ウワサのSUVはどうなる?
フェラーリの新車戦略を読み解く
2018.10.03
デイリーコラム
ランボに負けてはイカン!
フェラーリは今後4年間に、15の新型車の発売を計画しており、うち6割をハイブリッド化。ずっとウワサされてきたSUVも、とうとう商品化されると見られている。
日本は、欧米に比べるとSUVの販売比率が比較的低い。カーマニアの間では、「ランクル」や「ジムニー」などの本格的クロカン4WDを除くと、SUVは「趣味性の低いクルマ」と見られている。
また、ポルシェやランボルギーニといったスーパースポーツブランドが、次々とSUVをリリースすることに対して、「しょせんビジネス優先なのか」という、諦めや失望も抱いている。
そんな中フェラーリだけは、いまだにSUVを持っていない。これは、長年フェラーリを率いてきたモンテゼーモロ氏がSUVを拒絶してきたからだが、それに関しては、「さすがフェラーリ!」「エライ!」といった反応が主だった。
そのフェラーリも、ついにSUVの軍門に下ると予想されているわけだが、私はそこに関しては、むしろ遅すぎたと思っている。
個人的には、「フェラーリ・フォー」やその後継モデルの「GTC4ルッソ」の造形には、まったく魅力を感じなかったし、それこそ「失望」の2文字だった。仮に、それに代わってカッコいいSUVが登場するならば、そっちのほうがずっといい。どうせ自分は買わないんだし――と言ったら身もふたもないですが。
ランボルギーニが「ウルス」の発売で販売台数を爆発的に伸ばし、近い将来フェラーリを超えるかもしれないという状況を考えると、フェラーリの経営サイドにすれば、スーパースポーツの王者として、SUVを出さないわけにはいかないだろう。フェラーリ派のやじ馬である私としても、ランボにコロリと負けるのは気分がよろしくないので、ウルスに負けないカッコいいSUVを開発して、巻き返してほしいと願っている。
しかしまぁ、近年のフェラーリのデザイン傾向を見ると、なんとなく、「マセラティ・レヴァンテ」や「アルファ・ロメオ・ステルヴィオ」の親玉みたいのが出てくるのかな、という予感は強い。それではウルスの個性に対抗できないのではないか? ここはひとつ、見たこともないような革新的フォルムをまとった、スーパーSUVの登場を望みたい。
“最後のとりで”V8モデルはどうなる?
ただ、本音を言えば、SUVなどどうでもいい。フェラーリは元来スーパーカーなのだから。その中でも、V8ミドシップモデルが将来どうなるのかが非常に気になる。
『サーキットの狼』世代のカーマニアにとって、フェラーリといえばミドシップ。ミドシップでないフェラーリなど、心の中ではフェラーリの数に入れていない。FR化されたV12モデルがミドシップに戻ることはないだろうから、V8ミドシップは最後のとりでなのだ。
そんなV8ミドシップフェラーリも、2021年までにはハイブリッド化されてしまうらしい。ターボ化だけでも、あの甲高いフェラーリサウンドが失われてガックリしているのに、ハイブリッド化されたらどうなるのか? そこにはどんな趣味性があるのか?
そんな懸念を抱く守旧派カーマニアは、クラシックモデルに乗ってろやと言われればそれまでだが、自分が愛する対象がどんどん変容し、消えていく(かもしれない)のは、やっぱりさみしい。「ひとつくらい古典的なやつを残しておいてください!」と言いたくなる。高くて買えませんけど。
ちなみにフェラーリは今後、商品ラインナップを4種類に分けるとか。
「488」や「812スーパーファスト」はスポーツカーレンジ。「ポルトフィーノ」やGTC4ルッソ、そして登場するであろうSUVはグラントゥーリズモレンジ。「488ピスタ」などはスペシャルシリーズ。少量限定モデルは「Icona(イーコナ)」だそうだ。
ビジネスが成立しなきゃ市場経済で生き残れないので、仕方のないことですが、やっぱりここにも、ビジネスの香りが……。
(文=清水草一/写真=フェラーリ、マセラティ/編集=藤沢 勝)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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