GTとしての魅力がスーパーカーを救う
言えることはやはりただひとつ。前述したように、高性能車であるかどうかを問わずクルマの性能をピュアに楽しむという行為そのものがもはや公道ではできなくなっていくということ。今までだって、もちろんたいていはイリーガルな行為だったけれども、安全を確かめてこっそり楽しめる寛容さがまだ社会にあった。もはや、そういう時代ではない。
加速ひとつ、爆音ひとつ、試せない、許せない。試したければクローズドな場所へ。結果、トラック専用車やレーシングカーの需要が増していく。すでにクラシックレーシングカーの相場はロードカーのそれを上回る勢いで上昇している。
では運転する以外の楽しみを、何か見つけることができるだろうか? もちろん、ハンドリングのいいクルマなら交差点を曲がっただけでも楽しい。そういう小さな楽しみはまだまだいくつもあるだろう(自動運転にならない限り)。けれども、それだけじゃ高額なスーパーカーなど売れやしない。高級スポーツカー専門ブランドは果たして今、何を考えて新型モデルを開発しているのだろうか?
ひとつの答えが最新の「ポルシェ911」(992型)や「フェラーリF8トリブート」「ランボルギーニ・ウラカンEVO」「マクラーレンGT」といった最新モデルたちにあった。街なかをゆっくりとしたペースで、高速道路ではあくまでも流れに乗って、ワインディングロードなら鼻歌まじりで、クルージングしているときのドライブフィールに、その価格に見合う“上質さ”が感じられたのだ。グランドツーリングカー的な魅力の再発見と再構築、とでも言おうか。これが将来的に内燃機関エンジンを捨てて電動化時代を迎えるスーパーカーの新たな魅力につながっていくものだと感じている。
(文=西川 淳/写真=アストンマーティン、ポルシェ、ベントレー、フェラーリ、マクラーレン・オートモーティブ/編集=関 顕也)
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