第208回:DMC-12は本当に名車だったのか
『ジョン・デロリアン』

2019.12.05 読んでますカー、観てますカー

天才か、詐欺師か

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が公開されたのは1985年。タイムマシンとして使われたのがデロリアン・モーター・カンパニーの「DMC-12」だった。ガルウイングドアを持つシルバーのボディーは未来感にあふれていたが、実際にはこのクルマは3年前に生産を終了していた。会社自体がなくなってしまったからである。

『ジョン・デロリアン』には、DMC-12がほとんど登場しない。映画の舞台となっているのは、多くが彼の自宅と法廷である。クルマではなく、このプロジェクトを主導したジョン・デロリアンという人物に焦点を当てているのだ。彼はGMの副社長という要職を投げ捨て、独立して理想のクルマを開発しようとした。一種の天才であり、アメリカ人好みのヒーローである。しかし、希代の詐欺師、悪党という評価も根強い。まったく逆の評価が共存しているのだ。この映画は、どちらが正しいかを断定することはない。

ジム・ホフマン(ジェイソン・サダイキス)がガレージで「ポンティアックGTO」を修理していると、長身の銀髪イケメンが現れる。彼はエンジンルームをのぞき込むとすぐに不調の原因を突き止めて直してしまった。向かいの家に住んでいるこの男こそ、GTOを開発した張本人のジョン・デロリアン(リー・ペイス)だったのだ。気さくな人柄とエレガントな身のこなしに魅了されたジムは、ジョンと交流を深めていく。

© Driven Film Productions 2018
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鈴木 真人

鈴木 真人

名古屋出身。女性誌編集者、自動車雑誌『NAVI』の編集長を経て、現在はフリーライターとして活躍中。初めて買ったクルマが「アルファ・ロメオ1600ジュニア」で、以後「ホンダS600」、「ダフ44」などを乗り継ぎ、新車購入経験はなし。好きな小説家は、ドストエフスキー、埴谷雄高。好きな映画監督は、タルコフスキー、小津安二郎。

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