第582回:スムーズでエレガントな走りを目指す!
アウディが女性限定のドライビングレッスンを初開催
2019.08.09
エディターから一言
拡大 |
アウディが女性限定のドライビングレッスン「Audi women's driving experience」を初開催。女性オーナーの比率が高いというアウディブランドならではの試みだ。千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイで行われたレッスンの様子をリポートする。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
女性ドライバーに特化したプログラム
梅雨明け前の7月下旬。数日前の天気予報で台風5号が発生し、取材日に関東に上陸するとの予報が出ていた。雨男で名高いAカメラマンに撮影をお願いしてしまったことを後悔していた私だったが、取材当日はまさかの晴天! 千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイに到着すると、レッスンを受ける女性たちが集合しはじめていた。きっと皆、すてきな晴れ女子なのだろう。
アウディは1983年から一般向けのセーフティードライビングレッスン「Audi driving experience(アウディドライビングエクスペリエンス)」をドイツ本社で開催している。日本では2001年にスタートしており、これまでに延べ3000人が体験しているという。
そして今年、日本で初めて女性ドライバーに特化したドライビングプログラム「Audi women's driving experience(アウディウーマンズドライビングエクスペリエンス)」を開催するということで、プレス向けの取材枠が設けられた。
このドライビングレッスンはペーパードライバーから日常運転している人まで、運転経験やドライビングの得手不得手を問わず、普通自動車免許を持っている女性なら誰でも参加できる。ドライビングレッスンと聞くと難しいドライビングテクニックを学ぶようなイメージを持ってしまうかもしれないが、このレッスンは、正しい運転姿勢からスムーズなドライビング操作までをゆっくり学べるプログラムになっている。レッスンは3人一組で、アウディ公認のインストラクターが1人つく。運転する時は必ず同乗してくれるので、初心者でも安心してレッスンを受けられる。
プログラムの説明が終わり、早速レッスンスタート。まずはドライビングの基礎となる「ドライビングポジション」と「ステアリングワーク」を学ぶ。
スムーズな操作はシートポジションから
はじめは基本的なシートポジションを確認する。
まずエンジンをかけ、ブレーキをしっかり踏みこめるところへとシート位置を調整する。アウディが推奨するシートポジションは、操作しやすく見切りのいい視線にするため、天井から縦のこぶしひとつくらいヘッドクリアランスを取ったところにシートの高さを合わせる。ステアリングは、手をステアリングの「9時3時」の位置において、肘が90度から100度くらいに曲がるように調節し、背中がしっかりつくようシートバックも合わせる。
「たまに、前をのぞき込むような姿勢で運転しているドライバーを見かけますが、背中がシートについていないとクルマの挙動を感じ取れないので、必ず背中と手が押し合えるような状態にすること」とインストラクターからのアドバイス。説明のあと、一人ひとりその人の正しいシートポジションを確認してくれた。私はお世辞にも正しいとはいえないシートポジションで運転していたことを、深く反省しました。
また、シートベルトのしめ方については、「肩あたりから右手でストラップを取るのが大変な時は、ベルトの(根)元の方を取って引き出し、タングプレートを左手に持ち替えて、引っ張りながらバックルに差し込む。緩んだ腰ストラップを戻してしっかり固定させるとエレガントなシートベルトの着け方になりますよ」と女性限定レッスンならでの作法も教えてくれた。
続けてステアリングワーク。インストラクターが同乗し、パイロンでできたコースをゆっくり運転しながら操作を学ぶ。スムーズにハンドルを切るための手の持ち替え方や、操作のタイミングをわかりやすく教えてくれる。もうひとつ重要なのが目線で、先のパイロンを見ることで次の操作に備えることができるのだ。久しぶりに運転したという方などは、最初はハンドル操作が遅くてそのつど切り足していたけれど、目線を意識することでスムーズな走りができるようになっていた。
運転のプロにアドバイスをもらえる貴重な機会
次のプログラムは、加速、減速、コーナリングを学ぶ「スムーズドライビング」。サーキットを走るということで、緊張で不安そうにしている参加者もいたが、このプログラムは速く走ることが目的ではなく、スムーズに走れるようになることを目指すもの。先のステアリングワークで学んだことを、コースで実践するのだ。もちろんインストラクターが同乗し、その都度アドバイスをしてくれる。
スムーズに走るコツとして、ステアリングワークの時にも言われた、先を見ることの重要性が詳しく説明された。スピードが速くなればなるほど、速い判断と操作を求められるからだ。まずは、インストラクターの運転で設置されたパイロンの間をすり抜けながらコースの確認。途中、悪い例として急ハンドル、急なアクセルオン/オフを体験させられた。前後左右に体が大きく揺れて怖いのと同時に、酔ってしまいそうになる。次いで、同乗者に不快感を与えないスムーズな操作のお手本を確認したあと、自分の運転でコースを走る。
「今の操作とてもスムーズにできてましたね。上手です!」
「今度はゆっくりハンドルを戻してみましょう」
「アクセルオフが自然で今のいいですよ~」
アウディ公認のインストラクターは、参加者の操作の癖をすぐ見つけ、具体的な操作をわかりやすくアドバイスしてくれる。途中のスラロームや直線では、一定速度をキープしながら走るなどの課題も与えられていたが、回数を重ねるごとに自然に緊張がなくなり、スムーズなドライビングに近づくことができた。
最後にインストラクターから「アクセルのオン/オフをいつしたのかわからないように、ハンドリング操作もいつ切ったかわからないように、優しい操作を心がけることで加速、減速、コーナリングの動作がつながり、スムーズでエレガントな走りになる。日々の運転でも意識してみてください」とアドバイスされた。
サーキットで自分のハンドリングをインストラクターに指導してもらえる機会なんてほぼないし、後席に同乗して他の参加者さんの運転も見られるので、いろんなアドバイスが聞けてとても参考になった。
誰にでも起こりうるからこそ体験してほしい
次は「アクティブセーフティー」のプログラム。いざというときの対処方法である緊急ブレーキと障害物回避を体験する。一定速度に加速してからフルブレーキをするだけなのだが、これが思ったより難しいし怖い。
フルブレーキするとABS(アンチロックブレーキシステム)が作動し、足がガガガッと強く突き上げられる。初めての時はこれに驚いて、ブレーキを緩めてしまったことを覚えている。十分加速する前にブレーキを踏んでしまう体験者もいたが、しっかりブレーキを踏み込めていればOK。「自分の操作とクルマの性能を感じることが大切です」とインストラクターは優しくアドバイスしてくれる。
続いて、フルブレーキからの障害物回避。思いっきりブレーキを踏んだまま、ハンドルを切り障害物を回避して停止する。急に何かが飛び出してきたりした場合を想定した実践的なレッスンだ。右と左に回避する場合を両方試したあと、ちょっとしたテストが待っていた。障害物を回避する方向を伝えられないままスタートし、ブレーキをかける寸前に「右!」「左!」と伝えられるのだ。なかなかスリリングな体験だったが、実際にこんな操作が必要となる場面を想像すると、恐ろしくなる。こうした体験の重要さを感じつつ、同時に「この経験を生かすような場面に出くわしませんように」とも思ってしまった。
また、この障害物回避を試してみて、あらためて正しいシートポジションがとても重要だと実感した。ブレーキを踏み込むと体が前に押し出され、手がステアリングを押すかたちになるのだが、その時腕が突っ張っていると的確なハンドル操作ができないのだ。フルブレーキは一般道では試すことはできないので、体験できる機会があればチャレンジしてほしい。自分も体験して学ぶことが多かった。
ちなみに、アウディのこのレッスンでは、もし不安を感じたらそのプログラムは棄権してもOK。「できるまでやらされる」なんてことももちろんないので、安心してください。
そして最後にお楽しみアトラクションとして用意されていたのは、タイムトライアルだ。といっても他人と競うのではない。インストラクター同乗でサーキットを2回走って、1周目と2周目のタイムの差を競うというもの。タイム差が小さいほうが上位となる。
この日学んだスムーズな操作を思い出し、まずは楽しく走る。2周目は1周目と同じペースで走るように意識することがこれからの運転にも役立つのだという。
たくさんの女性に運転する楽しさを
参加者が思い思いに最後のアトラクションを楽しみ、約3時間半のレッスンが終了。休憩を挟んで、タイムトライアルの表彰式が行われた。
タイム計測の結果は……
1位は0.11秒差!
2位は0.55秒差!
3位は0.65秒差!
す、すごい。
受賞した方々は、「久しぶりに運転したのに信じられない」「自分の運転に自信がもてました。これからも運転を楽しみたい」「これまで運転が下手だとまわりの人に言われてきたのですが、もうそんなことは言わせません!」と喜びのコメント。これはプロでもなかなか出せないタイムだと、インストラクターも驚いていた。
また、同じ組で参加した方に感想を聞いたところ、「運転するのが久しぶりだったので、ついていけるか心配だったけど、インストラクターさんがとても丁寧に前向きなアドバイスをくれるので少しずつ自信がついていった。中でもフルブレーキは怖かった。でもこんな機会は二度とないなと思ったのでチャレンジしてよかった。貴重な体験ができたことで、少し勇気をもらいました。久しぶりに運転してみようかな」と話していた。
初めての開催となった女性限定のドライビングレッスンは、15人の定員のところ約80人の応募があったようで、アウディの女性ドライバーの意識の高さがうかがえる。アウディは来年以降もこのレッスンを継続する予定とのこと。たくさんの女性の方に運転する楽しさを知ってもらえたらうれしいと参加者にメッセージを送った。
運転には慣れ親しんでいる私も、意識しないと操作が雑になりがち。このレッスンでドライビングの基本を確認できたので、これからはスムーズでエレガントな運転を心がけたいと思う。
アウディのドライビングレッスンはアウディオーナー以外でも参加できるので興味のある方は試してみてはいかがでしょうか。
(文=渡辺 忍/写真=荒川正幸)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

渡邉 忍
-
第861回:冬道性能やいかに ミシュランのオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」を北の大地で試す 2026.2.18 2025年9月に日本ミシュランタイヤが発表した最新のオールシーズンタイヤ「クロスクライメート3」と「クロスクライメート3スポーツ」の冬道性能を確かめるために、北海道に飛んだ。ドライやウエット路面に続き、ウインターシーンでの印象を報告する。
-
第860回:ブリヂストンの設計基盤技術「エンライトン」を用いて進化 SUV向けタイヤ「アレンザLX200」を試す 2026.2.13 ブリヂストンのプレミアムSUV向けコンフォートタイヤ「アレンザLX100」の後継となるのが、2026年2月に発売された「アレンザLX200」。「エンライトン」と呼ばれる新たな設計基盤技術を用いて開発された最新タイヤの特徴を報告する。
-
第859回:トーヨーのSUV向け冬タイヤを北海道で試す! アナタのベストマッチはどれ?
2026.2.10 トーヨータイヤが擁するSUV向けの冬タイヤに、北海道で試乗! スタンダードなスタッドレスタイヤから「スノーフレークマーク」付きのオールテレインタイヤまで、個性豊かな4商品の実力に触れた。アナタのクルマにマッチする商品が、きっとある? -
第858回:レースの技術を市販車に! 日産が「オーラNISMO RSコンセプト」で見せた本気 2026.1.15 日産が「東京オートサロン2026」で発表した「オーラNISMO RSコンセプト」。このクルマはただのコンセプトカーではなく、実際のレースで得た技術を市販車にフィードバックするための“検証車”だった! 新しい挑戦に込めた気概を、NISMOの開発責任者が語る。
-
第857回:ドイツの自動車業界は大丈夫? エンジニア多田哲哉が、現地再訪で大いにショックを受けたこと 2026.1.14 かつてトヨタの技術者としてさまざまな車両を開発してきた多田哲哉さん。現役時代の思い出が詰まったドイツに再び足を運んでみると、そこには予想もしなかった変化が……。自動車先進国の今をリポートする。
-
NEW
ボルボEX30クロスカントリー ウルトラ ツインモーター パフォーマンス(4WD)【試乗記】
2026.2.24試乗記ボルボの電気自動車「EX30クロスカントリー」に冬の新潟・妙高高原で試乗。アウトドアテイストが盛り込まれたエクステリアデザインとツインモーターからなる四輪駆動パワートレイン、そして引き上げられた車高が織りなす走りを報告する。 -
NEW
エンジニアが「車検・点検時に注意すべき」と思う点は?
2026.2.24あの多田哲哉のクルマQ&Aすっかりディーラー任せにしている車検・点検について、ユーザーが自ら意識し、注視しておくべきチェックポイントはあるだろうか? 長年トヨタで車両開発を取りまとめてきた多田哲哉さんに意見を聞いた。 -
BYDシーライオン6(FF)【試乗記】
2026.2.23試乗記「BYDシーライオン6」は満タン・満充電からの航続可能距離が1200kmにも達するというプラグインハイブリッド車だ。そして国内に導入されるBYD車の例に漏れず、装備が山盛りでありながら圧倒的な安さを誇る。300km余りのドライブで燃費性能等をチェックした。 -
いつの間にやら多種多様! 「トヨタGRヤリス」のベストバイはどれだ?
2026.2.23デイリーコラム2020年のデビュー以来、改良が重ねられてきたトヨタの高性能ハッチバック「GRヤリス」。気がつけば、限定車を含めずいぶんと選択肢が増えている!? 現時点でのベストバイは一体どれなのか、工藤貴宏が指南する。 -
アルファ・ロメオ・トナーレ ハイブリッド インテンサ(FF/7AT)【試乗記】
2026.2.22試乗記2025年の大幅改良に、新バリエーション「インテンサ」の設定と、ここにきてさまざまな話題が飛び交っている「アルファ・ロメオ・トナーレ」。ブランドの中軸を担うコンパクトSUVの、今時点の実力とは? 定番の1.5リッターマイルドハイブリッド車で確かめた。 -
アルピーヌA110 R70(前編)
2026.2.22ミスター・スバル 辰己英治の目利き新生アルピーヌを9年にわたり支えてきたミドシップスポーツカー「A110」。そのスパルタン仕様である「R70」に、辰己英治氏が試乗。スバルやSTIでクルマを鍛えてきた彼の目に、間もなく終売となる希代のフレンチスポーツはどのように映るのだろう?




















































