スズキ・ジムニーXC(4WD/5MT)
すべてはオフロードのために 2018.10.30 試乗記 20年ぶりのモデルチェンジによって登場したJB64型「スズキ・ジムニー」。ファンの「このままでいい」「変えないでほしい」という要望を受けて開発された新型は、すっかり洗練されながらも、その本質は荒野が似合う頑固なオフローダーのままだった。目的は“テコ入れ”ではない
発売直後から人気爆発の新型ジムニーは一時、納車待ちが1年以上(!)、より生産台数の少ない(というか、事実上同じクルマである海外向けジムニーが優先される)ジムニーシエラ(以下、シエラ)にいたっては1年半以上(!!)……ともいわれてきた。
同車の国内販売目標は、そもそも軽自動車(以下、軽)のジムニーで年間1万5000台、シエラが同1200台で、海外向けも含めて全数生産する湖西工場のラインはフル稼働しても月産4000台が限界だった。それに対して、2018年7月に国内発売された新型ジムニー/シエラの受注台数は、発売1カ月で販売目標の1年分を超える合計1万6000台にまで達した。つまり、スタートダッシュがすごすぎてパニックにおちいったわけだ。
それがあくまで瞬間風速だとしても、さすがにシブチン(失礼!)のスズキも現況は放置できない……と、ジムニーの生産能力を年明けにも月間7000台(年間8万4000台)まで増強することを決めた(と報じられた)。実際、少なくとも軽ジムニーの納期はすでに短縮傾向にあるそうで、さらに増産ともなれば、今の異常事態も解消されることだろう。
新型ジムニーの担当者によると、先代の販売実績は「発売直後に国内だけで年間3万台を超えたのをピークに、最終的には国内で1万4000~1万5000台、海外向けで約1万5000台に落ち着いた」そうだ。ジムニーがすごいのは、そうして落ち着いた後の15年以上の間、グローバルで年間3万台という規模をピタリと維持したことだ。あからさまに増えることはなかったが、逆にリーマンショックやモデル末期も関係なく、最後の年まで見事なほどの横ばいだったという。
そんなド安定銘柄に20年ぶりのフルモデルチェンジが実施されたのは、横滑り防止装置の全車標準化などといった時代に合わせた安全対策が「いよいよ“後追加”ではキツくなった」のが直接的なキッカケで、拡販をねらったものではない。そう考えれば、フル稼働で月間4000台=年間4万8000台という当初の生産能力の見積もりも、結果的には甘すぎたのだが「今回の爆発的人気はさすがに想定外でしょ?」と擁護したくなるのも事実だ。
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