トヨタ・コペンGRスポーツ(FF/CVT)/ダイハツ・コペンGRスポーツ(FF/5MT)
スキのない遊びグルマ 2019.11.25 試乗記 「コペンGRスポーツ」は、トヨタのGAZOO Racingカンパニーとダイハツがタッグを組んで仕立てたスポーツカーだ。その出来栄えを試すべく、特設コースに乗り込んでステアリングを一発切ったリポーターは、思わず笑みをこぼしたのだった。「コペン」のベース市場を拡大したい
最初はまったくピンとこなかったが、トヨタらしい強引な力業で、いつしか直系スポーツブランドとして世界的に認知させることに成功したGRである。GRはWRCやWEC、ダカールラリーなどのモータースポーツ頂点カテゴリーでも使われるが、われわれに身近なのは「アクア」や「ヴィッツ」から「ヴォクシー/ノア」にまで設定されるスポーツモデル「GRスポーツ」だろう。GRスポーツはいくつかのレベルがあるGR銘柄の市販車でも、価格がもっとも手頃で、非限定商品であることが特徴だ。
そんなトヨタ謹製ブランドを、初めて他社製品(ダイハツは完全子会社だけど)に冠したのがコペンGRスポーツだ。ダイハツとトヨタのダブルネーム商品となるが、開発の実作業はあくまでダイハツの手によるもので、トヨタ側のGRカンパニーは企画段階から味つけにいたるまで意見を出して、一部に独自の知見を提供する役割を果たしたという。
今回の試乗会に出席したダイハツ技術開発部門トップの南出洋志さんは「『コペン』のベース市場を拡大したい」と語った。コペンには有名ブランドパーツで要所を固めた「S」がすでにあるので、それ以上……となると、たとえばNISMOやSTIといったモータースポーツ的な世界観を与えるのがテッパンである。
ただ、公式なモータースポーツ活動をおこなっていない今のダイハツには、それに好適なブランドがない。いっぽうのトヨタ=GRの商品群でいうと「スープラ」や「86」よりもハードルの低い小型スポーツカーはあるに越したことはない。軽自動車のGRなんて今の時代いかにも売れそうだし、それをダイハツがつくってくれたら都合がいい……というわけで、コペンGRスポーツである。
ただ、コペンはダイハツの精神的フラッグシップであり、マニア間には「スポーツカーは自前でやるべし」なる原理主義的な声が根強いのも事実。しかし、こういう思いつき企画を“善は急げ”とスパッと実現してしまうノリの良さは、素直に最近のトヨタの美点と思う。
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