Gear up! Selection | Auto Sock
布製チェーンを侮ることなかれ 2020.12.07 Gear Up! 2021 Winter クルマ好きならば一度は「オートソック」という製品を見たり聞いたりしたことがあるだろう。ノルウェー生まれのこのアイテムはタイヤチェーンの一種で、素材に特殊な繊維を用いた布製であることがポイント。滑り止めとしての性能の高さは自動車メーカーも認めるところで、純正アクセサリーとして用意しているところも少なくない。日本での販売開始から15年がたったというオートソックの魅力にいま一度迫ってみる。突然の雪の予報に、慌てないための準備は整っているだろうか。降雪地帯であれば冬のはじめにスタッドレスタイヤを履くのが当たり前だが、年に数回しか雪が降らない地域のドライバーにとっては、わざわざスタッドレスタイヤを購入することに抵抗を感じる人も少なくないだろう。最近では、オールシーズンタイヤという選択肢もあるが、もっと手軽に雪の対策ができるのが、布製タイヤチェーンのオートソックだ。
ノルウェー生まれのオートソックは、すでに50カ国以上で利用され、日本でも自動車メーカーが純正アクセサリーとして販売の実績がある信頼のタイヤチェーンである。
タイヤチェーンといえば、金属チェーンや、ウレタンやゴムに金属を組み合わせたタイプをすぐに思い浮かべるだろう。それだけに、布製タイヤチェーンの効果に疑問を持つのは理解できる。しかし、雪道や凍結路でタイヤがスリップする原因を考えると、オートソックの有効性がわかるはずだ。
氷雪路でタイヤが滑るのは、タイヤと路面の間に水の膜ができるため。オートソックを装着すると、路面とコンタクトする部分の繊維が水の膜を吸収。そして、細かくけば立ったオートソック表面の繊維が、路面との摩擦を増やすことでグリップを生み出すのだという。これにより、雪道や凍結路で威力を発揮する。
着脱が簡単なのもオートソックの大きな魅力だ。装着は前2輪、または後ろ2輪の駆動輪(4WD車は車両の取扱説明書を参照)に行う。装着するにはまずクルマを平らな場所に停車し、パーキンブレーキをかける。そして、タイヤに付いた雪や氷を取り除いておく。
次にオートソックを取り出して広げ、タイヤの上からかぶせて、徐々に下のほうに広げていく。ある程度できたところで、タイヤを半回転分移動し、残り半分をタイヤにかぶせれば装着完了。つまりジャッキアップは不要である。走りだせば多少のずれは自然に解消する。これなら、タイヤの扱いに不慣れな人でも、素早く簡単に装着できるだろう。また、布製だけに、大切なホイールを傷つける心配がないのも見逃せないポイントである。
装着できたら、あとはトラクションコントロールやESC(横滑り防止装置)をオンにしたまま、ゆっくりと発進し、50km/h以下で走行すればいい。布製だけに、乗り心地を損ねることはなく、静粛性が高いのもうれしい。
注意しなければならないのは、氷雪路以外の走行。布製なので、雪道や凍結路以外を走ると、摩耗を早め、破損の原因になるからだ。そのため、氷雪路を抜け出したならすぐに、オートソックを取り外す必要がある。
しかし、心配は無用。オートソックは取り外しも簡単で、オレンジのベルトの上部を手前に引っ張り、上半分が外れたところでタイヤを半回転分移動すれば、残りの部分を外すことができる。
オートソックは繰り返しの使用が可能で、手入れのために洗濯機で洗うこともできる。金属チェーンと違って、さびの心配がないのもいい。
ところで、このオートソックは、サマータイヤを装着するクルマが突然の雪に見舞われたときだけでなく、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤを装着する場合でも頼りになる。それは、チェーン規制が実施されるときだ。
スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤを装着する車両、または、タイヤチェーンを装着している車両は、高速道路で冬用タイヤ規制が実施されている場合でも走行が可能である。しかし、大雪特別警報などが発令される状況では、急な上り下りがある一般道や高速道路で全車チェーン規制が実施されることがあり、この場合は、スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤを装着していても走行は認められず、規制区間の手前で足止めを食らうことになる。4WD車でも状況は変わらず、走行できるのはタイヤチェーンを装着しているクルマだけだ。
ここで言うタイヤチェーンには、金属チェーンをはじめ、ウレタンやゴム製が含まれるが、布製のオートソックもタイヤチェーンとして認められるため、チェーン規制に対応。スタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤのユーザーにとっても、オートソックがあれば鬼に金棒というわけである。
幸い、オートソックはほぼすべての乗用車用タイヤのサイズに適合しており、コンパクトに収納できるのでクルマに載せておくには困らない。
冬用タイヤを装着する人も、そうでない人も、実に頼りになるオートソック。出かけるときには忘れずに携行したい、冬のドライブに必須のアイテムである。
(文=生方 聡)
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |
拡大 |

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
-
Gear Up! 2021 Winter 2020.12.7 『CG』との共同企画「Gear Up!」。この冬イチオシのカーナビ、ドライブレコーダーの最新情報のほか、ホイールカタログ、本格的なウインターシーズンに役立つアイテムなど、“エンスー”のための最新プロダクトを厳選して紹介する。
-
Shop Exploration Wheel Repair 2020.12.7 レストアと聞くと大ごとのように思えるかもしれないが、同じように気に入ったものを修復して再利用する「リペア」という選択があるのをご存じだろうか。東京・江戸川区に腕の立つ職人がいると聞き、早速そのリペアショップ「R3-BIC」を訪ねた。
-
Wheel Gatalog 2020.12.7 ホイールの交換は、愛車をスポーティーにもエレガントにも仕立てられるドレスアップの基本だが、その選び方によっては、ハンドリングやパフォーマンスの変化も期待できるといわれている。今回は、国内外の4つのブランドがリリースする個性あふれる最新アイテムを紹介する。
-
ALL Season Tire Catalog 2021 2020.12.7 本格的な冬の到来に合わせて、ウインタータイヤに履き替えようかと考えている人も少なくないだろう。そこでおすすめしたいのが、いざというときのためのスノー性能を確保しつつ、ドライ/ウエットでも十分なパフォーマンスを発揮してくれるオールシーズンタイヤである。
-
No Garage, No Life! | クルマ好きの夢がカタチになった ギャラリーのようなガレージ 2020.12.7 できるかぎりお気に入りのクルマと一緒に過ごしたい。カッコいいガレージでクルマをずーっと眺めていたい。そんなクルマ好きの夢がカタチになった!
-
にっこり笑顔の名車特集
2026.1.1日刊!名車列伝2026年最初の名車列伝は、フロントまわりのデザインがまるで笑顔のように見える、縁起の良さそうなクルマをピックアップ。国内・海外の名車を日替わりで紹介します。 -
ホンダ・プレリュード(FF)【試乗記】
2025.12.30試乗記ホンダの2ドアクーペ「プレリュード」が復活。といってもただのリバイバルではなく、ハイブリッドシステムや可変ダンパー、疑似変速機構などの最新メカニズムを搭載し、24年分(以上!?)の進化を果たしての見事な復活だ。果たしてその仕上がりは? -
BMW M235 xDriveグランクーペ(前編)
2025.12.28ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルで、STIで、クルマの走りを鍛えてきた辰己英治が、BMWのコンパクトスポーツセダン「M235 xDriveグランクーペ」に試乗。長らくFRを是としてきた彼らの手になる “FFベース”の4WDスポーツは、ミスタースバルの目にどう映るのだろうか? -
ルノー・キャプチャー エスプリ アルピーヌ フルハイブリッドE-TECHリミテッド【試乗記】
2025.12.27試乗記マイナーチェンジした「ルノー・キャプチャー」に、台数200台の限定モデル「リミテッド」が登場。悪路での走破性を高めた走行モードの追加と、オールシーズンタイヤの採用を特徴とするフレンチコンパクトSUVの走りを、ロングドライブで確かめた。 -
『webCG』スタッフの「2025年○と×」
2025.12.26From Our Staff『webCG』の制作に携わるスタッフにとって、2025年はどんな年だったのでしょうか? 年末恒例の「○と×」で、各人の良かったこと、良くなかったこと(?)を報告します。 -
激動だった2025年の自動車業界を大総括! 今年があのメーカーの転換点になる……かも?
2025.12.26デイリーコラムトランプ関税に、EUによるエンジン車禁止の撤回など、さまざまなニュースが飛び交った自動車業界。なかでも特筆すべきトピックとはなにか? 長年にわたり業界を観察してきたモータージャーナリストが、地味だけれど見過ごしてはいけない2025年のニュースを語る。











