結局、何が、どう変わる?
“CASE時代”のカーライフ
2019.08.23
デイリーコラム
これは非現実的な夢なのか
「完全自動運転のクルマなんて、僕が生きているうちは、できないと思いますよ」
日本自動車ジャーナリスト協会の会長を務める菰田 潔さんは、そう壇上で言い切った。2019年8月21日、東京・品川で開催されたセミナー「―CASE時代― どう変わる? 日本のカーライフ」でのひとこまだ。
“CASE”とは、2016年に独ダイムラーが発表した、中・長期戦略のキーワード。Connected(つながるクルマ)、Autonomous(自動運転)、Shared & Service(カーシェアリング)、Electric(電動化)の頭文字を取った造語である。自動車業界で100年に一度といわれる変革期、そのCASEという言葉に示される流れをあらためて考えてみましょう、というのがセミナーの趣旨である。
主催は、カーケミカルのメーカーであるイチネンケミカルズ。「クリンビュー」や「ノータッチ」、「イオンコート」を手がける……と言えば、「あぁ!」と思い出すクルマ好きも多いかもしれない。
クリンビューの会社にしてはテーマが堅すぎないか? という議論はおくとして、冒頭の自動運転(CASEの2番目)だ。これまで自動車開発の最前線に立ち会ってきた菰田さんの見立てでは、「新型車に搭載されているカメラやセンサーは信号や車線、道路標識を認識できる」し、「こうした“完全自動運転に至る途中の技術”を使ってADAS(先進運転支援システム)も普及している」が、「自ら運転してゴルフ場に行き、帰りは一杯やって自動運転で帰ってくるなんてことは、到底できそうにない」。
では、いつになったらできそうでしょうか?
「うーん、30年は必要なんじゃないですか。実際にエンジニアと話していても、『完全自動運転で走れるのは、高速道路のETCゲート間がいいところ。(一般道などで)路上に人間が入ってくると、不確定要素が増えすぎるので非常に難しくなる』と言っている。完全自動運転って、やっぱり無理なんじゃないかな」
もしこれが可能になれば、あるいは、高齢ドライバーによる事故や免許返納の問題も解決に向かうかもしれない。
「でも、そんなクルマができたとして、(極めて高価になるだろうから)どれだけの人が購入できるのか……という懸念もありますね」
完全自動運転実現へのひとつのステップとされるオリンピックイヤーを前に夢をぶち壊すようだが、本音で言えばその道のりは遠く、ゴールがあるのかもわからない、というのが現状だろう。
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