2台そろって新世代へ 新型の「フォルクスワーゲン・ゴルフ」と「アウディA3スポーツバック」はどう違う?
2020.03.25 デイリーコラム意外に違うボディーサイズ
2019年10月、独フォルクスワーゲン(VW)は新型「ゴルフ」を発表した。1974年の登場以来8代目となる、世界のコンパクトカーのベンチマークだ。そして、ジュネーブモーターショーが開催されるはずだった今年2020年3月3日、アウディは新型「A3スポーツバック」を発表した。A3は1996年に誕生したモデルで、これで4代目となる。
ゴルフとA3は、先代と同様VWグループの横置きエンジン用モジュラープラットフォーム「MQB」を使う姉妹車だ。大まかに成り立ちの違いを言えば、ゴルフをベーシックバージョンとすれば、A3は上質な装備を備えたプレミアムバージョンであること。そして主たる駆動方式が前者はFFなのに対し、後者はクワトロ(4WD)になることだ。
立て続けに登場した姉妹の違いを解説せよ、というのが編集部のお題だが、いかんせんいずれもまだ日本に上陸していない未見のモデルゆえ、画像やスペック等から分かる範囲のものになる。まず両車に共通するポイントは、高度なデジタル化とコネクテッド機能の強化だ。いまやコンパクトカーであっても上級モデルに匹敵するインフォテインメントシステムや、最新のドライバーアシスタンスシステムなどはマストアイテムといえる。
そして、違いを見るうえで最初に注目すべきはボディーサイズだ。
【ゴルフ】
・全長×全幅×全高=4284×1789×1456mm ホイールベース=2636mm トレッド(F/R)=1549/1520mm
【A3スポーツバック】
・全長×全幅×全高=4343×1816×1449mm ホイールベース=2636mm トレッド(F/R)=1554/1525mm
数字は欧州仕様の代表的なグレードのものだが、A3のほうが59mm長く、27mm幅広く、7mm低い。そしてホイールベースは同寸。トレッド幅は前後ともA3が5mm広くなっている。アウディのほうがより伸びやかでスポーティーなスタイリングを意図していることがわかる。ちなみにラゲッジスペースの容量は、ゴルフが380~1237リッターであるのに対し、A3は380~1200リッターと、数値的にはほぼ変わらない。
ゴルフに初のマイルドハイブリッドを搭載
サスペンション形式は、フロントがマクファーソンストラットであることは両車共通。リアは、ゴルフでは先代モデル同様に2種類用意されており、エンジン出力が150PS以下であればトーションビームに、それ以上の出力、もしくは4MOTION(4WD)であればマルチリンクになる。一方のA3は上級モデルらしく全車マルチリンクになる。ちなみに競合車をみれば、「メルセデス・ベンツAクラス」は、日本導入モデルは主にトーションビームで、AMGの「A35」や「A45」ではマルチリンクに、「BMW 1シリーズ」は全車マルチリンクとなっている。
パワートレインは、ゴルフでは初の48Vマイルドハイブリッド「eTSI」をはじめ、1リッター、または1.5リッターのガソリンエンジン「TSI」、そして2リッターディーゼルエンジンの「TDI」などが用意されている。トランスミッションは6段MTもしくは7段DSG(デュアルクラッチ式AT)だ。3月には、本来であればジュネーブショーでお披露目される予定だったスポーツモデル「GTI」とプラグインハイブリッドモデルの「GTE」、最高出力200PS、最大トルク400N・mのパワフルなディーゼルエンジンを搭載した「GTD」の3モデルが追加発表された。
A3のほうは、最高出力150PSの「1.5 TFSI」ガソリンエンジンと、同116PSと同150PSという出力違いの2種類のディーゼルエンジン「2.0 TDI」の、計3種類のみが発表されている。そして6段MTまたは7段Sトロニック(デュアルクラッチ式AT)を組み合わせる。追ってよりハイパワーな「S3」や、先に発表された「RS Q3」に搭載されている2.5リッター5気筒ターボを搭載する「RS 3」などのデビューが見込まれる。
リサイクル素材の活用でサステイナビリティーをうたうアウディ
ゴルフ、A3ともにどの仕様が国内導入されるかはいまのところ未定だが、48Vマイルドハイブリッドなどの新システムは、まずゴルフが先行してということだろう。
一方でアウディは、企業戦略のひとつとして“サステイナビリティー(持続可能性)”を打ち出しており、近年世界的な問題となっているペットボトルのリサイクル問題に取り組んでいる。新型A3では、シート一脚あたり最大で1.5リッターのペットボトル45本分のリサイクルファブリックが用いられている。これ以外にも、断熱材や吸音材、ラゲッジコンパートメントのサイドパネルトリムやフロアマットなどにも活用され、一台あたり100本以上のリサイクルペットボトルが使用されることになるという。こうしたマーケティング施策はアウディ側の役割といえるだろう。
またアウディにとって今年は、1980年の「アウディ・クワトロ」誕生から40周年ということで、スポーツ4WDの元祖としてのイメージ戦略を打ち出してくることが想定される。
プラットフォームやパワートレイン、そしてインフォテインメントシステムやADASなどのデジタル化に関しては、ますますグループ内で共有化が進んでいくはずだ。大衆ブランドのクルマは白物家電化し、プレミアムブランドのクルマはファッションアイテム化するとしたときに、ブランドの個性をアピールするために重要な役割を担うのは何か。内外装のデザインや質感、そしてヘリテージなどによって築き上げたブランドイメージということになるのだろう。初代ゴルフが世に出てから約50年、今年はゴルフサイズの電気自動車「ID.3」の発売も予定されている。VWグループは大きなターニングポイントを迎えている。
(文=藤野太一/写真=フォルクスワーゲン、アウディ/編集=藤沢 勝)

藤野 太一
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