第625回:マイナー姉妹車好きを公言する大矢アキオ
「フィアット500」の地味(?)な妹を大いに語る
2019.10.11
マッキナ あらモーダ!
姉妹車ファンなんです
姉妹車が好きである。それも2台のうちマイナーなほうに好意を抱く。例えば「トヨタ・カムリ」のダイハツ版である「アルティス」だ。そうしたクルマを知るたび、カロッツェリアのフォーリ・セーリエ(特注車)を発見したのに匹敵するくらい好奇心が満たされる。ついでにそうしたモデルがほそぼそと生産されているのを確認するたび、理由もなく安心するのである。
筆者のそうした嗜好(しこう)の萌芽(ほうが)は、東京における少年時代である。具体的には1971年のダイハツの商用車「デルタ750」だ。日本で今日でもヒストリックカーショーに姿を現す初代「トヨタ・ライトエース」の姉妹車である。
実際の生産はダイハツが担当していたので、ライトエースのほうがデルタ750のOEM版であるといったほうが正しいかもしれないが、販売力の差で、街で見かける頻度は圧倒的にライトエースのほうが高かった。
しかし、『自動車ガイドブック』を愛読書にしていた筆者としては、より数が少ないデルタ750を目撃するほうが貴重だった。
テレビCMもダイハツ版のほうがよかった。当時人気絶頂の女性アイドルグループ、ゴールデン・ハーフを起用していたのだ。後年知ったのだが、車名の数字部分で積載量を示す「750」は「セブンハーフ」と読み、それにかけたものだった。CMソングは車両発表の前年に大ヒットした『黄色いさくらんぼ』の替え歌だった。こうしたこともあって筆者は、ライトエースよりもデルタ750により好意を抱いたのである。
今回は、イタリアにおける、ある姉妹車の話をしよう。「ブランドごとにオリジナリティーあふれるイタリア車に姉妹車なんてないだろう」という読者もおられるかもしれないが、実は1960年代にこんな例があったのだ。

大矢 アキオ
コラムニスト/イタリア文化コメンテーター。音大でヴァイオリンを専攻、大学院で芸術学を修める。1996年からシエナ在住。日本を代表するイタリア文化コメンテーターとして語学テキストやデザイン誌等に執筆活動を展開。20年にわたるNHK『ラジオ深夜便』リポーター、FM横浜『ザ・モーターウィークリー』季節ゲストなど、ラジオでも怪気炎をあげている。『Hotするイタリア』、『イタリア発シアワセの秘密 ― 笑って! 愛して! トスカーナの平日』(ともに二玄社)、『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(光人社)、『メトロとトランでパリめぐり】(コスミック出版)など著書・訳書多数。YouTube『大矢アキオのイタリアチャンネル』ではイタリアならではの面白ご当地産品を紹介中。
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