第125回:すばらしきかなランボルギーニ
2019.02.26 カーマニア人間国宝への道ウルスにコーフンを覚える
「アヴェンタドールSVJ」よりも、「フェラーリ812スーパーファスト」よりも、「ウルス」にコーフンを覚えた不肖ワタクシだったが、それはいったいナゼなのか。
理由その1)ウルスは、ランボルギーニらしい超オラオラ感満点なルックスだから。
理由その2)それでいて背が高いので、さらに威圧感が増幅されているに違いない気がするから。
どちらも単細胞すぎる理由だが、とにかくウルスに乗れば、戦車に乗って街中を行進するみたいな万能感に浸れるのではないか! という予感がしたのだ。
加えて、あんまり気を遣わずに走れるんじゃないかという予感もする。
これがアヴェンタドールSVJだったら、「エアダムこすらないかな」とか「車線変更でぶつからないかな」とか「車庫入れ怖いな」とか、いろんな心配が頭をもたげて、おちおち万能感にも浸っていられない。
もちろん、それがスーパーカーの持ち味といいましょうか、捨て身で爆走するからこそ快楽もまたデカいのでありますが、もうそっち方面の快楽には慣れっこだし、アヴェンタSVJじゃ心配ばっかりおっきくなって、新たな快楽までたどり着けそうにない。
だいたい、自分のようなサーキットも卒業した中高年には、フツーのアヴェンタだろうがSVJだろうが似たようなもんだ。どーせパワー使いきれないんだから。
カウンタック購入に悔いなし
ところでアヴェンタドールのお値段はいかほどかと申しますと、フツーの「アヴェンタドールS」が4492万円で、SVJが5154万円のようです。金額がデカすぎてほとんど同じって感じもするけれど、実際に支払うとなると、662万円の差は大きいはずだ。支払えませんけど。
いずれにせよ、5000万円とかのスーパーカーには現実味が皆無。それでも体内からフツフツと湧き上がるコーフンがあればいいのですが、年のせいかそういうものもナイ。いまさらピチピチなグラドルの写真見てもコーフンしないみたいなもんだよね。自分は菊池桃子(50歳)がいいです。
というよりも私は、ポップアップドアを持つランボルギーニに関しては、一度「カウンタック アニバーサリー」を買ったことで、真っ白に燃え尽きました。
私がカウンタックを買ったのは2010年。その時はリーマンショック後の不況期だったので、1500万円で買えたのですよ! いやぁ、あの時買っといてホントによかった。今じゃ3000万円くらいするらしいので。
昨今のランボルギーニの高騰ぶりは凄(すさ)まじい。「ガヤルドeギア」だけはそこそこ安くて1000万円前後でも買えるけど、それ以外は全部バカ高くなってしまった。もう絶対買えないです~。でも一度買ったので悔いはないです。
思い出すと、カウンタックは本当によかった。約半年の所有期間に5~6回しか乗らなかったけど、本当にステキなクルマだった。フェラーリが天使だとしたらカウンタックは完全に悪魔だったけど、今では美しい思い出になりました。
ウルスに期待感
カウンタックの何がいいって、ただそこに存在するだけでオッケーなことでした。
カウンタックを走らせても、フェラーリみたいにβエンドルフィンがドバドバ分泌されて神が見えたりはしなかったし、運転するととにかく疲れるので結果的にあまり乗らなかったのですが、なにせカウンタックに乗ってると、周囲の視線がバカバカしいほど集まる。窓からケータイを差し出して狂ったように追いかけてくるクルマとかもいて、追っかけに追われてるアイドル気分!
『ビートルズがやって来るヤァヤァヤァ!』って感じか。古くてスマン。とにかくフェラーリでは起きない現象だ。
サービスエリアに止まってりゃ、自動的に人がわらわらと集まってくる。それもオタクっぽいカーマニアではなく、ひたすら無辜(むこ)の民たちがニコニコと! 具体的には女子供と老人ですね。自分が怪獣になったみたいな快感でした。
ウルスには、それに近いモノがあるのではないか。あのルックスだけで、無辜の民がキャッキャ喜んでくれるのではないか!? そんな予感もする。
そう思ったら、とてもコーフンしてきたのです。中高年のコーフンは大事にしないといけません。貴重なコーフンなので。
で、コーフンのウルスに試乗してどうだったのか?
すっごく楽しかったです! 詳細は次回。
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
-
第323回:タダほど安いものはない 2025.11.17 清水草一の話題の連載。夜の首都高に新型「シトロエンC3ハイブリッド」で出撃した。同じ1.2リッター直3ターボを積むかつての愛車「シトロエンDS3」は気持ちのいい走りを楽しめたが、マイルドハイブリッド化された最新モデルの走りやいかに。
-
第322回:機関車みたいで最高! 2025.11.3 清水草一の話題の連載。2年に一度開催される自動車の祭典が「ジャパンモビリティショー」。BYDの軽BEVからレクサスの6輪車、そしてホンダのロケットまで、2025年開催の会場で、見て感じたことをカーマニア目線で報告する。
-
第321回:私の名前を覚えていますか 2025.10.20 清水草一の話題の連載。24年ぶりに復活したホンダの新型「プレリュード」がリバイバルヒットを飛ばすなか、その陰でひっそりと消えていく2ドアクーペがある。今回はスペシャリティークーペについて、カーマニア的に考察した。
-
第320回:脳内デートカー 2025.10.6 清水草一の話題の連載。中高年カーマニアを中心になにかと話題の新型「ホンダ・プレリュード」に初試乗。ハイブリッドのスポーツクーペなんて、今どき誰が欲しがるのかと疑問であったが、令和に復活した元祖デートカーの印象やいかに。
-
第319回:かわいい奥さんを泣かせるな 2025.9.22 清水草一の話題の連載。夜の首都高で「BMW M235 xDriveグランクーペ」に試乗した。ビシッと安定したその走りは、いかにもな“BMWらしさ”に満ちていた。これはひょっとするとカーマニア憧れの「R32 GT-R」を超えている?
-
NEW
第855回:タフ&ラグジュアリーを体現 「ディフェンダー」が集う“非日常”の週末
2025.11.26エディターから一言「ディフェンダー」のオーナーとファンが集う祭典「DESTINATION DEFENDER」。非日常的なオフロード走行体験や、オーナー同士の絆を深めるアクティビティーなど、ブランドの哲学「タフ&ラグジュアリー」を体現したイベントを報告する。 -
NEW
「スバルBRZ STI SportタイプRA」登場 500万円~の価格妥当性を探る
2025.11.26デイリーコラム300台限定で販売される「スバルBRZ STI SportタイプRA」はベースモデルよりも120万円ほど高く、お値段は約500万円にも達する。もちろん数多くのチューニングの対価なわけだが、絶対的にはかなりの高額車へと進化している。果たしてその価格は妥当なのだろうか。 -
NEW
「AOG湘南里帰りミーティング2025」の会場より
2025.11.26画像・写真「AOG湘南里帰りミーティング2025」の様子を写真でリポート。「AUTECH」仕様の新型「日産エルグランド」のデザイン公開など、サプライズも用意されていたイベントの様子を、会場を飾ったNISMOやAUTECHのクルマとともに紹介する。 -
NEW
第93回:ジャパンモビリティショー大総括!(その2) ―激論! 2025年の最優秀コンセプトカーはどれだ?―
2025.11.26カーデザイン曼荼羅盛況に終わった「ジャパンモビリティショー2025」を、デザイン視点で大総括! 会場を彩った百花繚乱のショーカーのなかで、「カーデザイン曼荼羅」の面々が思うイチオシの一台はどれか? 各メンバーの“推しグルマ”が、机上で激突する! -
NEW
ポルシェ911タルガ4 GTS(4WD/8AT)【試乗記】
2025.11.26試乗記「ポルシェ911」に求められるのは速さだけではない。リアエンジンと水平対向6気筒エンジンが織りなす独特の運転感覚が、人々を引きつけてやまないのだ。ハイブリッド化された「GTS」は、この味わいの面も満たせているのだろうか。「タルガ4」で検証した。 -
ロイヤルエンフィールド・ハンター350(5MT)【レビュー】
2025.11.25試乗記インドの巨人、ロイヤルエンフィールドの中型ロードスポーツ「ハンター350」に試乗。足まわりにドライブトレイン、インターフェイス類……と、各所に改良が加えられた王道のネイキッドは、ベーシックでありながら上質さも感じさせる一台に進化を遂げていた。









