最良の策は「無料or有料」ではない! ニッポンの高速道路料金のあるべき姿とは?
2021.09.03 デイリーコラム脳内の小島よしおが騒ぎ出す
「高速道路の永久有料化が決まったようですが、清水さん、どう思いますか?」
編集部のほったくんから、そのような問いが発せられた。
実際には、高速道路の永久有料化は決まっていない。国土交通省の有識者会議が、「老朽化による修繕費の増大に対応するため、2065年までとされている高速道路の有料期間の延長を求める中間答申をまとめた」だけで、それが「高速道路永久有料化に道を開くもの」と報道されたにすぎない。
答申では、現時点で永久有料化を決めるのは問題があるとし、また料金徴収期間を何年延長すべきかについても「現時点では見通せない」としている。ただ、2065年での無料化はムリ、としているだけなのだ。「なんて無責任な答申だ!」と思われるかもしれないが、全文を読めば、非常に率直な内容で、正直ゆえに「不確定要素が多すぎて決められません」という内容であることがわかる。
実を言えば、多くの読者にとって、2065年から無料化されようが、あるいは永久有料化されようが、「そんなのカンケーねぇ!」ではないだろうか。2065年といえば44年後。現役ドライバーとして関係ありそうなのは、現在の20代以下。しかし若者の皆さんだって、44年後に無料になるかどうかなんて、「ほとんどカンケーねぇ!」だろう。
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地方の路線は無料にしてもいいのでは?
個人的には、日本の高速道路は永久に有料だと思っている。少なくとも大都市周辺や幹線は有料のままにしておかないと、渋滞でどうにもならなくなる。44年後にはかなり人口が減少しているでしょうけど、大都市部、特に首都圏の人口は、それほど減らないのではないか。つまり渋滞コントロールのためにも、有料道路制度は残すべきだし、交通量がドーンと多い幹線(東名・名神など)は、それだけ道路の傷みも大きく維持に費用がかかるので、徴収を続けるべきだ。
ただ、「高速道路は全国一律で有料のままじゃなきゃダメ!」ではない。私は20年前から、日本の高速道路は、路線によってもっと料金水準に差をつけるべきだと書いてきた。大都市部や幹線は現状のままでいいが、地方の過疎路線は大幅な値下げや無料化を行って、もっと役に立つインフラにすべきなのだ。
地方の過疎路線は、その多くが2車線の対面通行で制限速度70km/hということもあり、並行する一般道に対して時間短縮効果が非常に小さい。なのに料金水準は全国ほぼ一律。これは受益者負担の観点からすると不公平で、だから地方の路線は地元の人にほとんど使ってもらえず、猛烈にガラガラなのだ。
しかし、今回の答申にはそういう観点はまったくなく、逆に「現在無料の高速道路も、維持管理費等の費用については、利用者負担を検討する必要がある」としている。具体的には、首都圏では保土ヶ谷バイパス、関西圏では名阪国道あたりが有料化の検討対象になるのでしょうが、ならば逆に無料の範囲も広げるべきではないだろうか。
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国費の投入を恐れるなかれ
その方法論だが、税金(というより国債)をブチ込んで、部分的に高速道路の借金を返してしまうのである。現在、高速道路保有機構が抱える債務は29兆円。民営化時点では40兆円だったので、順調に返済は進んでいるが、借金の元金を大きく減らせれば、今すぐいろいろな割引策や一部無料化策が打てる。
昨年(2020年)、新型コロナ対策として国民全員に10万円ずつが配られた。総額13兆円。すべて国債の増発でまかなわれた。これまで財務省や一部経済学者たちは、「国の借金が増えすぎると国家経済が破綻する」と主張してきたが、昨年来の新型コロナ対策による超大盤振る舞いでも、日本経済には何事も起きていない。
いや、一線を越えたら雪崩を打って崩壊するのかもしれませんよ。そこはホントにわかりません。でも、政府が自国民から借金している間は大丈夫という説も有力になっている。だいたい今、国債の半分(48%)は日銀が持っている。自分で自分に借金してるみたいなもので、そもそも「カネ返せ!」と言ってくる者がいない。
13兆円とは言わずとも、高速道路にそれなりの金額をブチ込んで債務を圧縮してしまえば、地方の過疎路線はそのぶん無料化できる。現状ガラガラの路線は、料金収入だって微々たるものだ。一方、大都市圏や幹線は、永久に有料でいい。
日本同様の有料道路制度を持つイタリアでは、南部は料金無料。日本も、それぞれの地方の事情に合わせた料金体系に移行すべきではないか。
(文=清水草一/写真=NEXCO東日本/編集=堀田剛資)
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清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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