第6回:CG ROBOT RACING TEAM 2019 シーズンリポート Vol.2
凜太郎、駆ける。 2019.06.02 池島実紅の「挑戦! 86/BRZ Race」 TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Raceのシリーズ開幕戦、鈴鹿ラウンドでは、久保凜太郎選手の力走で貴重な1ポイントを得たCG ROBOT RACING TEAM。そんな緒戦を受けてのシリーズ第2戦が、4月20日~21日、静岡県・富士スピードウェイで開催された。今シーズンから新たに導入される“2ヒート制”で競われる最初のレースとあって、大注目を集めた同週末の86/BRZ Raceシリーズ。CG ROBOT RACING TEAMから、プロフェッショナルシリーズに井口卓人選手と久保凜太郎選手、そしてクラブマンシリーズ エキスパートクラスに池島実紅選手とともに出走した3台のスバルBRZは、節目となるこの富士ラウンドをどう戦ったのだろう?(『CG』2019年7月号から転載)
シリーズ初の「1大会2ヒート制」
注目の“2ヒート制”が導入されるのは、CG ROBOT RACING TEAMの3台のスバルBRZが参戦するプロフェッショナルシリーズとクラブマンシリーズ エキスパートクラスに加え、今季からビギナー向けに新設されたクラブマンシリーズ オープンクラスを含む3カテゴリー。つまり、今回の富士ではすべての86/BRZ Raceが1大会2ヒート制で開催されるというわけだ。
いずれも土曜に予選、翌日曜にそれぞれ2回ずつの決勝ヒートを実施。1ヒートは10周で、2ヒートを完走すると周回数は計20周となり、第1ヒートの決勝結果はそのまま第2ヒートのスターティンググリッドとなる。
また「1大会2ヒート制」を敷く場合、ポイントは第1ヒート、第2ヒートとも与えられるが、それぞれのヒートを完走することがポイント獲得の絶対条件となる。つまり、仮に第1ヒートで優勝しても第2ヒートでリタイアしてしまうと獲得ポイントはゼロ。ちなみに両ヒートで優勝すれば30ポイント(第1ヒートは10点、第2ヒートではその2倍の20点)。同時にポールポジションとファステストラップにもそれぞれ1ポイントが与えられるため、最大で33ポイント獲得することができる。
もっとも、予選から決勝の2ヒートを通して使用できるタイヤは、従来と同じ4本、つまり1セットに限られる。これまでは1セットのタイヤで予選と決勝レース1戦分をいかに戦うかがこのシリーズの争点だったが、1大会2ヒート制でのレースイベントでは、さらにもう1戦、同じタイヤで決勝ヒートを走らねばならない。その意味では、これまで以上にドライバーのタイヤマネジメント能力が問われ、使用タイヤ銘柄のキャラクター差がより鮮明に打ち出されることは間違いない。
不運なアクシデント
こうした状況で予選に臨んだCG ROBOT RACING TEAMは、凜太郎選手が6番手、井口選手は8番手と上位グリッドを確保。このうち、凜太郎選手は第1ヒートのスタート直後に5番手にポジションアップ。集中力を切らすことなくクレバーなドライブを披露し、そのまま5位で第1ヒートを終えた。一方の井口選手も第1ヒート序盤に6番手を堅持していたが、4周目のダンロップカーブ進入で後続車に追突され、そのままリタイア。明暗を分ける結果となった。しかしながら、#88井口車の車載カメラ映像には、後方からミサイルのごとき速度で迫る後続車の動きを察し、瞬間的なステアリング操作で最悪の事態を逃れる一連のシーンが残っていた。まさにレース巧者・井口卓人の面目躍如である。
こうしてダメージを受けた#88井口車だが、チームは第2ヒートのスタート進行までに残された3時間の間にマシンの修復を完了。再度、コックピットに復帰した井口選手は2分05秒050という全33台中、セカンドベストのラップタイムをマーク。チームの期待に応えた。また、第1ヒートで5位フィニッシュを遂げた凜太郎選手は、第2ヒートでも大健闘。一時4番手に浮上する力走を見せ、結果的に5位でチェッカー。12点を加え、ポイントランキング9番手につけてみせた。
一方、クラブマンシリーズのエキスパートクラスに出場した池島実紅選手は、予選16番手から第1ヒートに臨んだが、そのスタート直後の1コーナーでコントロールを失った他車に側突され、リタイア。#89池島車は右ドアパネルが裂ける(!)大きなダメージを負った。ドライバーの池島選手は直ちにメディカルルームに搬送されたが、検査の結果、大きなケガもなく、幸いにして打撲傷程度で難を逃れた。
(文=早田禎久/写真=服部真哉)
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