トヨタGRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”(前編)

2021.05.13 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 今回谷口信輝が試乗したのは、モータースポーツで戦うことも視野に入れて開発された「トヨタGRヤリス」。専用ボディーや新開発エンジンを持つこだわりの高性能ハッチバックを、プロはどう評価する?
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意外な機能も備わっている

「オオタニさん、知ってますか?」

試乗車の「GRヤリスRZ“ハイパフォーマンス”」に乗り込むなり、運転席の谷口信輝がそう話しかけてきた。
「このクルマ、発進させるときはクラッチをつなぐとエンジン回転数が自動的にちょっと上がるから、右足でアクセルを踏み込まなくてもエンストしないんですよ。いま、やってみますね」

続いて谷口はクラッチペダルを踏み込んでギアを1速に入れると、右足をフロアに置いたまま、クラッチペダルに乗せた左足をゆっくり持ち上げてみせた。すると、エンジン回転数がそれまでよりもすっと上がり、GRヤリスはするすると走り始めたのである。これまで知らなかったGRヤリスの便利機能に驚いていると、谷口は「ね、便利でしょ」と語りながら、まるで自分の宝物を自慢する子供のように得意げな笑顔を浮かべたのだ。

これに気をよくしたのか、谷口は「もうひとつの仕掛け」を私に説明し始めた。
「それで、もしもエンストしても、クラッチペダルを踏むと自動的にセルが回ってエンジンを再始動してくれるんです」

そこまで言うと、谷口はGRヤリスをわざとエンストさせてからクラッチペダルを踏み込んでみせた。するとピーという警告音に続いてセルスターターが回り始め、最高出力272PSを生み出す1.6リッター直列3気筒ターボエンジンは息を吹き返したのである。

こんな具合で、谷口はとにかくGRヤリスについて詳しい。それはHKSとともにGRヤリスをチューニングし、サーキットでタイムアタックしたり、アクロバティックなドリフトで有名なケン・ブロックばりのデモ走行を披露したりするなかで得た知識かもしれないが、私自身は谷口がGRヤリスの開発になんらかの形で関わっているのではないかとにらんでいる。もちろん、谷口はそんなことを私たちにひけらかしたりはしないが、トヨタと縁の深いレーシングドライバーがGRヤリスの開発に協力していたことは公然の秘密。そのメンバーに谷口が含まれていたとしても、私は驚きはしない。

 
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