オリジナルでしか味わえないもの

もっとも、こんなPHCが「新世代のハイドロである」という主張には、素直にうなずけない面があるのも事実である。

窒素を封入したエア室がスプリングで、そして前後左右で連関した油圧回路が車高・姿勢維持や減衰をおこなっていたハイドロニューマチック/ハイドラクティブ最大の技術的効能はあくまで「荷重や走行状況を問わず、あらゆる場面で理想的な車高と車両姿勢を積極的に保つ」ことであり、快適な乗り心地はいわばその副産物にすぎないからだ(実際の商品としてはそれが最大の売りだったとしても)。その意味で、車高維持機能をもたないPHCはハイドロの正統後継技術とはいいにくい。

ただ、早い話がエアサスペンションの一種であるハイドロでは「初期ストロークは柔らかく、深く縮むほどコシが強まる」というエアスプリング特有のプログレッシブ効果も、その味わいに少なからず影響していたことも確か。ストロークに応じて減衰力が変化するPHCはそういうプログレッシブ効果こそが最大のキモであり、この点はなるほどハイドロとの類似点はある。

まあ、いずれにせよ、PHCは独自性の高い(市販車では)新しい技術であり、以前のハイドロよりシンプルで低コスト、より幅広く使えそうな点は大きなメリットだ。これが実際に乗って「これこそ令和のハイドロや~!」と叫びたくなる革命的なデキなら、素直に素晴らしいことである。

(文=佐野弘宗/写真=グループPSA、ルノー/編集=藤沢 勝)

最後のオリジナル“ハイドロ”搭載モデルとなった「シトロエンC5」。日本では2015年5月に販売終了となった。
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