第865回:ブリヂストンが新タイヤブランド「フィネッサ」を発表 どんなクルマに最適なのか?
2026.03.13 エディターから一言 拡大 |
ブリヂストンが2026年1月に発表した「FINESSA(フィネッサ)」は、同社最新の商品設計基盤技術「ENLITEN(エンライトン)」を搭載する乗用車用の新タイヤブランドである。高いウエットグリップ性能と快適な車内空間の実現がうたわれるフィネッサの特徴や、走行時の印象を報告する。
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フィネッサってどんなタイヤブランド?
はじめてフィネッサの名前を耳にしたときは、タイヤではなく、ファッションやコスメのブランドをイメージした。フィネッサという語感からは穏やかさや上質さ、安心が感じられる。また語尾の「〜essa」がヨーロッパのプレミアムブランドを連想させ、そうした印象を生むのだろう。
ブリヂストンによれば、フィネッサという名前は、“FINE”と“SAFETY”から生まれた造語だという。「安心・安全(SAFETY)を軸に、より快適で心地よい(FINE)ワンランク上の車内空間を提供し、豊かなカーライフをお届けしたいという想いを込め、FINEとSAFETYを組み合わせてFINESSAというブランド名としました」というのが彼らの説明である。
つまりフィネッサは、安心・安全と快適性を提供することを目的とした乗用車向けのタイヤブランドなのである。
そこで気になるのが、フィネッサのポジション。ブリヂストンの乗用車用タイヤには、スポーツタイヤの「POTENZA(ポテンザ)」、プレミアムコンフォートタイヤ「REGNO(レグノ)」、エコタイヤの「ECOPIA(エコピア)」、エントリータイヤの「NEWNO(ニューノ)」がある。新たに加わるフィネッサはコンフォートタイヤ系のなかで、レグノとエコピアの間に位置づけられるスタンダードタイヤだ。
目指すはエコピアの上
実際には、ブリヂストンの低燃費タイヤ技術を象徴するエコピアから上級移行を図りたいというのが同社の狙いのようだ。低燃費性能が当たり前になったいま、これまでよりも高い安心・安全と快適性でユーザーを満足させるブランドがフィネッサであると考えるとわかりやすいかもしれない。ブリヂストンとしては、知名度の高いエコピアブランドは残しながらも、アフターマーケットにおいては、このフィネッサに乗用車用タイヤの主軸を移していきたい考えなのだ。
そのために、フィネッサが目指す性能は、「確かな安心・安全」「静かで快適なドライビング体験」「サステイナビリティーへの貢献」の3点だという。
今回紹介するのは、同シリーズの第1弾として2026年2月1日に発売された「フィネッサHB01」だ。サイズは14インチから19インチまで全55サイズを用意し、軽自動車からコンパクトカー、そして上級セダンまで幅広い車種をカバーする。
開発にあたり特に力を入れたとされるのがウエット性能の向上だ。排水性を高める「スプラッシュラグ」と、摩耗後も排水性能を維持する「スクエアグルーヴ」を採用することで、新品時だけでなく、摩耗後も高い水準を維持する設計が施された。「エコピアNH200」との比較ではウエットブレーキ性能が新品時で15%、2万km走行後でも12%の向上(制動距離の短縮)を実現しているという。
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プレミアムタイヤに近い静粛性
基本性能を底上げするために、ブリヂストン最新の商品設計基盤技術、エンライトンを採用。ケースラインの最適化やブロックの変形を抑える「3D-M字サイプII」を採用することで接地圧を均一化し、ブレーキ性能や耐摩耗性能の向上を図った。主溝とラグ溝を連結し、走行中のノイズを耳障りになりにくい音質へとチューニングする「スプリットサイレンサー」によりパターンノイズを低減したのも見逃せないポイントである。
そんな新商品の実力を試すため、ブリヂストンでは「トヨタ・プリウス」にフィネッサHB01と、2023年2月に発売されたニューノを装着し、比較できる環境を用意してくれた。タイヤサイズはいずれも195/60R17である。試乗時間はそれぞれ15分と短かったものの、公道上でフィネッサHB01の長所を感じ取ることはできた。
まずは静粛性について。ニューノはエントリータイヤとして十分な静粛性を備えているものの、路面が荒れた区間ではロードノイズやパターンノイズが目立ちやすい。また、速度が上がるにつれ、ロードノイズが存在感を増してくる。
それに対して、フィネッサHB01は、同じ条件でもロードノイズがよく抑え込まれていて、荒れた路面でもノイズの増加が穏やか。エントリータイヤとプレミアムタイヤの中間というよりも、プレミアムタイヤに近い静粛性に思えた。
快適さに加えて走りの楽しさも
乗り心地に関しても、ニューノとフィネッサHB01には明らかな違いがあった。ニューノの場合、おおむねマイルドな印象だが、荒れた路面ではザラついた感触や細かな振動がやや直接的に伝わる傾向があり、平滑路でもコツコツとした入力が残る場面があった。
これに対してフィネッサHB01は、しっかりとした感触があり、そのぶん少し硬めの印象だが、快適さは十分確保されている。一方、目地段差を越えたときのショックはフィネッサHB01のほうがうまくいなす感じで、柔らかさ重視のニューノに対し、フィネッサHB01はしっかり感と上質感を両立した乗り味といえる。
さらにフィネッサHB01では、路面とのコンタクトがしなやかで、接地感が高く思えるのが、快適さと安心につながっている。ステアリング操作に対する反応もフィネッサHB01のほうが良好で、よりシャープなハンドリング性能により、運転する楽しさが増しているのがうれしい点だ。
今回の比較試走を通して、フィネッサHB01の静粛性、乗り心地、走りの楽しさといったポイントにおける特徴を確認し、エントリータイヤやエコタイヤに対してワンランク上の性能を手に入れていることを実感した。タイヤ交換を機に、愛車の走りをグレードアップしたい人には、注目の選択肢になりそうだ。
(文=生方 聡/写真=花村英典、ブリヂストン/編集=櫻井健一)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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