ルノーが新たな電動化戦略発表 EVを増強し電池コストも削減
2021.07.01 自動車ニュース![]() |
仏ルノーは2021年6月30日(現地時間)に「Renault Eways ELECTROPOP(ルノー・イーウェイズ・エレクトロポップ)」と銘打ったオンライン発表会を開催。同社の将来戦略として「グループの電気自動車戦略を、かつてないレベルで加速させる」と宣言した。
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巨額投資で電池のコストは6割減
ルノーといえば、去る5月6日に開催された「ルノー・トーク♯1」において「2030年までに全ラインナップの9割を電動化する」と、プラグインハイブリッド車も含めた電動化戦略を公表したばかりだが、今回は「欧州市場では2025年までに全ラインナップの65%を電動化したうえで、ルノーブランド車は2030年までに90%をバッテリー式電気自動車(EV)にする」と、さらに野心的な戦略に踏み込んだ。そのためにルノーはまず、2025年までに10機種の“市場競争力がありサステイナブルで大衆的な新型EV”を市場投入していくという。
その第1弾となるのが2022年発売予定の「メガーヌE-Techエレクトリック」だ。すでに知られているとおり、これは「日産アリア」とプラットフォームを共用する4WDのCセグメントEVである。このメガーヌE-Techやアリアが使う「CMF-EV」プラットフォームはC~Dセグメントサイズで最大580km(WLTPモード)の航続距離を想定する。
今回はそれに加えて、よりコンパクトなBセグメントサイズ(航続距離はWLTPモードで最大400km)を想定する「CMF-BEV」プラットフォームも発表された。年初にプロトタイプが公開された「5(サンク)」も同プラットフォームを使うそうだが、今回はさらに同じCMF-BEVを土台とする「4ever(フォーエバー)」の存在も明らかにされた。その車名から想像されるとおり、これも往年の名車「4(キャトル)」のデザインをモチーフとした“タイムレス”なモデルになるという。
今回の発表会に合わせて、ルノーはそれら新型EVのシルエットを一部公開した。それを見るかぎり4everはフランスで「フルゴネット」と呼ばれる小型バンのようだ。また、2024年に発売予定というアルピーヌのEVスポーツカーのほか、大型リアスポイラーをもつホットハッチの姿も明らかとなった。
こうした野心的なEV戦略のために、ルノーは今後の5年間で、100億ユーロ(約1兆3100億円)という巨額の投資をする予定だ。そこにはフランス国内3工場を統合して設立されるEV子会社「ルノーエレクトリシティー」や、中国「AESCエンビション」との共同で建設される巨大バッテリー工場、そして将来的な全固体電池開発のための投資も含まれる。これらの取り組みに日産や三菱とのアライアンス効果も合わせることで、2030年には容量あたりのバッテリーコストを現在の60%ダウン、小型EVの車両コストは現行「ゾエ」から33%のダウンを目指すという。
(文=佐野弘宗)