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第584回:“オフロード感”を高めた新タイヤ
ヨコハマの「GEOLANDAR X-AT」でオフロードを走る

2019.08.11 エディターから一言 生方 聡
2019年7月23日に発表(発売は9月)された「ヨコハマGEOLANDAR X-AT」。オンロードでの快適性を求めながら、オフロードチューニングやドレスアップを楽しむユーザーに向けたとされる新タイヤだ。
2019年7月23日に発表(発売は9月)された「ヨコハマGEOLANDAR X-AT」。オンロードでの快適性を求めながら、オフロードチューニングやドレスアップを楽しむユーザーに向けたとされる新タイヤだ。拡大

ヨコハマのSUV向けタイヤ「GEOLANDAR(ジオランダー)」シリーズに、新たに「X-AT」がラインナップされた。マッドテレインとオールテレインとの中間に位置付けられるという、“オフロード感”を高めた新タイヤの実力とは!?

トレッド面には新開発をうたうアグレッシブブロックパターンを採用。ショルダー部には2つの、センター部には4つのそれぞれ異なる形状のブロックを配することで“オフロード感”を高めている。
トレッド面には新開発をうたうアグレッシブブロックパターンを採用。ショルダー部には2つの、センター部には4つのそれぞれ異なる形状のブロックを配することで“オフロード感”を高めている。拡大
サイド部分は表裏でそれぞれ違うデザインを採用。写真は「ラグタイプデザイン」と呼ばれる面。
サイド部分は表裏でそれぞれ違うデザインを採用。写真は「ラグタイプデザイン」と呼ばれる面。拡大
こちらは「大型ブロックデザイン」と呼ばれる面。回転方向指定がないため、タイヤ1本ごとに好みの面を外側(表側)にして履くことができる。
こちらは「大型ブロックデザイン」と呼ばれる面。回転方向指定がないため、タイヤ1本ごとに好みの面を外側(表側)にして履くことができる。拡大

“ホビータイヤ”って何?

クルマを走らせるのになくてはならないアイテムといえば、真っ先に思い浮かぶのがタイヤである。必要不可欠なパーツであるばかりか、走りそのものを大きく左右するだけに、どれを選んだらよいか、いつも迷ってしまう。しかも、タイヤは消耗品だから、同じクルマに乗り続ければ、タイヤ交換がつきまとい、それにまつわる出費は、正直なところあまりうれしくない。

しかし、タイヤの中には、積極的に買い替えたいと思うものもある。それが、ヨコハマタイヤが“ホビータイヤ”と呼ぶ商品群だ。一般的なサマータイヤやウインタータイヤに対して、ホビータイヤには、サーキット走行用の競技用タイヤをはじめ、スポーツカー向けのハイパフォーマンスタイヤやヒストリックカー向けに当時のデザインを復刻したクラシックタイヤ、そして、クロスカントリー車のドレスアップに適したSUVタイヤがある。

一般向けのサマータイヤやウインタータイヤに比べたら販売量は少ないが、私を含めて、クルマが趣味という人にとっては、この部分の商品の充実はうれしいし、ブランドのファンを増やすという意味でも重要だと思う。そのあたりはヨコハマタイヤもよく理解していて、「GD2020」と呼ばれる成長戦略のひとつとして「ホビータイヤ戦略」を掲げているのだ。

ワイルドな見た目と快適さを両立

そんなホビータイヤの中から、今回試乗したのが、オフロードタイヤのGEOLANDAR X-ATだ。このところ日本でも販売台数が伸びているSUV。その多くは乗用車ベースのクロスオーバータイプだが、フレーム付きのクロスカントリーSUVやピックアップトラックの販売も増えているという。後者のなかにはオフロード性の高さを前面に押し出してカスタマイズを楽しむユーザーが少なくない。ただ、実際にオフロードを走行することはあまりなく、見た目重視のドレスアップがメイン。そうなると、オフロード性能や見た目に加えて、オンロードでの快適性が重要になってくる。

そんなわがままに対応するのがこのX-ATで、オフロード性能を重視したマッドテレインタイヤの「M/T G003」と、オンロード志向の「A/T G015」の“いいとこどり”の製品だという。

それはデザインによく表れており、乗用車用のサマータイヤを見慣れている者にとってはかなりゴツイ。トレッドパターンがアグレッシブなうえ、サイドのブロックデザインもとても力強い。しかも、このX-ATでは1本のタイヤに“大型ブロックタイプ”と“ラグタイプ”の2種類のデザインを採用。自分のクルマや好みにあうデザインをアウト側にすることで、個性をアピールできるというのだ。どちらのパターンを外側にしても、走りには影響しないそうで、この一見無駄な性能も、ホビータイヤとして見ればうれしい遊び心といえる。

「GEOLANDAR X-AT」を履いた「フォードF-150ラプター」でオンロード性能をテスト。
「GEOLANDAR X-AT」を履いた「フォードF-150ラプター」でオンロード性能をテスト。拡大
ゴツいトレッドパターンの割にはロードノイズが低めで、乗り心地も悪くなかった。
ゴツいトレッドパターンの割にはロードノイズが低めで、乗り心地も悪くなかった。拡大
3種並んだ「ヨコハマGEOLANDAR」シリーズ。最新の「X-AT」(写真中央)は、マッドテレインタイヤ「M/T G003」(同左)とオールテレインタイヤ「A/T G015」(同右)の中間に位置付けられるタイヤだ。
3種並んだ「ヨコハマGEOLANDAR」シリーズ。最新の「X-AT」(写真中央)は、マッドテレインタイヤ「M/T G003」(同左)とオールテレインタイヤ「A/T G015」(同右)の中間に位置付けられるタイヤだ。拡大

しっかり走り、意外に快適

これだけゴツいデザインだと、オンロードの快適さが心配になるが、実際に舗装路を試乗した印象は、意外にロードノイズが低めで、乗り心地もスムーズだった。もちろん、オンロード専用タイヤやオンロード重視のタイプに比べればザラついた感触はあるが、ふだん使いでも十分に許容できるレベルの仕上がりである。

一方、オフロード性能は見た目どおりというか、期待どおり。この日は、かつて「浅間火山レース」が行われた浅間サーキット(浅間高原自動車テストコース)の跡地で、クロスカントリー車やピックアップトラックを走らせたが、雨上がりということもあって、コースの大部分はぬかるんでおり、ところどころに水たまりもある絶好の(!?)コンディション。しかし、X-ATを履いた“ヨンク”たちは、自分が思った以上にしっかりと路面を捉え、コーナーではオーバーランすることはなかったし、急な登り斜面でもほとんどタイヤを空転させることなく、グイグイと前に進んでいった。

正直、オフロード走行に慣れているわけではないので、クルマを振り回すまではいかなかったが、普通に運転しているかぎりは、安心してステアリングを握っていられたのは確か。押しの強いデザインに加えて、オフロードの確かな走破性とオンロードの快適性を両立したX-ATは、ふだんの走りを犠牲にせずにドレスアップを楽しみたい人にはぴったりのタイヤといえそうだ。

(文=生方 聡/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)

日本未導入のトヨタのピックアップ「タンドラ」でオフロードコースへ。雨上がりでコースのところどころに水たまりができていたが、問題なく走破できた。
日本未導入のトヨタのピックアップ「タンドラ」でオフロードコースへ。雨上がりでコースのところどころに水たまりができていたが、問題なく走破できた。拡大
「トヨタ・ランドクルーザープラド」で急勾配をのぼる。左右にも傾斜のあるキツいコース設定だったが、こちらもあっけなくのぼりきることができた。
「トヨタ・ランドクルーザープラド」で急勾配をのぼる。左右にも傾斜のあるキツいコース設定だったが、こちらもあっけなくのぼりきることができた。拡大
「GEOLANDAR X-AT」は押しの強いデザインでドレスアップ需要に応えるだけでなく、オンロードの快適性とオフロードの走破性を両立した頼れるタイヤだった。
「GEOLANDAR X-AT」は押しの強いデザインでドレスアップ需要に応えるだけでなく、オンロードの快適性とオフロードの走破性を両立した頼れるタイヤだった。拡大
生方 聡

生方 聡

モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースレポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。

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