第623回:形から入るのがスキルアップの近道だ! webCG記者がeスポーツに初挑戦
2020.07.09 エディターから一言初めてのeスポーツ
webCG編集部にeスポーツがやってきた。ジャンルはもちろんレーシングゲーム、タイトルはPlayStation 4用ソフトの『グランツーリスモSPORT』である。
正直に書くと筆者は『グランツーリスモ スポーツ』をプレイするのは初めて。家庭用のゲーム機は1992年発売の「スーパーファミコン」までしか体験していないので、まずは美麗なグラフィックに面食らう。ほとんど実車というか、録画した映像を見ているかのようだ。運転席視点からプレイしてみると、実車と同じダッシュボードがきちんと表示され、ボタン操作に応じて速度計やエンジン回転計の針も動く。このあたりは最新のゲームであれば当たり前なのかもしれない。
選べるクルマの種類は幅広く、著名なスポーツカーや歴史的名車に加えて、どうやって走行データを取ったのか、モーターショーで見たようなコンセプトカーもそろっている。走らせられるコースもまた多彩で、富士スピードウェイや鈴鹿サーキット、さらには首都高速などもある。ニュルブルクリンクというのも魅力的だ。
先に書いたようにゲームは細かなところまでつくり込まれており、クルマの挙動も実車のようだ。しかしながら筆者の興味は長くは続かず、ひとしきり遊んだ後はコントローラーを放り出し、業務に戻ってしまった。生来の飽きっぽい性格もあるだろう。また、いつになく勤勉さを発揮してしまったということも多少はある。しかし、ゲームを投げ出してしまった理由の第一は、ほかならぬコントローラーにあった。
これが『スーパーマリオブラザーズ』のようなゲームだったら違ったのかもしれないが、何しろ今回動かすのはクルマである。ボタンでチマチマと操作しても、一向に没入できなかったのである。
ハンコンがやってきた
「こんなんじゃ満足にプレイできないぜ!」と偉ぶっていたところ、webCGの調達担当がステアリングホイールとペダル型のコントローラーを用意してくれた。聞けばマウスやキーボードなどでおなじみのロジクールの方にお願いして借りてきてくれたとのこと。ああ、自分は人に支えられて生きていると感じるとともに、傲慢(ごうまん)さを恥じた。
このロジクールのステアリングコントローラー(一般的にハンコンと呼ぶ)「G29」によってプレイ環境が一変した。何しろ慣れ親しんだハンドルとペダルである。頑固と言われてしまえばそれまでだが、ステアリングを右に回せばクルマが右に曲がり、アクセルを踏めば加速してブレーキを踏めば減速するという当たり前のことが画面内でも再現されることで、ようやくゲームに集中できるようになった。クラッチペダルも用意されており、別売りのシフターを使えばマニュアルトランスミッションによる変速もできるようだが、筆者の腕前だとむしろオートマでよかった。このあたりは技量に応じてアップデートされるとよろしいかと思う。
ペダルはかなりの踏みごたえがあるため、ブレーキもアクセルも細かなコントロールができるようになっている。ステアリングもまたしかりで、仕組みとしてはいわば電動パワステだが、デッドな感触は皆無で操作に対してかなりの反力を返してくるので、こちらも細かな操作ができる。また、縁石に乗り上げたりクラッシュしたりタイヤがグリップを失ったりした場合には同じく反力でフィードバックを返してくるので、どこか緊張感をもってプレイできる。きちんとしたクリック感のあるシフトパドルも付いている。
よくできているというのはつまり違和感がないということであり、普通の(どちらかといえば上質な)クルマと同じように操作できるということである。同じコースを何周もしてみると、いつも同じコーナーを曲がり切れずにクラッシュしてしまった。これは私が下手なこともあるが、下手な操作を機械が正確に受け付けているということの証しでもある。
ロータス・エリーゼのようなシート
このロジクールG29の台座には万力が付いていて、テーブルの端などに固定できるようになっている。しかし、ハンコンにまで手を出すのであれば、シートにもこだわるのがeスポーツマンシップにのっとった行為だと思う。
というわけでwebCG編集部はゲーミングチェアを用意した(これも借りた)。オランダのブランド、Playseatの「Challenge(チャレンジ)」という製品で、名前の通りシリーズの中ではエントリーモデルに位置づけられている。
パイプフレームにスエード調表皮をハンモック状に取り付けた構造は確かにシンプルであり、豪華ではない。しかしこの構造ゆえに折りたたんで収納できるというメリットがあるのは見逃せないポイントだ。さらに、上位モデルに座った経験はないものの、チャレンジ単体の印象として、何の不満点も見当たらなかった。ロジクールG29のステアリングとペダルがきっちりと固定できてそれぞれの位置調整が可能。さらにシート自体の高さと角度調整もできる。シンプルな構造なのに座り心地がいいという意味では「ロータス・エリーゼ」のシートに通ずるものがあると思う。「Challenge」ロゴの主張が強すぎるのではないかとも思うが、大きいほうが見やすいという意見があるかもしれない。
適切なシートポジションと適切な操作系を手にして、それで臨む『グランツーリスモSPORT』は格別である。極言すればクルマの運転とはつまりイスに座ってペダルを踏んでハンドルを回すことであり、チャレンジとG29の組み合わせはこれを十分に満足させてくれるものだ。本物のクルマと同じように動かせるというのは気分がいい。
ゲームはゲームと割り切って遊んでも楽しいし、来るべき実車でのサーキット走行に向けてトレーニングとして取り組んでもいい。さらに、首都高で250km/h出してやったぜとゆがんだ(?)楽しみ方をしてもいい。現実世界と同じ操作方法で、現実世界では難しい望みをかなえてくれるのがチャレンジとG29、そして『グランツーリスモSPORT』である。
(文=藤沢 勝/写真=webCG/編集=藤沢 勝)
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藤沢 勝
webCG編集部。会社員人生の振り出しはタバコの煙が立ち込める競馬専門紙の編集部。30代半ばにwebCG編集部へ。思い出の競走馬は2000年の皐月賞4着だったジョウテンブレーヴと、2011年、2012年と読売マイラーズカップを連覇したシルポート。
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