マクラーレン・セナ(MR/7AT)
サーキットの住人 2018.07.10 試乗記 誰もが知る、伝説的レーシングドライバーの名を車名とした「マクラーレン・セナ」。サーキットを走ることを第一に開発された、限りなくレーシングカーに近いハイパーカーの実力を、セナが初勝利を挙げたポルトガルのエストリルサーキットで放つ。“伝説”を車名に冠する
1985年4月21日、エストリルグランプリ。得意の雨。自身初のポールポジションからスタートしたアイルトン・セナが乗っていたのは、くしくも英国の名門、ロータスの「97T」(ルノー)だった。
水しぶきを上げながら独走を続けた、黒に金、JPSカラーのマシンは、そのままポール・トゥ・ウィンでレースを制す。2位に1分以上の差をつけ、3位以下をすべて周回遅れにするという圧倒的な初優勝であった。ワールドチャンピオン3回、優勝回数41回。音速の貴公子の、これが伝説の始まりだ。
あれから、30年と少し。伝説の名前を今によみがえらせた1台のスーパーカーとともに、ボクはエストリルサーキットのピットロードにいた。英国のマクラーレンが放った最新のハイパーカー、その名も「マクラーレン・セナ」。
伝説のレーシングドライバーの名を冠したモンスターマシンについて、その技術的な見どころをすべて語ろうとすると、いくら文字制限のないネット用記事とはいえ、あきれるほど長くなってしまいそう。それに、その仕様やスペックに関しては、ショーデビュー以来、いろんなところで読まれた読者も多いことだろう。ここでは「セナ」の概要を簡単に振り返るにとどめて、できるだけ速やかに、セナの右アシとまではいかないにしろ、そのサーキットインプレッションをお伝えしたいと思っている。