第501回:地味な見た目の裏側で熱い気持ちがほとばしる!
ボルボのディーラーサービス日本一決定戦に密着
2018.05.03
エディターから一言
ボルボが開催した、正規ディーラーのサービスマンとメカニックの技術力を競う大会「VISTA」を取材。安全・安心なカーライフをしっかりと支えてくれる、日本一の“縁の下の力持ち”は誰だ!?
全国247チームが参加
VISTAとは、ボルボ・インターナショナル・サービス・トレーニング・アワードのことである。その名が示す通り、ディーラーのメカニックやサービスマンの技術力を競う、世界規模の競技大会だ。
世界各地で行われる大会の優勝チームは、本国スウェーデンで行われる世界大会への切符を手にすることができる。今回はもちろん(?)日本大会を取材した。
競われるのは、整備技能と接客対応の2つ。各チームはディーラーを代表する2~3人のメカニックとサービスマンで構成されている。2018年は全国から247チームが参加したのだが、事前に予選が行われ、準々決勝参加が80チーム、準決勝が30チームと徐々に絞り込まれ、取材日の決勝には、10チームが残った。
治すだけでは得点にならない
決勝での技術競技の課題は「ボルボXC60 T8 Twin Engine AWDインスクリプション」の修理。つまりプラグインハイブリッド車の修理である。抱えている最も大きな不具合が、電動レバーを操作してもシフトできないという、トランスミッション系のトラブルだ。実はこの故障の原因は、エンジンルーム内にあるシフトアクチュエーターのカプラー外れなのだが、それに気がついて即修理完了……では得点とならないのが、競技としての面白さだろう。
点数を得るためにはボルボ車専用診断ソフトを使用し、的確な診断内容と修理手順を引き出し、それに沿って修理を進めなければならない。メカニックの経験や勘による素早い修理が評価されない理由は、最新の診断情報を取得し、同系統の他の箇所に故障がないことをしっかりとチェックすることが必要だからである。これが結果として、迅速な修理や修理費の抑制といった、顧客サービス向上につながるという原則があるからだ。
実際の大会に場面を移そう。各チームともになかなか作業が進まないうちに、55分の競技時間はどんどん残り少なくなっていく。取材しているこちらも次第にハラハラしてくる。結果、全てのチームが途中でタイムアップとなってしまった。しかし、競技としてはこれで問題はなく、審査員はそこまでの作業工程と進捗状況をチェックして点数をつける。このため進行状況から順位を予想することはできず、この時点での順位は見当もつかなかった。
もうひとつの試験は接客対応のロールプレイだ。「V60クロスカントリー」の定期点検入庫のために来店したAさんと、技術競技で修理を行ったXC60のオーナーB夫妻が引き取りに来店するという設定で、サービスマンとメカニックが協力して接客対応をする。時間はわずか15分。客を演ずるのは役者さんたちだ。
顧客との対応は各チームとも日常業務であるため、最初は緊張が見て取れたものの、全体としてはスムーズに進行。しかし、そこは敵(?)も去るもの。客役の役者さんは、説明で分からなかった細かな点やトラブル再発の可能性といった質問をビシビシと投げかける。特にB夫妻役の2人は、新車購入直後のトラブルに強い不安を感じた顧客を熱演。自分がサービスマンだったら……と想像してしまうほどの見ごたえがあった。各チームとも、基本的な説明の内容に違いはほとんどなかったが、その手順や内容のかみ砕き方といった点に、個性が見えたのが面白かった。
思わず“男泣き”する参加者も
結果、2018年大会はボルボ・カー横浜西口が優勝の栄誉に浴することに。2位にはボルボ・カー多治見、3位はボルボ・カー相模原という結果となった。表彰式では“男泣き”する出場者の姿も見られた。大会にかける思いが期せずして発露してしまったのだろう。
正直、競技そのものは見ていてものすごく地味である。それもそのはずで、ユーザーとディーラーマンによる日常のシーンを切り取り、競技にしたものだからだ。
読者の皆さんも、急なトラブルやメンテナンスなどで入庫した際、サービスマンやメカニックの親切な対応に安堵(あんど)した経験があるだろう。その背景には、顧客サービスを高めるべく、さまざまな研修を受け、このような競技にも積極的に参加し、技術を磨くべく努力する彼らのひたむきな姿をあったのだ。はた目には地味な競技を一日真剣に見ていられたのは、そんな彼らの気持ちがひしひしと伝わってきたかもしれない。
(文と写真=大音安弘/編集=藤沢 勝)

大音 安弘
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