗用車用のリアリーフリジッドのサスペンションとして、いい仕事してるよ。

ほった:まだアシの話するんですか? それと“乗用車”って、このクルマ一応フルサイズのピックアップトラックなんですけど。

こうご:350kg積みでしょう? そんなのアメリカじゃ乗用車と一緒だよ(笑)。
この乗り心地、なんていうか日本のドライバーが「リーフサス」に持つイメージと、だいぶかけ離れてるよね。やっぱりアメ車だからかな。

ほった:ほぅ、アメ車だからと。その心は?

こうご:例えば、昔の「ハイラックス ダブルキャブ」なんかはぜんぜんアシが動かなくて、乗り心地ももっとガッツンガッツンしてたのよ。このあいだ期間限定で復活した70ランクルはずいぶんよくなってたけど、あれも昔はすごかったからね。でもさ、例えば「XJチェロキー」なんて、同じリーフリジッドでもアシが柔らかーくストロークするんだよ。乗ったことある?

ほった:1度だけですが。リーフだからって“やわらか系”のチューニングができないわけじゃないということですね。

こうご:そう。リーフだから乗り心地が悪いとか、硬い、ハネるってわけじゃないんだよね。日本じゃリーフサスといえば商用車で、商用車だから耐荷重の都合でそうなってただけっていう。僕が昔乗ってた1t積みのハイエースも、空荷のときはとにかくハネまくって、300kgぐらい積んだらやっとリアが沈んで「多少は動くようになるかなあ」てな感じだった。ちょうどバイク2台くらいだったかな。

ほった:奥が深いんですねえ。

こうご:奥が深いのよ。これは某ジムニー屋さんの受け売りなんだけどさ、そもそもリーフサスって板バネを重ねると板の間でフリクションが発生するじゃない。これがデカいと硬く感じるし、スムーズだと柔らかく感じる。板バネの枚数と硬さだけでは、リーフサスは語れないよ。

某パーキングエリアで一休み中の「ラプター」。日本では正規販売されていないモデルだが、今日のアメ車の中では、輸入車屋さんが積極的に取り扱っているクルマでもある。興味のある人は、ちょっとググってみよう。
某パーキングエリアで一休み中の「ラプター」。日本では正規販売されていないモデルだが、今日のアメ車の中では、輸入車屋さんが積極的に取り扱っているクルマでもある。興味のある人は、ちょっとググってみよう。拡大
フロントのサスペンション形式は独立懸架のダブルウイッシュボーン。アルミ製ロワアームのゴツさにぜひ注目してほしい。
フロントのサスペンション形式は独立懸架のダブルウイッシュボーン。アルミ製ロワアームのゴツさにぜひ注目してほしい。拡大
ダンパーは前後ともにFOXレーシングショック。リアはしかもタンク別体式である。「そんなこと言ったら、『ビークロス』なんか前後両方ともカヤバのタンク別体ダンパーだったもんね~」「マジですか。すごいじゃないですか」「でも硬くてぜんぜんダメだったね」「ダメだったのかよ!」
ダンパーは前後ともにFOXレーシングショック。リアはしかもタンク別体式である。「そんなこと言ったら、『ビークロス』なんか前後両方ともカヤバのタンク別体ダンパーだったもんね~」「マジですか。すごいじゃないですか」「でも硬くてぜんぜんダメだったね」「ダメだったのかよ!」拡大
日本でも大変な人気を博した「XJチェロキー」こと2代目「ジープ・チェロキー」。ボディーはモノコックだったが、サスペンションは前後ともにリジッド、バネはフロントがコイル、リアがリーフの組み合わせだった。(写真=FCA)
日本でも大変な人気を博した「XJチェロキー」こと2代目「ジープ・チェロキー」。ボディーはモノコックだったが、サスペンションは前後ともにリジッド、バネはフロントがコイル、リアがリーフの組み合わせだった。(写真=FCA)拡大
「リーフサスは奥が深いんだよ。潤滑スプレー吹き付けるだけでも動きが変わっちゃうからね~」「そんなことより、この写真ドロ道に入る前に撮っておいた方がよかったんじゃないですか?」「今回のカメラマンはほった君だよ」
「リーフサスは奥が深いんだよ。潤滑スプレー吹き付けるだけでも動きが変わっちゃうからね~」「そんなことより、この写真ドロ道に入る前に撮っておいた方がよかったんじゃないですか?」「今回のカメラマンはほった君だよ」拡大

アシの話が止まらない

ほった:いかにエンスーなwebCGの読者さんとはいえ、このままアシの話ばかりしていると、クレジットにたどり着く前に皆脱落してしまいます。そろそろアシ以外の話をしてください。

こうご:じゃあハンドルの話するね。

ほった:(泣)

こうご:ちょっと“戻り”がキツい気がするんだけど。

ほった:……ハンドルの重さ、確か3段階くらいで調整できた気がしますよ。そのステアリングのスイッチで。

こうご:いや、重さの話じゃなくって、切ってから帰ってくる強さの話。これは二駆でも四駆でも変わらないか、ちょっと二駆の方が軽いかな。それと、リアの“横ズレ”とステアリングのぶるぶるは、これはタイヤのせい? リジッドサスだからってだけじゃないと思うんだけど。

ほった:んー。どうでしょう? 確かにオフロード用のタイヤを履いているからというのもあるかもしれませんが、実はこのクルマ、純正タイヤもBFグッドリッチの「ALL-TERRAIN T/A」なんですよ。実際に比較したわけじゃないから何とも言えませんが、今履いているトーヨーの「OPEN COUNTRY R/T」をそっちに履き替えたからって、劇的に操安性が改善するとは思えないんですよね。それに、仮にオンロード用タイヤに履き替えることでその辺が解消したとしても……。

こうご:まあ、OEタイヤがオフロード用なんだから、オンロード用タイヤの走りを「本来の姿」とは言えないわなあ。

ほった:いずれにせよ仮定の話ではあるんですけどね。……ていうか、またアシの話に戻ってるんですけど。

こうご:いいじゃないの。まあ、多少の“横ずれ”はリジッドサスの味くらいに思って、気にしてはいけないってことだねえ。実際、気になるほどでもないし。それと、さっきほった君“操安性”って言ったけど、このクルマ、操安性自体は問題ないっていうか、すごくいいよ。ステアリングが“ふよふよ”して、右に左に行っちゃいそうな気がするけど、実際にはすごく安定してる。ハンドルの端を親指でちょんと押さているだけで、ひたすら前に進んでく。

ほった:いやいや、そういう運転しないでください。読者さんからクレーム来ちゃうから。

赤いセンターマークが目を引くステアリングホイール。「ラプター」にはステアリングの手応えを3段階で調整できるセレクト機能が付いている。……それにしても、最近のクルマってステアリングスイッチ多すぎませんか?
赤いセンターマークが目を引くステアリングホイール。「ラプター」にはステアリングの手応えを3段階で調整できるセレクト機能が付いている。……それにしても、最近のクルマってステアリングスイッチ多すぎませんか?拡大
某パーキングエリアにて、同じフレームボディー&リアリジッドサスペンションの「トヨタ・ダイナ/トヨエース」とツーショット。こうした車両は、ボディーが柔軟性のあるマウントを介してフレームに乗っかっている上、リアのホーシングもバネとダンパー、リンク類でフレームにつながっているだけなので、それぞれがバラバラに動いて“横ズレ”が生じやすい。とはいえ直進性に問題があるわけではなく、結果としてドライバーは「ボディーは微妙にヨーイングしてるのに、クルマは問題なく真っすぐ走っている」という不思議な感覚に陥るのだ。……要するに、細かいことは気にしてはいけないのである。
某パーキングエリアにて、同じフレームボディー&リアリジッドサスペンションの「トヨタ・ダイナ/トヨエース」とツーショット。こうした車両は、ボディーが柔軟性のあるマウントを介してフレームに乗っかっている上、リアのホーシングもバネとダンパー、リンク類でフレームにつながっているだけなので、それぞれがバラバラに動いて“横ズレ”が生じやすい。とはいえ直進性に問題があるわけではなく、結果としてドライバーは「ボディーは微妙にヨーイングしてるのに、クルマは問題なく真っすぐ走っている」という不思議な感覚に陥るのだ。……要するに、細かいことは気にしてはいけないのである。拡大
「ラプター」に純正装着される「BFグッドリッチALL-TERRAIN T/A」。“オールテレイン”ということで、名前的には「OPEN COUNTRY R/T」よりはマイルド志向と思われるが、それでもトレッドパターンやサイドウオールのデザインはご覧の通り。(写真=フォード)
「ラプター」に純正装着される「BFグッドリッチALL-TERRAIN T/A」。“オールテレイン”ということで、名前的には「OPEN COUNTRY R/T」よりはマイルド志向と思われるが、それでもトレッドパターンやサイドウオールのデザインはご覧の通り。(写真=フォード)拡大
「ほら、ハンドルをこうやって“ちょい”とつまんでるだけでも、真っすぐに走ってくれるよ、このクルマ」「やめてください。読者さんからクレームが来ます」
「ほら、ハンドルをこうやって“ちょい”とつまんでるだけでも、真っすぐに走ってくれるよ、このクルマ」「やめてください。読者さんからクレームが来ます」拡大

例えるなら“オフロードのマスタング”

ほった:ハンドルをワタクシが取り返しまして、こうごさんはリアシートをインプレ中です。海原雄山先生、おねがいします。

こうご:トラックだ。リジッドサスだ(笑)。

ほった:フロントシートとリアシートで、そんなに違いますか。

こうご:うん。乗り心地をシートのよさで緩和してる感じだよ。それとさっきも言ったけど、やっぱり入力が連続したり荒れたアスファルト路面にさしかかったりすると、車体がブルブルするね。まあ、オフロードタイヤを履くとみんなこうなるんだけど。

ほった:そういえば、編集部の折戸青年が「このリアシート酔うかも!」って嘆いていました。

こうご:あー、でもそこまでではないと思うよ?

ほった:そういえば、ワタナベ女史はこのリアシートを「極楽じゃ~」って評してましたね。

こうご:どっちなんだよ(笑)。

ほった:乗り心地の感じ方は、人によりけりということでしょう。

こうご:自分の仕事を全否定してないか? その言葉。

ほった:はて、なんのことやら。

こうご:(笑)ほった君はどう思ったわけ? このクルマ。

ほった:えーっと、そうだなあ……。なんだか、先代の「マスタング」に似てるなあと思いましたね。上屋はゆらゆら動くのに、何でか直進性がすごくイイところとか。

こうご:そういえば、前のマスタングも前が“どっけん(独立懸架)”で後ろがリジッドだったね。バネはコイルだったけど。

ほった:そういえば、アレの「GTパフォーマンスパッケージ」も、こうごさんとロケしましたね。ライターさんも今回ラプターの試乗をお願いした佐野さんでしたし、奇遇ですね。

試乗車は4枚ドアのロングバージョン「スーパークルー」。後席の広さはご覧の通りで、ドリンクホルダー付きのセンターアームレストも備わる。
試乗車は4枚ドアのロングバージョン「スーパークルー」。後席の広さはご覧の通りで、ドリンクホルダー付きのセンターアームレストも備わる。拡大
人が乗らないときには、座面を跳ね上げて荷室スペースとして使うことも可能。座面の付け根部分は収納スペースが設けられていて、テスト車にも洗車キットや工具などが積まれていた。
人が乗らないときには、座面を跳ね上げて荷室スペースとして使うことも可能。座面の付け根部分は収納スペースが設けられていて、テスト車にも洗車キットや工具などが積まれていた。拡大
前席センターコンソールの背面に備わる、後席用の空調吹き出し口と電源ソケット。「ラプター」にはUSBやシガーソケットだけではなく、AC110V、400Wのコンセントも備わっている。「移動中に車内で仕事ができるね」「勘弁してつかあさい」
前席センターコンソールの背面に備わる、後席用の空調吹き出し口と電源ソケット。「ラプター」にはUSBやシガーソケットだけではなく、AC110V、400Wのコンセントも備わっている。「移動中に車内で仕事ができるね」「勘弁してつかあさい」拡大
右側の後席シートバックを倒してみると、そこにはタイヤ交換などに使うジャッキが。……しかし、車両重量2.5t超&巨大オフロードタイヤ装着の「ラプター」である。このクルマでパンクしてタイヤ交換とか、考えたくない。
右側の後席シートバックを倒してみると、そこにはタイヤ交換などに使うジャッキが。……しかし、車両重量2.5t超&巨大オフロードタイヤ装着の「ラプター」である。このクルマでパンクしてタイヤ交換とか、考えたくない。拡大
オーバーヘッドコンソールをイジってご満悦のこうご氏。サンルーフの操作スイッチはともかく、「AUX1」から「AUX6」と書かれた6個のトグルスイッチについては、なんのスイッチか最後まで分からずじまいだった。
オーバーヘッドコンソールをイジってご満悦のこうご氏。サンルーフの操作スイッチはともかく、「AUX1」から「AUX6」と書かれた6個のトグルスイッチについては、なんのスイッチか最後まで分からずじまいだった。拡大

パワープラントは超ハイテク

ほった:そろそろ目的地のインターですよ。なんだかんだであっという間でしたね。

こうご:外乱に強くて真っすぐ走るし、エンジンもまぁ余裕があるし、ずばーっと距離を稼ぐのがとにかく得意なクルマだったからね。……ていうか、ETCゲート狭!

ほった:ゲートが狭いのではありません。このクルマがデカいのです。それと、ちょっとガソリンが怪しいので、そこのスタンドで給油していきましょう。

こうご:ガソリンはレギュラー?

ほった:残念ながらハイオクでございます。

こうご:えー、アメ車なのに?

ほった:ええ、アメ車なのに。このクルマのエンジンは「フォードGT」ゆずりの高出力版3.5リッターV6ツインターボなので、ハイオクタンもやむなし。ちなみにトランスミッションはトルコン式の10段AT。パワートレインは、くしくも「LS」やら「LC」やらといった、レクサスの最新モデルと同スペックでございます。

こうご:アメリカのピックアップがレクサスと肩を並べるハイテク仕様とは、時代も変わったねえ。

ほった:こうごさん、最初は「アイドリングストップする!」って言ってビックリしてましたもんね。

エンジンは古式ゆかしきV8 OHV……ではなく、まさかのV6 DOHCターボ。3.5リッターという排気量から最高出力450hp、最大トルク691Nmを発生させる、一昔前のアメ車では考えられないようなハイテクエンジンである。
エンジンは古式ゆかしきV8 OHV……ではなく、まさかのV6 DOHCターボ。3.5リッターという排気量から最高出力450hp、最大トルク691Nmを発生させる、一昔前のアメ車では考えられないようなハイテクエンジンである。拡大
エンジンカバーに誇らしげに書かれた「FORD PERFORMANCE」の文字。そういえば、初代の「ラプター」はフォードの高性能車部門であるSVTが開発を手がけていたけど、現行型はどうなのだろう?
エンジンカバーに誇らしげに書かれた「FORD PERFORMANCE」の文字。そういえば、初代の「ラプター」はフォードの高性能車部門であるSVTが開発を手がけていたけど、現行型はどうなのだろう?拡大
トランスミッションはまさかのトルコン式10段(!)AT。スペック的には「レクサス、ベンツがなんぼのもんじゃい!」と勇ましいが、実際にはエンジンがトルクもりもりなので、ポンコツな記者は「4段ぐらいでいいんじゃねえかな……」なんて思ってしまった。
トランスミッションはまさかのトルコン式10段(!)AT。スペック的には「レクサス、ベンツがなんぼのもんじゃい!」と勇ましいが、実際にはエンジンがトルクもりもりなので、ポンコツな記者は「4段ぐらいでいいんじゃねえかな……」なんて思ってしまった。拡大
ちなみにこのAT、制御がかなり優秀というか柔軟で、首都高速を80km/hで巡航していてもけっこう頻繁に10速に入る。○○や××(車名はご想像にお任せします)の多段ATみたいに「スピード違反しないとトップギアに入んないんだけど?」なんてシロモノではなかった。
ちなみにこのAT、制御がかなり優秀というか柔軟で、首都高速を80km/hで巡航していてもけっこう頻繁に10速に入る。○○や××(車名はご想像にお任せします)の多段ATみたいに「スピード違反しないとトップギアに入んないんだけど?」なんてシロモノではなかった。拡大

常識は通用しない

こうご:ついでに、空気圧も見ていい?

ほった:どうぞ、どうぞ。なんか気になりました?

こうご:いやいや、気になるもなにも。空気圧チェックは基本のキでしょう。指定空気圧、トーヨーにちゃんと確認してきた?

ほった:記憶にございません。

こうご:田中角栄のマネしてもだめだし、そもそもその発言したの田中角栄じゃないからね。いけませんねえ、webCG編集部員としてその態度は。……ふむふむ。空気圧は前が4.4、後ろが4.5か。

ほった:え? なんですかそれ、聞いたことない高さなんですけど。下げたほうがいいんじゃないですか?

こうご:んー、どうだろ。乗り心地は気にならなかったし、このタイヤもかなり特殊だしね。ライトトラック用規格でプライレーティングが10でしょう? 僕の100系ハイエースでも前が6で後ろが8だったし、このくらい入ってても問題ないのかもしれないよ。

ほった:プライレーティングが10ですか。なるほど、分かりました。(←分かってない)

こうご:返却のときに、担当の人に何気圧で管理しているか聞いておきなよ。……それより、まだ給油してるの?

ほった:そういえば終わりませんね。

こうご:ガソリンタンクに穴でも空いてんじゃないの(笑)。

ほった:カンベンしてください。あ、終わった。……て、ッゲ!? 99.30リッター!? まじかよ。

こうご:あー、それまだ入るね。セルフのガソリンスタンドって、4分だか100リッターだかでいったん給油が切られるはずだから。

ほった:ホントだ。まだ入る。マジかよ。

こうご:さすがはアメ車だ。一回の給油で当たり前みたいに諭吉が吹っ飛ぶ(笑)。

ガソリンスタンドでおもむろにタイヤの空気圧を測りだすこうご氏の図。「……『ジムニー』なんかでクローリングするときは、1.2とか1.4とかまで空気圧を落とすんだけどね」「ゼッタイやめてくださいね?」
ガソリンスタンドでおもむろにタイヤの空気圧を測りだすこうご氏の図。「……『ジムニー』なんかでクローリングするときは、1.2とか1.4とかまで空気圧を落とすんだけどね」「ゼッタイやめてくださいね?」拡大
プライレーティングとはタイヤの耐荷重強度を示す指数で、「ラプター」に装着されていたトーヨーの「OPEN COUNTRY R/T」では10P.R.だった。まあ、これがどれほどの数字なのかは、記者には分からないんですがね。ちなみにラプター返却時に車両管理者に聞いたところ、「前440kPa、後ろ450kPaという空気圧は、トーヨーさんが指定している数字」とのこと。おかしな数字ではなかったようだ。
プライレーティングとはタイヤの耐荷重強度を示す指数で、「ラプター」に装着されていたトーヨーの「OPEN COUNTRY R/T」では10P.R.だった。まあ、これがどれほどの数字なのかは、記者には分からないんですがね。ちなみにラプター返却時に車両管理者に聞いたところ、「前440kPa、後ろ450kPaという空気圧は、トーヨーさんが指定している数字」とのこと。おかしな数字ではなかったようだ。拡大
Bピラーの下部に「ラプター」のタイヤインフォメーションを発見。純正タイヤの仕様はLT315/70R17C 113/110S、指定空気圧は260kPaだった。ちなみに、米フォードのオフィシャル写真を超拡大して調べたところ、このタイヤのロードレンジは「E」。タイヤの強度は、10P.R.の「トーヨーOPEN COUNTRY R/T」とほぼ同じのはずだ。だとしたら、なんでこんなに空気圧が違うのだろう? 同じオフロードタイヤでも、タイヤの性格がずいぶん違うのかな?
Bピラーの下部に「ラプター」のタイヤインフォメーションを発見。純正タイヤの仕様はLT315/70R17C 113/110S、指定空気圧は260kPaだった。ちなみに、米フォードのオフィシャル写真を超拡大して調べたところ、このタイヤのロードレンジは「E」。タイヤの強度は、10P.R.の「トーヨーOPEN COUNTRY R/T」とほぼ同じのはずだ。だとしたら、なんでこんなに空気圧が違うのだろう? 同じオフロードタイヤでも、タイヤの性格がずいぶん違うのかな?拡大
一回の給油であっさりと万札を溶かす「ラプター」だが、その燃費はEPA複合値で16mpg(約6.8km/リッター)と、このずうたいと動力性能を思えば意外と悪くない。ただガソリンタンクがデカすぎるだけなのだ。
一回の給油であっさりと万札を溶かす「ラプター」だが、その燃費はEPA複合値で16mpg(約6.8km/リッター)と、このずうたいと動力性能を思えば意外と悪くない。ただガソリンタンクがデカすぎるだけなのだ。拡大

「このくらい、ぜんぜん余裕だよ」

ほった:……読者諸兄姉の皆さん、こんにちは。一度の給油で心もサイフも軽くなったwebCGほったです。

こうご:もうすぐ目的地だから頑張れ。

ほった:アメ車恐るべし。

こうご:いつもどこのクルマに乗っとるのかね、君は。……ほら、着いたよ。この雄大な風景を眺めて、少しは元気を出したまえ。

ほった:……ここで試すんですか?

こうご:ビビった?(笑) このクルマとタイヤなら、多分ぜんぜん余裕だと思うけど。

ほった:マジで?

こうご:マジで。

ほった:……借り物のクルマなんで、絶っっっ対ぶつけないでくださいね。

こうご:ダイジョウブだって。

ほった:動くときは常に最徐行でお願いします。

こうご:それじゃなんも分かんないよ(笑)。

■穴ぼこをクリアする「フォードF-150ラプター」

動画の配信は終了いたしました。

※こうご氏いわく「他のヨンク乗りに見せるのがはずかしい走り」とのことでしたが、無慈悲に公開さていただきました。風が強かったのと、車内に置くマイクがなかったので毎度のごとく音はナシですが、ご了承ください。アタックの様子はもちろん、玄人な読者でしたら、サスペンションの伸び縮みとそれに伴う車体の揺れにも感嘆していただけるものと思い、“切り返し”の間もノーカットです。さぁ存分に味わってください。

「ラプター」の駆動システムは、大型クロカンではおなじみの「2WDモード付きフルタイム4WD」である。日本語的にはおかしいが、この表現が一番正鵠(せいこく)を射ているので困る。
「ラプター」の駆動システムは、大型クロカンではおなじみの「2WDモード付きフルタイム4WD」である。日本語的にはおかしいが、この表現が一番正鵠(せいこく)を射ているので困る。拡大
走行モードは「2WD HIGH」「4WD AUTO」「4WD HIGH」「4WD LOW」の4種類だが、今回のコースでは2WD HIGHと4WD AUTO以外の出番はなく、リアデフロックを作動させることもなかった。
走行モードは「2WD HIGH」「4WD AUTO」「4WD HIGH」「4WD LOW」の4種類だが、今回のコースでは2WD HIGHと4WD AUTO以外の出番はなく、リアデフロックを作動させることもなかった。拡大
気分を盛り上げるため、インフォメーションディスプレイの表示を4WDシステムの駆動状態やESPなどの制御パラメーターを確認できる“Raptor Status”に変更。ちなみに他の画面では、クルマの傾きやエンジンのブースト圧、燃費をはじめとしたトリップデータも見ることができる。
気分を盛り上げるため、インフォメーションディスプレイの表示を4WDシステムの駆動状態やESPなどの制御パラメーターを確認できる“Raptor Status”に変更。ちなみに他の画面では、クルマの傾きやエンジンのブースト圧、燃費をはじめとしたトリップデータも見ることができる。拡大
草原にぽっかり空いた穴ぼこへとアプローチする「ラプター」。こうご氏いわく、こうしたシーンでは「フロントやリアは心配なさそうだけど、ホイールベースが長いので“おなか”は気にしておいたほうがいいかも」とのこと。
草原にぽっかり空いた穴ぼこへとアプローチする「ラプター」。こうご氏いわく、こうしたシーンでは「フロントやリアは心配なさそうだけど、ホイールベースが長いので“おなか”は気にしておいたほうがいいかも」とのこと。拡大
どんな地形でも両輪が地面を離さないリアタイヤの動きは、やはりリジッドアクスルのなせる業。繊細なハイテクに頼ることなくオフロードを走るなら、リアはリジッドに限りますな。
どんな地形でも両輪が地面を離さないリアタイヤの動きは、やはりリジッドアクスルのなせる業。繊細なハイテクに頼ることなくオフロードを走るなら、リアはリジッドに限りますな。拡大

オフロードでも乗り心地がいい

ほった:で、さっきの穴ぼこにダート道、だだっ広い草っぱらといろいろ試したわけですが。なにか分かりましたか、こうごさん?

こうご:うーん。ぜんぜん分かんないね。

ほった:うぉい!

こうご:いやいや、コースが楽すぎるよ。だってこのクルマ、“バハ”みたいな荒野を高速でぶっ飛ばすためのもんなんでしょう? この辺じゃあ遊びにもならないって。

ほった:マジですか。

こうご:マジですよ。まあ、気になったところを挙げるとしたら、オフロード車としてはやっぱりホイールベースが長いかな。最低地上高が高いから問題ないとは思うけど、山を越えるときとか、おなかをこするか心配になった。

ほった:感心したところは? サスストロークが異常っていうのはハタから見てても分かりましたが。

こうご:やっぱり乗り心地がいいね。フラットダートなんて、高速道路と変わらない感じで走れちゃうんだから。とにもかくにもダンパーがいいんでしょう。

ほった:ちなみにFOXレーシングショックです。

こうご:純正で?

ほった:純正で。見てみてください。ビール缶みたいにぶっといのが付いてますよ。

こうご:(クルマの下を覗きつつ)これはすごいね。道理で。ダンパーって入力初期の動きがすごく重要で、どんだけ減衰をやわらかくしても、動き出しがシブいともうダメなんだよね。でもオイルシールを緩めすぎると漏れの原因になるし、その辺もチューニング屋さんの腕の見せどころなわけよ。で、さっき高速でも話したけど、このダンパーはそこがいい。すごくいい。

ほった:なるほど、さすがですね。(←分かってない) ところでタイヤの方はどうです? トーヨーのOPEN COUNTRY R/T。

こうご:名前がいいよね。OPEN COUNTRYって名前が。

ほった:哥々(あにい)、カンベンしてください。

フラットダートを元気に走る「ラプター」。肉厚なオフロードタイヤとよく動く足まわりのおかげで、舗装路と変わらぬ感覚でアクセルを踏んづけていられる。
フラットダートを元気に走る「ラプター」。肉厚なオフロードタイヤとよく動く足まわりのおかげで、舗装路と変わらぬ感覚でアクセルを踏んづけていられる。拡大
「ラプター」の4WDは前後軸間で駆動力の可変制御が可能。駆動力の配分状況は、メーター内のインフォメーションディスプレイで常時確認できる。
「ラプター」の4WDは前後軸間で駆動力の可変制御が可能。駆動力の配分状況は、メーター内のインフォメーションディスプレイで常時確認できる。拡大
こうご氏のいう“バハ”とは、メキシコのバハカリフォルニア州で行われるオフロードレース「バハ1000」のこと。ステージの区切られたダカールラリーとは異なり、純粋に1000マイル(約1600km)の走行タイムを競う荒野のスプリントレースである。(写真=FCA)
こうご氏のいう“バハ”とは、メキシコのバハカリフォルニア州で行われるオフロードレース「バハ1000」のこと。ステージの区切られたダカールラリーとは異なり、純粋に1000マイル(約1600km)の走行タイムを競う荒野のスプリントレースである。(写真=FCA)拡大
スペック上のサスペンショントラベルは、フロントが13インチ(約33cm)、リアが14インチ(約35.6cm)となっている。写真はアシが伸びた側のリアタイヤの様子。
スペック上のサスペンショントラベルは、フロントが13インチ(約33cm)、リアが14インチ(約35.6cm)となっている。写真はアシが伸びた側のリアタイヤの様子。拡大
逆側の状態はご覧の通り。オートサロンに展示される、シャコタン&ネガキャンのドレスアップカーも顔負けの衝撃映像である。
逆側の状態はご覧の通り。オートサロンに展示される、シャコタン&ネガキャンのドレスアップカーも顔負けの衝撃映像である。拡大

「ファミリーカーに最適」「ウソつけ!」

こうご:(運転しながら)真面目な話をすると、例えば穴ぼこへの進入を2WDで試したとき、サスが伸びた側のリアタイヤが空転したでしょ? もし同じOPEN COUNTRYでも、もっとオフロード向けのM/Tの方だったら、そのままクリアできたかもしれない。

ほった:ほうほう。

こうご:でも、気になったのはそのときだけだよ。M/Tとの差なんて、ホイールまで泥につかるような極限のぬたぬたコースじゃないと分からないでしょう。それこそトーヨーが試乗会をやったコースとか、昔の守谷とかね。守谷は今は入れないけど。
オフロードっていっても、今日みたいな場所だったらR/Tで十分。“ヨンク”なら「A/Tプラス」(OPEN COUNTRYのSUV用オンロードタイヤ)だって大丈夫だよ。

ほった:マジですか?

こうご:ほった君は試さない方がいいと思うけどね(笑)。
冗談はさておき、正直なところ、“ドロ遊び”をしないなら今回のR/Tでもオフロードに振りすぎなくらいじゃないかな。ダートや砂地がメインなら、むしろオールテレインの方がハンドリングはいいかもしれない。

後はそうだなあ。静かだよね、このタイヤ。そりゃあ普通のタイヤと比べたら音はするけど、昔のマッドテレインを知る身としては全然静かだよ。昔のはホントにゴーゴーうるさかったからね(笑)。R/Tは見た目もいいし、音も「シャー」くらいで静かだし、たまにこうして遊ぶくらいの人なら、これがちょうどいいんじゃないかな?

ほった:なるほどねえ。……そろそろ運転代わります?

こうご:んー、まだしばらく大丈夫。それにしても、あー、やっぱり乗り心地いいね。

ほった:まだ言いますか。

こうご:うん。運転もイージーだし、リアシートも広くて5人が十分に乗れるし、意外に静かだし。これならファミリーユースでも十分使えるでしょ。

ほった:冒頭で、「日本のインフラだと完全に持て余すクルマだ」って言ってませんでしたっけ?

こうご:記憶にゴザイマセン。

ほった:こうごさん知ってます? それ言ったの田中角栄じゃないらしいですよ。

(語り=向後一宏/文とまとめ=webCG ほった/写真=webCG)

空転してミゾが土で埋まってしまった状態の「OPEN COUNTRY R/T」。前ページの動画でも、最後に少しだけリアタイヤがすべっている様子がうかがえるが、こうご氏いわく「気にならないよ、そんなの」とのことだった。
空転してミゾが土で埋まってしまった状態の「OPEN COUNTRY R/T」。前ページの動画でも、最後に少しだけリアタイヤがすべっている様子がうかがえるが、こうご氏いわく「気にならないよ、そんなの」とのことだった。拡大
「OPEN COUNTRY」シリーズの中でもよりオフロードに特化したマッドテレインタイヤの「M/T」。サイドウオールに施されたバットレスデザインにより、深い泥濘路ではトレッド面だけでなくサイドウオールでもトラクションを発生させる。
「OPEN COUNTRY」シリーズの中でもよりオフロードに特化したマッドテレインタイヤの「M/T」。サイドウオールに施されたバットレスデザインにより、深い泥濘路ではトレッド面だけでなくサイドウオールでもトラクションを発生させる。拡大
トーヨーの「OPEN COUNTRY」シリーズには、今回「ラプター」に装着されていた「R/T」のほか、オフロードに特化した「M/T」、オンロード重視の「A/Tプラス」がラインナップされている。
トーヨーの「OPEN COUNTRY」シリーズには、今回「ラプター」に装着されていた「R/T」のほか、オフロードに特化した「M/T」、オンロード重視の「A/Tプラス」がラインナップされている。拡大
車内をあさっていたら、リアシートからアメリカで売られていたときのものとおぼしき販売店のプレートが出てきた。「この『ラプター』も、いろいろな紆余(うよ)曲折があって日本にきたのだなあ」と、しばし感慨にふける。
車内をあさっていたら、リアシートからアメリカで売られていたときのものとおぼしき販売店のプレートが出てきた。「この『ラプター』も、いろいろな紆余(うよ)曲折があって日本にきたのだなあ」と、しばし感慨にふける。拡大
駅前留学なんぞよりはるかに濃い体験を提供してくれた「フォードF-150ラプター」。今回はホントにありがとうございました。
駅前留学なんぞよりはるかに濃い体験を提供してくれた「フォードF-150ラプター」。今回はホントにありがとうございました。拡大
堀田 剛資

堀田 剛資

猫とバイクと文庫本、そして東京多摩地区をこよなく愛するwebCG編集者。好きな言葉は反骨、嫌いな言葉は権威主義。今日もダッジとトライアンフで、奥多摩かいわいをお散歩する。

バイパーほったの ヘビの毒にやられましての新着記事
  • 【番外編】バイパー、事故に遭う ―東京の片隅で垣間見た現代ニッポンの縮図― 2025.8.26 インバウンドでにぎわう令和の日本で、webCG編集部員と「ダッジ・バイパー」を襲ったささやかな悲劇とは? 「まさか自分が(笑)」なんて油断しているところに襲ってくるのが事故というもの。読者諸氏の皆さんも、運転には気をつけましょうね。
  • 【番外編】バイパー、能登へ行く 2025.1.9 排気量8リッターのアメリカンマッスルカー「ダッジ・バイパー」で目指すは深秋の日本海。その旅程で記者が覚えた、AIやデンキに対する考えとは? 最後の目的地である能登半島の突端で思ったこととは? webCG編集部員が、時代遅れの怪物と中部・北陸を駆ける。
  • 第47回:114万9019円の愉悦 2022.12.21 限りある石油資源をむさぼり、今日も生ガスをばらまいて走るwebCG編集部員の「ダッジ・バイパー」。今年に入り、ずっと不調だった毒ヘビが、このほど整備から帰ってきた。どこを直し、どう変わったのか? どれくらい諭吉が飛んだのか!? 赤裸々にリポートする。
  • 第46回:クルマを買い替えようとして、結局やめた話 2022.10.3 アメリカの暴れん坊「ダッジ・バイパー」に振り回されてはや6年。webCGほったの心に、ついに魔が差す? 読者諸兄姉の皆さまは、どんなタイミングでクルマの買い替えを考えますか。お金ですか? トラブルですか? 記者の場合はこうでした。
  • 第45回:頼みの綱の民間療法 2022.5.20 漏るわ、滑るわ、雨とはいささか相性がよくないwebCG編集部員の「ダッジ・バイパー」。加えて電装系が気まぐれなのも頭痛の種だが、これら2つの悪癖に同時に襲われたら、持ち主はどんな窮地に立たされるのか? 春時雨の下で起きた事件の顛末をリポートする。
バイパーほったの ヘビの毒にやられましての記事をもっとみる
関連キーワード
関連サービス(価格.com)
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。