ハスクバーナ・ヴィットピレン701(MR/6MT)
歴史がつむぐシングルビート 2018.10.14 試乗記 スウェーデン発のバイクブランド、ハスクバーナがリリースした単気筒エンジンのロードモデル「ヴィットピレン701」。軽量モデルとは思えないしっとりとしたハンドリングと、単気筒エンジン特有の鼓動感を味わいながら、このモデルを誕生させたバイクメーカーの数奇な歴史に思いをはせた。単気筒への愛を感じる
ハスクバーナのヴィットピレンは、個性的なデザインや単気筒エンジンの楽しさ、乗りやすさなどで最近注目を集めているスポーツバイクだ。しかし、このバイクの魅力は走りだけでなく、その生い立ちにもある。
ヨーロッパには昔から数多くの中小バイクメーカーがあり、個性的かつ魅力的なオフロードバイクを多数輩出していた。シングルエンジンもそういった中で独自に進化していった。
そんな中、KTMが作り出したのが「690」のエンジンだ。エンデューロだけでなく、オンロードで使うことも同時に考えられたこのエンジンはハイパワーで、空力的に厳しいオフロードのスタイルでも最高速は200km/hに達し、180km/hでも不快な振動を感じることがなく巡行できるほどだった。
耐久性も大幅に向上していた。それまでのヨーロッパ製シングルは、ベースが競技用だったため耐久性が高くなかったのだ。まさにKTMシングルの総決算ともいうべきエンジンだったのである。
ヴィットピレンは、このエンジンを受け継ぎ、さらなる改良を加えて熟成させた。その結果、常用域において素晴らしい快活さを発揮するようになった。スロットルを開けた瞬間、マシンは飛び出すように加速する。マルチのように回転が上がるのを待つ必要はない。シートの上で体が後ろに移動してしまうぐらいの瞬発力だ。
高回転の過激さは若干おとなしくなった感じがするけれど、その代わりに低中速の扱いやすさと力強さが向上した感じだ。性能という点でも高得点なのだけれど、そのフィーリングは、単気筒特有の鼓動感と力強いトルクに満ちあふれている。シングルを愛している人たちが大事に作り上げてきたエンジンであることが体に伝わってくるようだ。
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