新型「リーフ」は日産の救世主になれるか BEVオーナーの見立ては?
2026.03.12 デイリーコラム出来栄えは期待以上
かつて日本の電気自動車(BEV)市場を切り開いた立役者が、再び主役の座に返り咲くことができるか? そんな期待を胸に臨んだ新型「日産リーフ」の報道関係者向け試乗会は2時間弱のテストドライブだったが、その出来栄えは期待以上! そろそろ次のBEVに乗り換えようと考えている私にとって、3代目リーフは次期愛車候補のランキングトップである。
新型リーフの見どころはたくさんある。先代よりも全長が短いものの、クロスオーバー風のファストバックスタイルと大径タイヤによって存在感が増したエクステリアをはじめ、BEV専用プラットフォーム「CMF-EV」の採用でゆとりと機能性が向上したパッケージングや走り、日本向けに味つけられた快適な乗り味など。加えて、これまでのリーフに足りないところや、いまのBEVに求められる性能を漏れなく投入してきたことなどにより、総合的な完成度は実に高い。
そのあたりは、以前寄稿した試乗記(参照)をご覧いただくとわかると思うが、そこに収めきれなかった開発担当者に聞いたアレやコレやを紹介すると、私が感じた新型リーフの魅力がさらに伝わるかもしれない。
たとえば……。
従来、鼻先に配置されていた充電ポートを、今回はサイドへ移動した。運転席側が普通充電用、助手席側がCHAdeMO対応の急速充電用である。その移動の理由を尋ねると、ひとつはデザイン面で、フロントオーバーハングを切り詰め、フロントマスクをよりスマートに仕上げるため。もうひとつは事故修理でのコスト削減で、フロント部の接触事故が起きた場合に、充電ポートがサイドにあることで修理費用が抑えられるからだという。
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過去の経験が生かされている
新型リーフには「e-Pedal」と呼ばれる、いわゆるワンペダル機構が備わるが、アクセルを完全に戻しても車両を停止させる仕様にはなっていない。ブレーキを踏まなければ最終的な停止までは行わない設計であり、発進時にはブレーキを離せばクリープ現象が働く。これは同じ日産のBEV「アリア」と同じである。旧型リーフではアクセル操作のみで停止まで可能だったが、近年の「踏み間違い」問題などを受け、「ノート」以降は「止めるまではドライバーが責任を持つ」という思想に統一している。
上級グレードの「G」では、回生ブレーキのレベルをパドルで調整できるが、最も弱い設定にしても完全なコースティング(空走)状態にはならず、わずかな減速感が残る。こうした理由は、日本市場の特性にあるという。日本の多くのユーザーはAT車に慣れており、アクセルオフ時には一定の減速感があるものだと認識している。そのため、完全に空走してしまうよりも、軽く減速するほうが扱いやすいという評価が多いという。一方で、欧州のように巡航主体の交通環境ではコースティングが好まれる傾向もあり、将来的な検討課題としての余地は残しているそうだ。
それにも関係してくるが、新型リーフはOTA(Over-The-Air)アップデートに対応する。オーディオ関連のみならず、一定範囲で制御系のアップデートも可能なのだ。理論上は、たとえばコースティングモードのような新機能を後から加えることも技術的には可能である。ただし、各国の認証要件などが絡むため簡単ではない。それでも、市場の反応をみながら機能拡張を検討できる環境が整っている点は、ユーザーにとってはうれしいかぎりである。
バッテリーヒーターが搭載されるのも、冬季に急速充電する際に受電能力が上がらず、つらい思いをしてきた旧型リーフユーザーには朗報だろう。ただ、バッテリーヒーターは標準装備ではなく、“寒冷地仕様”的なオプションとして設定される。寒冷地での長距離移動を頻繁に行うユーザーは限られるとの判断から、必要な人が選択できるようにしたそうだ。
試乗では試せなかったが、受電能力の高さも新型リーフの魅力のひとつ。急速充電は最大400Aに対応し、「B7」の場合、150kW級の充電器であれば、条件が整えば130kW以上の出力を受け入れられるという。
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主役に返り咲く資質は十分だが
従来のリーフユーザーにとっては、「こうしてほしい」がほぼすべて詰まっている新型リーフ。やはり期待は高かったようで、2025年10月から約4カ月で6000台を超えた受注のうち、その多くがリーフからリーフへの“乗り換え”やリーフの“指名買い”だという。
2026年1月末にはバッテリー容量が少なく、価格を抑えた「B5」が追加になり、さらに受注が増えると予想される。今後、販売の中心になるのは、B5の中間グレードである「X」(473万8800円)と予想されており、国の補助金が129万円だから、実質300万円台半ばで購入できることになる。
ちなみに、つい最近、日産リーフの公式ウェブサイトに、リーフB5のセルフ見積もりが追加になったので、さっそく試してみた。私も狙っているB5 Xを選び、2トーンのボディーカラーと「NissanConnectスタンダードプランG」に、メーカーオプションの「後席ヒーター付きシート+リアヒーターダクト+バッテリーヒーター」、「100V AC電源(1500W)」、ディーラーオプションの「ラゲッジパック」を追加したところ、諸費用抜きで504万9860円となった。私は東京・葛飾区に住んでいて、国:129万円、都:60万円(再エネ電力導入なし)、区:30万円の合わせて219万円の補助金が受けられるので、実質285万9860円で手に入ることになる。これはかなり魅力的だ。
それはさておき、新型リーフは日本のBEV市場の主役に返り咲く資質を十分に備えていると思う。とはいえ、日本におけるBEVの新車販売シェアは1%台と少ないため、新型リーフが日産の業績回復に大きく貢献するとは考えにくいが、日産を元気にする明るい材料となってくれたらうれしいと思う。
(文=生方 聡/写真=日産自動車、佐藤靖彦/編集=櫻井健一)
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生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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