ルノー・キャプチャー インテンス(FF/6AT)
頼りがいのあるクルマであれ 2018.04.23 試乗記 日本導入から4年を経たルノーのコンパクトSUV「キャプチャー」の実力を、大幅なマイナーチェンジを機にあらためて検証。商品力高めのイマドキなクロスオーバーに“ルノーらしさ”はあるか? ドライブフィールを中心に、その出来栄えを確かめた。トランスミッションに難あり
いいニュースと悪いニュースとがあって、いいニュースはキャプチャー、日本でそこそこかもっと売れている。ルノー・ジャポンの販売成績アップ(8年とか連続で対前年比アップであるらしい)に確実に貢献している。そんなのはいまさらニュースでもなんでもないかもしれないけれど、2014年だったかに日本で発売されたそのキャプチャーがマイナーチェンジされて今回試乗記を書く仕事がまわってきたのは、少なくとも私にとってはいいニュース……なのかどうか。
で、悪いニュース。まず、このクルマは変速関係の運転があまり上手ではない。というか、ハッキリ申し上げてヘタである。1.2リッターのガソリン直噴ターボに、トランスミッションはDCT(Dual Clutch Transmissionの頭文字)、ルノー呼称だとEDC(Efficient Dual Clutchの頭文字)……ということで額面的にはイマっぽいけれど、乗った感はむしろガチャコン(シングルクラッチAMT)に近いかもしれない。それも、どちらかというとあまり(かもっと)デキのよろしくないほうの。そのぐらいに思っておいてもらうと、イザ試乗したときビックリしなくて済むでしょう。
具体的な現象としては、たとえば変速のショックやアクセルペダルの操作(低いギアで走っているときにスパッと離すとか)に対するギクシャクが、前後方向やピッチング方向のGフォースの変化というか急変の原因になっている。で、それらによって体が、あるいは頭部が揺さぶられる。
「ルーテシア」はこうじゃなかったのに
「変速がヘタ」だけならまだしもご愛嬌(あいきょう)かもしれないけれど(ワーゲンじゃなくてルノーだし)、変速その他にともなってエンジン+トランスミッションがハデにユサユサして、それが乗り心地の快適さの領域にまで食い込んでいる。影響を及ぼしている。路地裏みたいなところを走っていると、だからすごくストレスがたまる。広い道路へ出ても、まだ足りない。早く、発進加速とか変速とかのできるだけないところを走りたい。心からそう思うようになる。
トランスミッション関係の印象が芳しくないとしたらおそらくその半分はエンジンのせいで、実際この1.2ターボはあまり……。たとえばレスポンスとか。1速の無過給領域でミョーに上のほうまで引っ張りたがるのも、ちょっと気になる。同じ(?)パワートレインの「ルーテシア」はこんなじゃなかったと記憶していて、だから「キャプチャーのこの仕様、パワートレインの車両適合はちゃんとやってあるのか?」と思った(同じクルマのセダンとワゴン程度の重さの違いでも、ドライバビリティーがズレてしまうことがある)。気を使ったところで自動変速、こちらでやれることはロクにない。ロクにないけれどゼロでもないところがまたナンとも……。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
重くて重心の高いボディーに対してアシが弱い
ものすごくざっくりいうとキャプチャー、ルーテシアの車高が高いやつである。タイヤ径がルーテシア比デカいぶんをさらに超えてライドハイトが高くなっていて、ということはフツーに考えるとフロントのロワーアームの下反角もアップしている(測ったり比べたりはしてないけれど)。で、そうだと思うとナルホドな感じがあったりする。そんな気が。具体的には、ロールの傾き始めのところに張りがありそうな感じとか。ルーテシア比径のよりデカいタイヤを履いている感じは、これも明瞭にある。ワーキング物件系の頼もしさ。よくいえば、そういえる……かもしれない。
車体のしっかり感は、上屋に関してはハッキリとある。ルーテシア比、いかにもゴツそう&重たそう。しかしシャシー関係はというと、そうでもない。重たくて重心も高いはずの上屋に対して、だからバランス上、少し下がヤワい感じ。メモには「ポヨン」とあった。ポヨンって……。
キャプチャーを運転して有料道路や高速道路(というかぶっちゃけ、信号がロクにない道)を走るのは、楽しいか苦痛かでいうと、まあ楽しい。ルノー、好きだし。でもやはり「ポヨン」である。もうちょっとそれっぽくいうと、フワつき感? 減衰感の不足?
ロールにしろ上下動にしろ、サスペンションがストロークした(縮んだ)先でギュッと止まるか収まるかする感じが足りない。ポヨンと反転。ワインディングロードを走るときなんかもふくめて、そのポヨンがあまり気にならないときはイイ。気にならなければならないほどナイス。で気をよくしてペースを上げると、ポヨンのせいで安心感が薄れる。手に汗。
ポヨン。ことによると、なかにはそれをフランス車っぽさの発露的なナニモノかだと思い込んでくれる人もいるかもしれない。
商品力はあるほうなんだけど……
ほどほどのところに美味しい領域が……というと、これはおよそどんなクルマでもそうかもしれない。でもキャプチャーはルノーなんだから、もうちょっと(かもっと)頼れるやつ系の走りのクルマであってほしい。たとえ、とっつきの印象が多少アレだろうと。商品力的にサエなくとも。現実にはキャプチャー、商品力的にはむしろけっこうイケてるほうだと思う。
乗り心地が快適で、普段はボサーッと系かもしれないけれど、イザというとき光る安心の走り→で惚(ほ)れちゃう。ルノーのクルマの価値ないし美点はそこにある。いいルノーの基準からするとキャプチャー、ちょっとならずオッチョコチョイ系の物件といえる。快適さや楽しさを感じられる領域がなくはないけれど、全体に落ち着きが足りない。あと、ゴーストップを繰り返す状況での変速のヘタッピさ(からくる乗り心地の不快さ)。
「じゃあ、いまのルノーではなにがオススメ?」と訊(き)かれた設定で勝手に書くと、私が最近運転したなかでは「トゥインゴ」がイイ。実用車のど真ん中というよりは、ちょっとファンカー寄りの物件として。
トゥインゴのなかでも「GT」がオススメです。さらにいうと、できたら、たぶん、MTのほう。GTはEDCつきの個体しか運転したことがないのでアレだけど、MTモデル比+30kgか40kgかの重量増が車両の後端近くで発生していることによると思われるクルマの動きというか乗り心地関係の現象があったので。
(文=森 慶太/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
テスト車のデータ
ルノー・キャプチャー インテンス
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4135×1780×1585mm
ホイールベース:2605mm
車重:1280kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:118ps(87kW)/5000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/2000rpm
タイヤ:(前)205/55R17 91V M+S/(後)205/55R17 91V M+S(クムホ・ソルスKH25)
燃費:17.2km/リッター(JC08モード)
価格:269万9000円/テスト車=276万9200円
オプション装備:※以下、販売店オプション ETC車載器(1万2960円)/フロアマット(2万5920円)/エマージェンシーキット(3万1320円)
テスト車の年式:2018年型
テスト開始時の走行距離:2338km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4)/高速道路(5)/山岳路(1)
テスト距離:305.8km
使用燃料:22.1リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:13.8km/リッター(満タン法)/13.8 km/リッター(車載燃費計計測値)
拡大 |

森 慶太
-
フィアット500トリノ ハイブリッド(FF/6MT)【試乗記】 2026.10.13 電気自動車からエンジン搭載車へと華麗に変身! 日本では珍しい、4代目「フィアット500」のマイルドハイブリッドモデルに試乗。1リッターの自然吸気エンジンを6段MTで駆るイタリアンコンパクトは、今のクルマが忘れてしまった楽しさに満ちていた。
-
ボルボES90ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】 2026.10.12 ボルボの電気自動車(BEV)「ES90」のトップモデル「ウルトラ ツインモーター パフォーマンス」を駆り、東京から初秋の新潟へ。往復700kmを超えるロングドライブで分かった新型5ドアハッチバックモデルの実力と、BEVで気になる充電環境のリアルな今を報告する。
-
フェラーリ・プロサングエ ハンドリング スペチアーレ仕様(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.10.8 フェラーリの4ドア4シーターモデル「プロサングエ」に、「ハンドリング スペチアーレ」を名乗るスペシャルバージョンが登場。その走りは従来モデルからどのように変わったのか? 跳ね馬の原産国、イタリアで確かめた。
-
トヨタ・ランドクルーザー“FJ”VX(4WD/6AT)【試乗記】 2026.10.7 新たにシリーズに加わった「ランドクルーザー“FJ”」は、ポップな見た目から簡易版のように思われるかもしれないが、その中身は紛れもなく本物であり、道なき道をグイグイと突き進む。これもまた「どこへでも行き、生きて帰ってこられる」を体現する一台である。
-
スバル・レヴォーグ レイバック プレミアムS:HEV EX(4WD/CVT)【試乗記】 2026.10.6 「スバル・レヴォーグ レイバック」にストロングハイブリッド搭載モデルが登場。高効率なパワーユニットが積まれたのはもちろんのこと、既存の純エンジン車とはデザインやボディーサイズも違っているというから興味深い。上位グレードの「プレミアムS:HEV EX」を試す。
-
NEW
三菱eKクロスEV P(FWD)【試乗記】
2026.10.17試乗記三菱の軽乗用電気自動車(EV)「eKクロスEV」が、一部改良でデザインを刷新! 2022年発売の古参の一台は、台頭するライバルをどう迎え撃つのか? 最新モデルと比べても、キラリと光る魅力はあるのか? 軽EVのパイオニアが擁する一台の実力を確かめた。 -
NEW
写真で解説する「フィアット・グランデパンダ」
2026.10.16画像・写真ステランティスが「フィアットブランドの大きな柱のひとつとなる重要なモデル」と位置づける「グランデパンダ」が日本上陸。その具体的な見どころを、写真とともに解説する。 -
NEW
フィアット・グランデパンダ ハイブリッド ラプリマ(FF/6AT)【試乗記】
2026.10.16試乗記欧州を代表するコンパクトカーの一台である「フィアット・パンダ」が第4世代に進化。新たに「グランデパンダ」を名乗り、日本にやってきた。ずばり新型の見どころは車両の随所にちりばめられた初代モデルへのオマージュである。上位グレード「ラプリマ」の仕上がりをリポートする。 -
スズキの未来を徹底検証! 技術戦略説明会から“10年先のスズキの姿”を夢想する
2026.10.16デイリーコラム年間生産500万台で、Dセグメントまでカバーする巨大メーカーに!? スズキが発表した「10年先を見据えた技術戦略2026」を徹底検証。技術開発に製品開発、インドを核としたグローバル戦略などの中身を通して、「10年先のスズキの姿」を予想した。 -
賢い選択 ――キャデラック「LYRIQ」フラットプランのすゝめ――
2026.10.15投資家も太鼓判! 「キャデラック・リリック」×フラットプランという最適解<AD>クルマが変わり、時代も変われば“持ち方”だって変化する? お金のプロである投資家が、「キャデラック・リリック」の残価保証型リースを勧める理由とは? 夢の「2台持ち」をかなえる、最新電気自動車の賢い選び方を考えた。 -
間もなく正式発表 ミツオカの新型2シータースポーツカー「LA1」を予測する
2026.10.15デイリーコラム光岡自動車が2026年11月26日に正式発表を予定しているアメリカンスタイルの新型2シータースポーツカー「LA1」。現在公開されているLA1の画像とティーザーサイトに掲載された情報から、その特徴を分析する。











































