マツダMX-30(4WD/6AT)
新しい上質 2020.12.17 試乗記 「わたしらしく生きる」をコンセプトに開発された、マツダの新型クロスオーバー「MX-30」。いざ乗り込んでみると、これまでのマツダ車では味わえなかった、さまざまな個性が見えてきた。難問に対するアンサー
2019年の東京モーターショーで発表された時にはEVだったMX-30だけに、いくらこれもマツダ初とはいえ、マイルドハイブリッドでの登場と聞いて少々ガッカリしたことは確かだ。けれど、それはEVをつくらないという話ではなく、まずEVは市場拡大中のヨーロッパ向けが優先で、日本は普及させやすいマイルドハイブリッドから攻めていく戦略なのだと聞けば、確かにそのほうが賢明だとも思う。
幸いにもMX-30は、他にいくつもアピールポイントを持ったクルマである。一番に挙げられるのは、やはりデザインだろう。造形うんぬんもそうなのだが、このクルマは至るところで、どこか感性を刺激してくる感があるのだ。
最新のマツダ車に共通していた、移ろいゆくサイド面だったり五角形グリルだったりというデザイン要素を、このクルマはことごとく使っていない。実際、デザイナーにはそれらに頼らずマツダらしさを形にするようにという難問が提示されていたそうだが、それは見事に実現されているように思う。バッジが無くてもちゃんとマツダに見えて、それでいてシンプルでクリーンな新鮮味のあるデザインはアピール力がある。
フォルムはいわゆるSUVクーペで、リアゲートがかなり寝かされている。これなら2ドアにしてもよさそうだが、それではユーザーが限られる。しかし通常のリアドアではこのシルエットは実現できない……という煩悶(はんもん)から導き出された解決策が、「RX-8」以来の再登場となるフリースタイルドアだ。