超高級車ビジネスもどうなることやら……

繰り返しになるが、ハイエンドカスタマーはプライバシーのない、どこでもライブストリーミングされるような公道での“クルマ遊び”を卒業し始めている。メーカー側も、独自のサーキットイベントを開催したり、ドライビングスクールを開いたり、ビンテージカーであってもナンバーの付かないモデルを製造したり、とあの手この手でカスタマーの興味を引き止めようと必死。さらには有力ディーラー(コーンズなど)が安全に性能を楽しむことのできる会員制コース(レースを行わないのでサーキットとは呼ばない)を企画しているというし、海外ではすでに別荘付きプライベートサーキットへの関心も旺盛である。

一方でハイパーカーの限定車ビジネスは今のところはまだ盛り上がっている。けれども多くのブランドから同じような企画が発表され、それがあまりに矢継ぎ早なので、たとえ経済的に余裕があっても「正直、(買い続けることに)疲れてきた」と嘆くハイエンドカスタマーもちらほら出始めている。限定数がたちどころに売り切れてしまうという現象は、フェラーリかよほどの少数生産ブランドでしか起こりえなくなりつつあるのも事実だ。

そもそも1億円以上のハイパーカーを買う層はごくわずか(日本ではせいぜい50人程度ではないだろうか)であり、彼らはどのブランドの限定車も取りあえず買っている。限定車を買えるという事実の背景には、何台ものラインナップモデルの購入(こちらは買って売ってを繰り返す)がある。それらの売買の損失を埋めてあまりある魅力がこれまでの限定車にはあったからだ。

そんな彼らが買い疲れた揚げ句に「もうロードカーなんて要らない、限定車も買わない」と言い始めたら、現在の“限定車バブル”はあやうい。すでに限定ハイパーカーのリセールバリューはひところの勢いを失いつつある。

そんなタイミングでの新型コロナウイルス禍。終息後に“買う気”がV字回復するのか、うせたままになるのか、経済の動向と同様、今はまだ判断できないのだけれど……。

写真の「アストンマーティンDB4GTザガート」は、公道を走ることができない復刻生産モデル。サーキット限定でのドライビングが前提となっている。
写真の「アストンマーティンDB4GTザガート」は、公道を走ることができない復刻生産モデル。サーキット限定でのドライビングが前提となっている。拡大
およそ3億円のプライスタグを付けたランボルギーニのハイパーカー「シアン」は、2019年9月のデビュー時で限定63台が完売。こうしたビジネスは今後も続けられるのだろうか?
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