BMWアクティブハイブリッドX6(4WD/CVT)【試乗記】
キュッと動ける小山 2011.04.20 試乗記 BMWアクティブハイブリッドX6(4WD/CVT)……1490万円
BMWの巨漢クロスオーバー「X6」がハイブリッドシステムを搭載。407psのエンジンに加わったモーターパワーで、その走りはどう変わった?
ふたつのアクティブハイブリッド
東京から西へ走ること1時間半、箱根の麓(ふもと)に到着した。伴走してきた編集部のスタッフから、「後ろから見ていると、小山のようですね」と言われて、はっと現実に返った。東京で「アクティブハイブリッドX6」のサイドステップに足をかけて、ヨイショと乗り込む時は、筆者も確かに大きいと感じた。しかし、パワフルなパワーユニットとクイックなハンドリングがそう思わせるのか、2610kg(!)にも達するボディを軽いと錯覚してしまったらしい。「3シリーズ」並みとまでは言わないが、もっとずっとコンパクトなクルマに乗っている気になっていた。
「アクティブハイブリッド」の名を持つモデルは「7シリーズ」にも存在する。しかし両者のハイブリッドシステムは違うものである。7シリーズ用のシステムは、エンジンと1基のモーターが直結の関係にあるパラレル式のハイブリッドであり、モーターのみでの走行はできない。構造的には「ホンダ・インサイト」に近く、いわゆるマイルドハイブリッドに分類される。バッテリーはリチウムイオンだ。
これに対してX6に搭載されるシステムは、4.4リッターV8ツインターボエンジン(407ps)に2基のモーター(91psと86ps)と、3個の遊星ギヤ、および4個の多板クラッチを組み合わせたシリーズパラレル式のフルハイブリッドであり、システム出力としては485psと79.6kgmを誇る。
GM、ダイムラー、BMWの3社共同で開発されたこのシステムは、低速モード(モーター単独、エンジン単独、あるいは原理的には両方での走行も可能)と、高速モード(主にエンジンによる走行。高負荷時にはモーターをブースターとして作動させる)を持つことから、以前から「2モードハイブリッドシステム」の名で知られてきた。トランスミッションは4段の固定ギアに“電気的CVT”を組み合わせた無段変速式だが、7段の擬似的なギアを設定することで、AT的な操作感を演出している。バッテリーはニッケル水素。こちらの考え方は、どちらかといえば「トヨタ・プリウス」に近いといえるかもしれない。