BMW S1000RR Mパッケージ(MR/6MT)
このバイクなら怖くない 2019.03.23 試乗記 2009年に誕生するやいなや、ファンと業界の話題をさらってみせた「BMW S1000RR」。“速さ”と“乗りやすさ”を兼ね備えたドイツのスーパーバイクは、フルモデルチェンジによってどのような進化を遂げたのか。雨のポルトガル・エストリルサーキットでその実力に触れた。最後まで色あせなかった先代の魅力
目指したのは、車重マイナス10kg、サーキットではライバルをラップ1秒突き放し、しかも乗りやすい。2009年の登場以来、アップデートを繰り返してきたBMWのスーパーバイクがついにフルモデルチェンジされた。
BMWにとってこのカテゴリー初参戦となったS1000RRは、デビュー当時から話題を振りまいた。速いのだ。プライベートチームがノーマルエンジンで挑んだ鈴鹿のレースで、ワークスマシンとバックストレートスピードが変わらなかった、などという逸話も残る。BMWの確かなエンジン設計、高い次元のシャシー技術は、ファンをうならせ、2018年まで色あせることはなかった。
新型の開発が始まったのは4年前。リーマンショックから日本勢が立ち直り、ヤマハが8代目「YZF-R1」を世界に送り込み、新たな時代の扉が開かれた年だ。BMWも高次元でのコンプレインを丁寧につぶしながらS1000RRの開発をスタートさせる。
環境対応と性能の向上。その両立のため、まずは水平対向エンジンに採用した可変バルブタイミング・リフト機構「BMWシフトカム」を並列4気筒のこのエンジンにも搭載してきた。状況に応じて、9000rpmまでにパーシャルロード(ローカム)からフルロード(ハイカム)へと吸気側のカムをシフトさせる機構が搭載されたのだ。バルブリフトとオーバーラップを変え、市街地とサーキットの双方でパフォーマンスを向上させた。こうした機構を搭載しながらも、エンジン単体で4kgの軽量化も図っている。