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第169回:「僕のはまっすぐ走りました」

2020.03.31 カーマニア人間国宝への道

「348」まっすぐ走らない問題

「フェラーリ348」はまっすぐ走らないというのは、自分の愛車を含め、数台(昔のことにつき記憶が曖昧)の348に乗った末の結論だった。

が、今ごろになってエノテン(コーナーストーンズ代表・榎本 修氏)が、「後期型はまっすぐ走ります!」と猛抗議してきた。

では、若きフェラーリオーナー、タカフミが乗っていた348は、まっすぐ走ったのか?

清水:キミのは何年式だったっけ。

タカフミ:92年式の「348tb」、走行3万6500kmでした。1年ちょっと前に手放してしまいましたが。

清水:で、まっすぐ走ったの?

タカフミ:まっすぐ走りました! 348がまっすぐ走らないなんてちゃんちゃらおかしいですよ~。買ったとき、タイヤは新品の「ポテンザRE050」が付いてました。あんな高性能タイヤを履いて、まっすぐ走らないわけがないじゃないですか。

なななな、なにを言っているんだこの若造は。348の欠陥は、新品の高性能タイヤでなんとかなるような生易しいもんじゃない!

私だって当時のブリヂストンのフラッグシップタイヤ「エクスペディアS-01」やら「ポテンザRE711」やら、多くの高性能タイヤを奢(おご)ってきたんだ! 最初の「ピレリPゼロ」からエクスペディアにしたときは劇的に改善されたと思ったけど、それで生来の病が根治できるはずはなく、対症療法に過ぎなかったんだあぁぁぁ!

タカフミ:高速道路では缶コーヒーを片手に、鼻歌交じりでドライブをしていました。ただしサーキット速度領域になると、ステアリングインフォメーションが極端に少なくなりました。清水さんはこれを指して、まっすぐ走らないと評されていたんじゃないですか?

ふざけんなコノヤロー! 知った風な口ききやがって~~~~~~!

20代の若きフェラーリオーナー、タカフミ氏の92年式「フェラーリ348tb」。
20代の若きフェラーリオーナー、タカフミ氏の92年式「フェラーリ348tb」。拡大
タカフミ氏と筆者。(写真=池之平昌信)
タカフミ氏と筆者。(写真=池之平昌信)拡大
中古フェラーリ専門店コーナーストーンズの“エノテン”こと榎本 修代表。
中古フェラーリ専門店コーナーストーンズの“エノテン”こと榎本 修代表。拡大
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まさに臨死体験!

いや、怒っても仕方ない。348の恐怖は、実体験した者にしかわからないのだから。私や池沢早人師先生の348に乗ったことがない者には、「まっすぐ走らない」という意味からして、理解できないだろう。

「それって、直線でフラつくってことでしょ?」

多くの皆さまは、そう考えることだろう。ちょっとフラつく程度で何をそんなにビビッってんのかしら。男ならどーんと構えて、それくらい笑って許しなさいよ! そんな細かいことばっかり言ってるからモテないのよカーマニアは。や~ね。たぶんその程度の認識だろう。

がしかし、348の「まっすぐ走らない」は、そんな生易しいものではない。池沢早人師先生をして、「車線が勝手に変わっちゃったよ」と言わしめたほどなのだから。

具体的には、路面に少しでも凹凸があると、そっちの方向(どっちだか不明)に一瞬でグワッとハンドルが持っていかれ、実際そっちへ飛んでってしまうのだ。だから勝手に車線が変わってしまうのである。

私は勝手に車線が変わったことはないが、それは恐怖のあまりハンドルをガシッと握り締め、いつ襲ってくるかわからない激烈なステアリングキックバックに備えていたからだ。ガシッと握り締めていると、突然「ドカーン!」という爆発的なキックバックをお見舞いされ、親指が折れそうになる。しかしそれに耐えてステアリングを保持していないと死ぬ! まさに臨死体験!

それくらい恐ろしいクルマだったのだ。それが大好きだったんですけど。

例えば「ランクル80」とか2代目「ジープ・ラングラー」なども、4輪リジッドサスなので高速道路でフラつくが、それはあくまでゆっくりした穏やか~なフラつきであって、348の、一瞬で隣の車線に持っていかれるようなフラつきとは爆発力が違う。しかも、それがいつ襲ってくるかわからないのだから、まるで地雷!

筆者のかつての愛車「348tb」。
筆者のかつての愛車「348tb」。拡大
池沢早人師先生の「348tb」は車線が勝手に変わってしまうほどまっすぐ走らなかったという。
池沢早人師先生の「348tb」は車線が勝手に変わってしまうほどまっすぐ走らなかったという。拡大
「トヨタ・ランドクルーザー」(80系)。
「トヨタ・ランドクルーザー」(80系)。拡大

エノテンからの挑戦状

しかし、この若造がこんな寝言を平気で言うってことは、348の真の恐ろしさを知らないのだろう……。

知らないってことはつまり、そうならないってこと? ひょっとして、ホントにまっすぐ走ったってことかしら!?

池沢先生の348は89年式、私の348は90年式だった。90年式でも、89年式よりはかなりマシだった記憶がある。

そして92年式は、本当のホントに「缶コーヒー片手に鼻歌交じりでドライブできた」のだろうか!? まさか……。

そんなとき、エノテンから連絡が入った。

エノテン:極上モノの「348GTS」が入庫しました。94年式、走行わずか1万7000kmのワンオーナー車です。ナンバーも付きましたから、ぜひ試乗してみてくださいウフフ~!

なんと、そんな348が現存していたのか!

348は恵まれないフェラーリ。価格が激しく下落したことで、おサイフに余裕のないフェラーリファンに好んで選ばれ、結果、ロクなメンテナンスをしてもらえず、とってもボロくなってしまった個体が多いと聞いているのに、まさに奇跡の一台!

エノテン:清水先生が試乗してですね、もしもまっすぐ走ったら、これまでの348に対する評価について、訂正と謝罪をお願いします!

うおおおお。望むところだ! オレだって、まっすぐ走る348があるなら乗ってみたい! 死ぬまでに体験してみたいと思っていたところだぜ!

(文と写真=清水草一/編集=大沢 遼)

筆者のかつての愛車「348tb」は90年式だった。
筆者のかつての愛車「348tb」は90年式だった。拡大
この度試乗した後期型(94年式)の「348GTS」。
この度試乗した後期型(94年式)の「348GTS」。拡大
後期型の「348GTS」はまっすぐ走るのだろうか?
後期型の「348GTS」はまっすぐ走るのだろうか?拡大
“エノテン”から挑戦状をたたきつけられる形になった筆者。再び臨死体験を味わうのか、訂正と謝罪をのむのか? 乞うご期待!
“エノテン”から挑戦状をたたきつけられる形になった筆者。再び臨死体験を味わうのか、訂正と謝罪をのむのか? 乞うご期待!拡大
清水 草一

清水 草一

お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。

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