イタリアメーカーのブース紹介(前編)【ジュネーブショー2011】
2011.03.08 自動車ニュース【ジュネーブショー2011】イタリア勢はスーパーカーが競演
2011年のジュネーブショーで見事、主役の座をモノにしたイタリア勢。数多くの魅力的なクルマがお披露目されたが、立役者はやはり「フェラーリFF」と「ランボルギーニ・アヴェンタドール」、2台のスーパーカーということになるだろう。
■顧客に応えるフェラーリ「FF」
それぞれ単独で十分主役を張れる技量を持つモデルが、2台同時に登場したことで、その話題性をさらに高めた。フェラーリとランボルギーニの、しかもフラッグシップモデルの新型車が同時に発表されることは、そう頻繁にあることではないからだ。それが見られただけでも間違いなく、今年は当たり年と言えるだろう。
「612スカリエッティ」の後継車となるフェラーリ「FF」は、従来のフェラーリにはなかった数々の斬新なコンセプトが特徴である。
スタイリングはこれまでのフェラーリとは一線を画すロングルーフデザインを採用。リアにはなんとハッチゲートが備わる。ラゲッジスペースにはゴルフバックを収めることもできるのだ。長く伸ばされた屋根の下にはフェラーリ初のフル4シーターレイアウトを構築している。これまでも4座のフェラーリは存在していたが、いずれも2+2で、大人4名がしっかり乗れるようにしたのはFFが初めてだという。
また、同じくフェラーリとしては初めて4WDが採用されたのもトピックだ。612スカリエッティや「599」と同じフロントミドシップ+トランスアクスルのパワートレインをベースに4WD化。前輪への駆動力はトランスアクスルを介さず、クランクシャフト前方から取り出すという新しい機構を用いている。
このようにFFは“初めて”にあふれた意欲作だが、これら新しい試みはすべて顧客のニーズに応えるためなのだ。実はそれこそが、FF最大のチャレンジなのである。フェラーリはこれまで、フェラーリはこうあるべきといった提案型の商品ばかりだった。その方針をグルリ180度転換させたのがFFというわけだ。
■ランボはわが道をゆく
そんなフェラーリFFに対して自らの王道を貫いたのが、「ランボルギーニ・アヴェンタドール」である。低く構えたボディに超高性能エンジンをミドシップしたそのいでたちはまさに、ザ・スーパーカーだ。
エッジの利いたスタイリングはまさにランボルギーニそのものだが、中身は大きな進化を遂げている。特筆すべきはボディ構造だ。アヴェンタドールの前身である「ムルシエラゴ」がスチール製のスペースフレーム構造を採っていたのに対し、アヴェンタドールはカーボンファイバー製のモノコック構造を採用した。これは高剛性化と軽量化に大きな効果をもたらすはずだ。
運転席の背後に搭載されるV12気筒エンジンは6.5リッターと排気量こそ同じだが、ボア×ストロークの異なる新しいユニットに変更された。最高出力は700ps。ムルシエラゴ時代から、さらなるパワーアップが図られている。
シングルクラッチ式の自動変速機は6段から7段へと1段増やされた。マニュアルの設定は無い。駆動方式はムルシエラゴ同様4WDが踏襲されるが、センターデフはビスカス式から電子制御の多板クラッチ式に変更されている。
まさに時を同じくして登場した2台のスーパーカー。どちらも革新をもたらしたが、そのアプローチはまったく異なる。果たして、顧客はどのような判断を下すのだろうか。ちなみに、ある情報筋によると今年の生産分はどちらのモデルも既に完売らしい。
(文と写真=新井一樹)
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