スズキSV650X ABS(MR/6MT)
“らしさ”が足りない 2018.03.24 試乗記 合言葉は「The Timeless V-Twin Roadsport」。スズキから、ちょっと懐かしいスタイリングのニューモデル「SV650X」が登場。Vツインの軽快なネイキッドモデル「SV650」をカフェレーサースタイルに仕上げた一台の出来栄えを試す。閉ざされた扉を開けるネオレトロ
このオートバイ、無口なタイプとお見受けした。寡黙と対峙(たいじ)するインタビュー、望むところだ。なぜなら、あれこれしゃべった末に結論が曖昧なタイプより、内側に潜んでいる本音をこじ開けるほうが聞き手としてはスリリングだからだ。肝心なことは一つ。閉ざされた扉を開ける、鍵のようなものを事前に用意しておくこと。スズキSV650X ABSの場合は、「ネオレトロ」という単語がそれに当たる。
ビキニカウル。セパレートハンドル。細めの段付きシート。これらは、SV650Xをネオレトロにする不可欠な要素だという。出自をたどると、基本スペックが同一のSV650 ABSにそれらのパーツを組み込み、カフェレーサー風に仕立てた点でXの文字が追加されたらしい。Xとは、Extraという意味があるそうな。以上は、無口な彼ではなくカタログの代弁によるものだ。
さて、ネオレトロ。検索に頼ってみたら、ファッション方面よりオートバイ関連が先に現れたので意外だった。それは要するに、最近の二輪事情においてネオレトロが注目されている証拠でもあるわけだ。確かにここ最近は、各メーカーでカフェレーサーだのスクランブラーだのといった、往年のスタイルを意識したニューモデルが目につく。たとえるなら、ガンズやAC/DCのロックTシャツを若い世代向けにリバイバル発売する感じだろうか。