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BMW R18クラシック ファーストエディション(6MT)/ハーレーダビッドソン・ファットボーイ114(6MT)/ハーレーダビッドソン・アイアン883(5MT)

強烈無比な個性の競演 2021.04.29 試乗記 世界各国のモーターサイクルが今年も神奈川・大磯に大集結! JAIA輸入二輪車試乗会の会場から、まずは「BMW R18」と「ハーレーダビッドソン・ファットボーイ114/アイアン883」の走りをお届けする。皆同じクルーザーだが、いずれも強烈な個性の持ち主だった。

デカダンスの匂い
BMW R18クラシック ファーストエディション

JAIA主催の輸入二輪車試乗会に招かれるたび感じ入るのは、モーターサイクル文化の豊かさだ。あくまで個人的な感想だが、四輪より二輪のほうが社会課題から距離を取れる(ように見える)ぶんだけ、多趣味ゆえの多幸的な、多様性を享受したものづくりの謳歌(おうか)……要するに文化の成熟を、この会場のそこかしこから感じ取れる。

そんな思いを最も強く印象づけたのが、BMWの「R18クラシック ファーストエディション」だ。ダブルクレードルのフレームにティアドロップスタイルのフューエルタンク、その縁に1930年代の「Rシリーズ」をモチーフにしたピンストライプを走らせるデザインに触れれば、“クラシック”以外の表現を許さない頑(かたく)なさを覚えずにはいられなくなる。

なによりも、クラシック ファーストエディションのベースモデルであるR18のために、BMWモトラッドは1801ccという史上最大排気量のボクサーツインを開発したのだ。しかもこのエンジン、スロットルをあおった際に車体が傾くボクサーツインのクセが、体ごと持っていかれそうなくらい強く激しく出る。そうした個性に懐かしさを感じるクラシックな人間がいることを承知したうえで、BMWモトラッドはこんなにパンチのあるエンジンを投入したに違いない。

対して走りは、これまた見た目通りにジェントル。乗り手が自重さえすれば、BMW史上最大の排気量で威圧してくることもなく、また374㎏の車両重量を感じさせることもなく、穏やかに優雅に走る。ただし、「レイン」「ロール」「ロック」の3段階が用意されたパワーモードの「ロック」を選べば、91PSのフルスペックが解放される。

ベースとなるR18との違いは、大型ウインドシールド、タンデムシート、サドルバッグ等の装備が主だが、フロントホイールをR18の19インチから16インチに、タイヤを120/70から130/90に替え、ルックス全体の雰囲気も異にしている。そして価格は297万6500円(「ファーストエディション」は326万2000円)。こんな豪華なモーターサイクルをBMWモトラッドは発売した。SDGsやカーボンニュートラルというテーマが語られ始めたこの時期に。

いや、嫌みを言いたいのではない。むしろ拍手を送りたい気分だ。とはいえ、このご時世を思えば、多趣味で多幸的で多様性に満ちた二輪文化の世紀末を感じざるを得ない。このモデルに漂うのは、新時代の前に漂うデカダンスの匂い。言えることは、とにかく「乗るならお早めに」だろうなあ。

(文=田村十七男/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)

BMW R18クラシック ファーストエディション
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JAIA輸入二輪車試乗会2021(前編)の画像拡大
 
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爽やかなほどに突き抜けている
ハーレーダビッドソン・ファットボーイ114

ハーレーダビッドソンはモーターサイクルか否か? などと命題めいた疑問を提示しても、多くの人は相手にしてくれないだろう。しかし二輪趣味の観念的世界には、ハーレーとハーレー以外に明確なボーダーがある。なぜならハーレーは、ハーレー以外の何者にもなろうとしないからだ。ゆえにハーレーに憧れる人は、モーターサイクルではなくハーレーに乗りたいと言うのである。

そうした孤高のラインナップのなかで、最もハーレーらしいイメージを押し出しているのが「ファットボーイ」だと思う。1990年のデビュー時点で伝統的とされたルックスを、最新の2021年モデルでも一切ブレずに押し通しているその一点だけでも、ハーレーの象徴的存在と断言していいだろう。

前後の極太タイヤとディッシュホイールをはじめとする、全体にみなぎる凝縮感がファットボーイの特徴だ。搭載されるのは「ミルウォーキーエイト114」と呼ばれる1868ccのVツインエンジン。これ、うかつにスロットルをひねると、大気圏離脱が可能なロケットみたいにすっ飛んでいく。いやまったく、こんな冗談みたいな排気量をレギュラーモデルに用意するなんてどういうつもりなんだと笑うほかない。

ビッカビカのクロームメッキもまた、いささか冗長なアメリカンプロダクトらしさを際立たせている。このあたりを他国の同型モデルが追いかけても、ハーレーほどには気合が入らない。おそらく“なじみ”の問題だろう。例えば着物は日本人こそ、カウボーイハットはアメリカのカウボーイこそ似合うように。

ハーレー自身がどう考えているかは別にして、ハーレーを孤高たらしめている本質的な理由は、ユニバーサルデザインと無縁だからだ。日本人にはハンドルやペダルが遠いライディングポジション。腕力が弱く指の細い者には握りづらい太めのレバー。それら操作系の基本設計は、アメリカ人の一般的な体形や筋力から導き出されたものに違いない。すべからく製品づくりに基準は必要だから、それはそれで構わない。しかし、今もってアメリカ人以外に沿おうとしないのは、意図的なのか無頓着なのか?

この件、一般的なグローバルブランドなら致命傷に至るポイントだろう。にもかかわらず、少なくとも日本では基本設計に文句を吐くハーレーファンはいない。むしろ、だからこそハーレーに乗りたいと言う。

最新のファットボーイにもハーレーらしいデザインテイストが満ち満ちていた。他の何者でもないものに触れると、好みを超えてさっぱりした気分になる。魚好きでも、時に肉のうまみに驚かされるみたいに。

(文=田村十七男/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)

ハーレーダビッドソン・ファットボーイ114
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JAIA輸入二輪車試乗会2021(前編)の画像拡大
 
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強烈な初体験
ハーレーダビッドソン・アイアン883(その1)

いきなり白状します。「ワタシハ、はーれーニ、ノッタコトガナイ」。

ザックリ言って、かつてはアメリカン、いまではクルーザーと呼ばれるカテゴリーのバイクはシート高が低いこともあってむしろ「好き」だけれど、ハーレーとその愛好者の方が漂わせる“マッチョな”雰囲気に遠慮しているうち、気がつくとハーレーダビッドソンとまるで縁がないまま、よわい50を超えておりました……。

JAIA輸入二輪車試乗会で“ちょい乗り”ながら初体験をさせてもらったのは、アイアン883。最も親しみやすいといわれる「スポーツスターファミリー」の一員で、その名の通り883ccのV型2気筒エンジンを搭載する。ハーレーの2021年モデルからは、749cc Vツインを積む「ストリートシリーズ」が落ちたので、実質的なエントリーモデルといっていい。

最新の883はキーレスエントリーシステムを採用。ポケットにキーを忍ばせておくだけでエンジンスタートが可能だ。試乗車のペイントは、新色の「デッドフォレストグリーン」。オリーブドラブ調のミリタリーな色彩がカッコいい。

フロント19インチ、リア16インチのタイヤが、わかりやすく“アメリカン”なフォルムをカタチづくり、760mmのシート高が短足ライダー(←ワタシです)に優しい。両足がベッタリ接地するうれしさで、あろうことか「ホンダ・レブル250」を思い出したが、サイドスタンドを払ってアイアン883を引き起こすと、うーん、重いね。両者を比べることにまるで意味はないのだが、車重はレブル比86kg増しの256kgである。

オシリ後部まで優しく支えてくれるシングルシートに感心しながら走り始めると、空冷2気筒は適度なビートを打ちつつ、なんらグズることもなく200kg超の車体を運んでいく。883ccという伝統の排気量を継承するパワーユニットがインジェクション化された際には、キャブレターのように自在にイジれないことを残念がったハーレー乗りも多かったと聞くが、軟弱ライダーにはありがたいかぎり。

ハーレーダビッドソン・アイアン883
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JAIA輸入二輪車試乗会2021(前編)の画像拡大
 
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強烈な初体験
ハーレーダビッドソン・アイアン883(その2)

乗車姿勢は、幅の狭いドラッグスタイルのハンドルに両腕を伸ばすスタイルになるが、ステップが順当に(!?)膝の下にあるので、違和感は少ない。「初めてハーレー買うなら、スポーツスター!」と、言わずもがなのことを確認する。

試乗会場にパイロンでつくられたコースでは、細かい“曲がり”のたびにステップを擦ってしまうので、早々に場外へと走りに行く。ハーレーといえば不整脈のようなエンジン音。そんなイメージを持っていたが、883cc Vツインは意外なほど素直でスムーズ。軽く回して楽しくバイクを走らせられる。一方、骨太なアメリカンブランドのなかでは軽量とはいえ、頑丈なつくりのボディーはやはり加減速のたびに重量を意識させる。ガチャコン、ガチャコンと動作大きめなギアを変えながら、「なるほど鉄馬だなァ」と、初めて乗ったハーレーで月並みな感想を持つ。

両手のグリップはじめ各部は、パワーユニットや路面からの入力を得て常に振動しており、よくも悪くもダイレクトなライドフィール。かつての、ラバーマウントを介さずにエンジンをフレームにじか付けし、リアサスペンション“レス”のリジッドタイプを尊んでいたハーレーの精神が、大幅に緩和されつつも生きている……などと言ったら、ハーレー乗りの人に鼻で笑われましょう。

それにしても、エントリーモデルにしてビックリな個性の強さ! このブランドにはまる人が多いことに納得……などと考えて走っていたら、リアタイヤがくぼみに落ちた衝撃で、したたかに腰を打つ。こんなところもダイレクト。ちょっと痛い初体験でした。

(文=青木禎之/写真=三浦孝明/編集=堀田剛資)

 
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BMW R18クラシック ファーストエディション
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テスト車のデータ

BMW R18クラシック ファーストエディション

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2465×964×1340mm(ミラーを除く)
ホイールベース:1725mm
シート高:690mm
重量:374kg
エンジン:1801cc 空油冷4ストローク 水平対向2気筒OHV 4バルブ
最高出力:91PS(67kW)/4750rpm
最大トルク:158N・m(16.1kgf・m)/3000rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:5.6リッター/100km(約17.9km/リッター、WMTCモード)
価格:326万2000円

ハーレーダビッドソン・ファットボーイ114
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ハーレーダビッドソン・ファットボーイ114

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2370×--×--mm
ホイールベース:1665mm
シート高:675mm
重量:317kg
エンジン:1868cc 空冷4ストロークV型2気筒OHV 4バルブ
最高出力:--PS(--kW)/--rpm
最大トルク:155N・m(15.8kgf・m)/3250rpm
トランスミッション:6段MT
燃費:--km/リッター
価格:273万6800円

ハーレーダビッドソン・アイアン883
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ハーレーダビッドソン・アイアン883

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=2185×--×--mm
ホイールベース:1515mm
シート高:760mm
重量:256kg
エンジン:883cc 空冷4ストロークV型2気筒OHV 2バルブ
最高出力:--PS(--kW)/--rpm
最大トルク:68N・m(6.9kgf・m)/4750rpm
トランスミッション:5段MT
燃費:--km/リッター
価格:138万8200円

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