三菱eKクロスT(前編)

2019.07.25 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 「軽のレベルを超えている」とちまたで評判の、「三菱eKクロス」。ステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝も、その走りには、想像とは違った“気づき”があったようだ。

意外なほど常識的

今回は、この企画ではずいぶん久しぶりの登場となる軽自動車の、三菱eKクロスを谷口信輝に試乗してもらった。いつもの試乗コースに含まれる急な登り勾配や高速コーナーは、軽自動車のハイト系ワゴンが最も苦手とするセクションのひとつだが、果たして谷口の評価やいかに? 試乗を終えたばかりの谷口に、早速その印象を語ってもらった。
「なにも不満はないですね」

ぶっきらぼうに聞こえるこの言葉も、この企画を愛読いただいている皆さんであればご存じのとおり、かなりの褒め言葉だ。
「いくらターボが付いているとはいえ、排気量660ccの軽自動車でしょ? それに、車高が高くていかにも車重が重そうだし……(試乗車の全高は1660mmで車重は920kg)。だから、遅いは遅いです。でも、それ以外はなにも不満がありません。ギアボックスも、いまどきの軽自動車にそんなにたくさん乗ったことがあるわけではないので正確にはわかりませんが、発進からのつながりもいいですよ。ただし、CVTなので高回転域ではうなり音が聞こえてきて、ちょっと苦しそうというか、少し無理して走っている感じがしますけど、これは仕方ないですよね」

ハイト系軽自動車では重視されるべきポイントでないかもしれないが、念のため、コーナリングの印象も聞いてみた。
「これだけ背の高いクルマにしては、意外とコーナリングも安定していますよ。足まわりも、(ダンピング不足で)ポワンポワンになるわけでもなく、まあ常識的な範囲ですよね。とはいえ、攻めきる気にはなれませんでした。おそらく転倒はしないと思いますが、僕自身がこの種の軽自動車に慣れているわけではないので、少し抑え気味で走りました」

軽自動車と聞くとブレーキに不安を持たれる方もいるのではないか。eKクロスのブレーキも、高性能なヨーロッパ車を見慣れた目からするとずいぶんときゃしゃで、頼りなさそうに思える。
「これもコーナリングと同じで、別になにか問題が起きたわけではないんですが、乗る前にあのブレーキを見ているから、少し控えめにいきました。あんまり使いすぎるとフェードするんじゃないかと心配だったもので。でも、実際にはフェードもしなかったんですけどね」

 
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