BMWアクティブハイブリッドX6(4WD/CVT)【海外試乗記】
初モノとは思えない 2009.12.07 試乗記 BMWアクティブハイブリッドX6(4WD/CVT)BMW初のフルハイブリッドシステムが、「X6」に搭載された。マイアミでの試乗会に参加したリポーターは、その完成度の高さに「ハイブリッドニッポン」の危機を感じたという。
日本のお家芸を脅かす
ハイブリッドカーといえば日本メーカーのお家芸――たしかに、1997年末に「世界初の量産ハイブリッドカー」である「トヨタ・プリウス」の初代モデルが発売されて以来、そんな状況が続いてきた。そうした事実をもって「ハイブリッドカー技術は日本メーカーの独壇場」、「海外メーカーは日本のテクノロジーには当分追いつけない」という見方もあるし、実はボクもおおむねそのように思っていた。ハイブリッドカーもしくはEV(電気自動車)の分野では日本のトップの座はしばらく安泰。少なくともこの先10年、いや15年は、海外メーカーの追撃から楽に逃げ切ることができるであろう、と……。
けれども、ここに来てどうやら「それは幻想だった」と考えを改めざるを得ないようだ。なぜならば、BMWが来る2010年の発売を公言しつつ世に問うたハイブリッドモデルの出来栄えが、十分に“商品”として足るものであることを知ってしまったからだ。米国フロリダ州マイアミの街を拠点に開催された国際試乗会で、そんな印象をボクに知らしめたのは「アクティブハイブリッドX6」。まずはその概要を紹介しておこう。
ベースとして用いられたのは、先般追加の「X6M」を別格とすればX6ラインナップの頂点に君臨してきた「50i」。407psと61.2kgmの最高出力/最大トルクを発するのは4.4リッターのV型8気筒エンジンで、Vバンクの内側に2基のターボチャージャーを含めた排気系を集約するという、通常とは逆のレイアウトを採用し、過給効率のアップを図ったのが大きな特徴だ。
ハイブリッドモデルではその50iの心臓はそのままに、組み合わされていた6段ATを、役割の違う2基のモーターと、3組のプラネタリーギア、4セットのクラッチからなる「ハイブリッド・トランスミッション」に置き換えた。この新しいユニットを巧みに電子制御して、エンジンからの動力による走行、モーターでの走行、両者を織り交ぜての走行を可能とした、いわゆる「シリーズ・パラレル方式」によるフルハイブリッドシステムを構築する。