カワサキ・ニンジャ400 KRTエディション(MR/6MT)
これぞバイクの面白さ 2018.05.22 試乗記 2018年2月の発売以来、多くのライダーから注目されているカワサキのスポーツバイク「ニンジャ400」。実際に乗ってみると、ベテランをも夢中にさせる、このモデルならではの楽しさが満ちあふれていた。決め手は元気なパワーユニット
400ccのスポーツバイクは、ハッキリ言ってしまうとマイナーなカテゴリーである。ロングセラー「ホンダCB400SF」以外は、どうもパッとしなかった。ところがこの春に投入されたニンジャ400が急速に人気モデルとなりつつある。
その秘密は250クラス最速を狙って作られたハイパフォーマンスなマシン「ニンジャ250」と車体、外装を共用していること。250の車体に排気量1.5倍のエンジンを搭載しているのだから走らないわけがない。
ただしこのエンジン、超高回転型だった250の特性そのままではない。250は最重要マーケットである東南アジアでライバルたちと比べても引けを取らないように高回転までぶん回して最高出力を絞り出している。
その結果、低中速はおせじにもトルクがあるとは言い難い。ストリートを周囲の交通の流れにのって走る程度なら問題ないのだけれど、例えばコーナリング中にスロットルを開けても加速していく感じはほとんどないし、コーナーの立ち上がりでリアタイヤにトルクをかけて、路面に押し付けることもできない。
ところが400は、高回転はそこそこにして(それでも1万2000rpmまでは一気に回る)、低中速トルクをアップさせた。このおかげでスロットルワークを使ってマシンの姿勢をコントロールすることができるようになった。マシンを操る術がひとつ増えるのだから、ライディングも楽しくなる。高速コーナーを高いギアで走っている時も、スロットルを開けさえすれば、リアタイヤにトルクがかかってリアショックが沈み込むのがわかる。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
ベテランにも乗ってほしい
ハンドリングがまた素晴らしい。スポーティーさを追求したニンジャ250の場合、コーナーへの進入で鋭くバンクして向きを変えていくクイックな味付けになっていた。ニンジャ400は、基本的に250と同じなのだが、安定感としっかりしたグリップ感が加わっている。タイヤサイズが大きくなってラジアルタイヤが標準装備となっているためだ。250と同じ車体、サスペンションであるにも関わらず、この中速トルクとタイヤのおかげで、総合的に見るとコーナリングパフォーマンスはかなり高くなっている。
過去、サーキットテストもしたことがあるが、250のコンバクトな車体とトルキーでどこからでも力強く加速していくエンジン、そして軽快で手足のごとく反応するハンドリングが生み出す走りがあまりにも面白くて、夢中になって走り続けてしまったくらいだ。
最近、ビッグバイクが速くなりすぎてしまって、バイクを思い切って走らせることが難しくなってきている。その点、軽量コンパクトな車体にこの力強いエンジンの組み合わせは、スポーツライディングでも、ちょっとしたストリートライディングでも痛快だ。バイクを操る楽しさを教えてくれる。
「現行バイクで何か楽しいスポーツバイクない?」と聞かれたら僕は間違いなくニンジャ400を薦める。初心者だけではなく、ビッグバイクに乗っているベテランたちにもこのバイクの楽しさを知ってもらいたいと思う。それくらい魅力的なマシンである。
(文=後藤 武/写真=三浦孝明/編集=関 顕也)
【スペック】
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=1990×710×1120mm
ホイールベース:1370mm
シート高:785mm
重量:167kg
エンジン:398cc 水冷4ストローク直列2気筒 DOHC 4バルブ
最高出力:48ps(35kW)/1万rpm
最大トルク: 38Nm(3.9kgm)/8000rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:32.0km/リッター(国土交通省届出値 定地燃費値)/24.8km/リッター(WMTCモード)
価格:71万0640円

後藤 武
ライター/エディター。航空誌『シュナイダー』や二輪専門誌『CLUBMAN』『2ストマガジン』などの編集長を経てフリーランスに。エアロバティックスパイロットだった経験を生かしてエアレースの解説なども担当。二輪旧車、V8、複葉機をこよなく愛す。
-
BMW X1 sDrive20iオリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.9.2 BMWのコンパクトSUV「X1」に新グレードの「オリジナル」が登場。走りの楽しさをはじめとしたBMWらしさをキープしつつ、装備の厳選によって価格抑制を図った新たなエントリーグレードだ。都市部におけるドライバビリティーとユーザービリティーをリポートする。
-
トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”+エアロパフォーマンスパッケージ【試乗記】 2026.9.1 2020年のデビュー以来、間断なく進化を続けてきたコンパクトスポーツの「トヨタGRヤリス」。一般ユーザーの間ではもちろん、コンペティションの世界でもチューニングのかいわいでも光を放つ一台は、2026年モデルでどう進化したのか? その走りを報告する。
-
アウディQ3スポーツバックTFSIクワトロ150kWアドバンスト(4WD)【試乗記】 2026.8.31 フルモデルチェンジした「アウディQ3スポーツバック」に試乗。プラットフォームやパワートレインこそ従来型の改良版ではあるものの、内外装のデザインやインフォテインメント、効率性のすべてにおいて大幅な進化を遂げたという。その仕上がりやいかに。
-
トヨタbZ4XツーリングZ(4WD)【試乗記】 2026.8.29 「トヨタbZ4X」にワゴンのようなロングボディーを持つ「ツーリング」が登場。ただ長くなっただけではなく、今回試した4WDモデルではパワーもアップ。乗り味にも微妙な影響を及ぼしているから見逃せない。経路充電を試しつつ、370km余りをドライブした。
-
BMW 120オリジナル(FF/7AT)【試乗記】 2026.8.25 BMWの主要モデルに新グレードの「オリジナル」が設定された。位置づけとしては新たなエントリーグレードということになるが、BMWらしさを損なうことなく装備を厳選し、価格を抑えたのがポイントだという。「1シリーズ」の「120オリジナル」の仕上がりをリポートする。
-
NEW
北米産の800万円級SUV「トヨタ・ハイランダー」「日産ムラーノ」「ホンダ・パスポート」で一番“買い”なのはどれか?
2026.9.4デイリーコラム特例により国内導入されることになった北米生産のジャパニーズSUVは、3車種ともにサイズと価格帯が接近している。では、そのなかで最も“買い”なのは? それぞれの仕様を見比べてみた。 -
ホンダがコンセプトモデル「アキュラ・ネクセラ ビジョン」を発表 次世代デザインを読み解く
2026.9.3デイリーコラム本田技研工業の米国現地法人アメリカン・ホンダモーターが、アキュラブランドの次世代デザインを示すというコンセプトモデル「ネクセラ ビジョン」を初公開した。バタフライドアを採用するこのスポーツカーは、次世代アキュラの何を表現しているのか。 -
BMW iX3 50 xDrive Mスポーツ(後編)
2026.9.3あの多田哲哉の自動車放談ワインディングロードで新型「BMW iX3」のステアリングを握った多田哲哉さんは、その走りに感心した様子。どんなところが優れているのか、トヨタのエンジニアの視点で語ってもらおう。 -
新型「三菱パジェロ」の外装・内装を写真でチェックする
2026.9.2画像・写真5年間のブランクを経て、三菱のフラッグシップSUV「パジェロ」がついに復活! 「グランドカリスマ -泰然自若-」をコンセプトにデザインされた本格クロスカントリーモデルは、どのような姿をしているのか? 内外装の詳細を、写真で紹介する。 -
復活の決め手はこっくりさん!? 新生「三菱パジェロ」誕生の経緯とその狙い
2026.9.2デイリーコラム5年間の沈黙を経て、ついに登場した新型「三菱パジェロ」。スリーダイヤモンドが誇る荒野のフラッグシップは、いかにして復活を遂げたのか? 開発の経緯や内外装デザインの詳細、パワートレインに見るクルマの“狙い”をリポートする。 -
第127回:新型BMW X5(後編) ―迷走するBMW 結局アナタは“ノイエクラッセ”でなにがしたかったの?―
2026.9.2カーデザイン曼荼羅その姿が明らかとなるや、賛否両論を巻き起こしている新型「BMW X5」。このクルマは既存のBMW製SUVとはなにがちがうのか? そもそもBMWは“ノイエクラッセ・デザイン”になにを託していたのか? カーデザインの識者と、迷走するBMWの明日を探った。









